小説家、反ワク医師、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、反ワク医師、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

トップアスリート

2013-12-26 20:20:58 | 武道・スポーツ
トップアスリートは、(競技の種類にもよるが)20代でどんどん引退していく。
25歳くらいまでは、オリンピックで金メダルをとった国民的英雄で、連日、新聞にデカデカと写真が載る。それは、猿まわし師によって調教されて見事な曲芸が出来るようになった猿を人々が拍手喝采するのと同じである。(ただ人間の場合には、猿まわし師と猿が別人ではなく、猿まわし師と猿が同一人である、ということである)

しかし引退した後は、金メダル獲得者という肩書きでの、テレビのバラエティー番組に出るだけの、おまけの、付録の、おちゃらけ人生。か、お決まりの、大学での能無しコーチに就任して後進の指導とやら。である。

自分が世界一上手く、出来る能力と、他人を上手く出来る能力は、全く別のものなのだ。これが、わからない人が多すぎる。これは机上の空論ではない。私はテニススクールに所属しているが、コーチは自分が上手く出来るだけで、指導能力はゼロであり、全員、白痴である。

プロ野球解説者の古田敦也氏は、選手としては、国民栄誉賞を受けるほどのズバ抜けた記録はないが、ヤクルトで18年やり通し、終身打率294だから選手としては一流選手だった。
しかし、氏は、絶えず、考えて野球をして、そして見ていた。というより、氏は、ほっておいても、物事を考察、分析してしまうクセがあるのだ。
だから、彼はプロ野球の解説においては、一流で、彼のプロ野球の解説の能力は日本一である。
トライアウトされた選手は、何も考えずに野球をやってきたから、指導者や解説者にはなれない。

スポーツ(勉強もそうだが)は、出来るようになるまでの練習期間中にだけ、苦労、苦心、創造性があり、価値があり、出来るようになったら、あとは、出来ることの繰り返しの10年1日の繰り返し。である。

三島由紀夫のスポーツ観。

「高校へ入ったら勉強の邪魔にならぬ程度のスポーツもやるべきで、それも健康が表面に浮いて見えるようなスポーツがいい。スポーツマンだというと、バカだと人に思われる利得がある。政治には盲目で、先輩には忠実だということぐらい、今の日本で求められている美徳はないのだからね」
(天人五衰。豊饒の海より)

三島由紀夫は、ボディービル、剣道(七段)、ボクシング(一年間)、空手(初段)など、スポーツをしてきたが、その目的は、肉体づくり、健康のためであり、人にスポーツを奨励するほどであるとともに、同時にスポーツをバカにしている。氏は技術はそう上手くはなかったが、そんなことは、どうでもいい、くだらないことである。氏はスポーツに対してアンビバレントな思いを持っていた。しかし、弱冠(どころか、かなり異論はあるが)基本的に、私は、氏のスポーツ観に共感する。

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