かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 59(アフリカ

2019-02-17 22:10:09 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の外国詠7(2008年4月実施)
  【阿弗利加 3 蛇つかひ】『青い夜のことば』(1999年刊)P171~
  参加者:泉可奈、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、
       藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
  レポーター:T・S      司会とまとめ:鹿取 未放


59 身のつやも失せてとぐろを巻けるもの笛吹けば怒る死ぬまで怒れ
  
         (当日意見)
★反抗しろ、というメッセージ。(崎尾)


      (まとめ)
 長年蛇使いに使役されて疲れ果てつやもなくなっているのであろう。蛇は仕込まれて餌をもらうために笛に合わせて身を踊らせるのであるが、それを作者は怒ると表現しているのだろうか。それとも今日は怒りも露わに踊りくねっているのだろうか。窮屈な袋に押し込められて、いきなり大勢の見物人の前にさらされれば怒りたくもなろう。とらわれの身の日頃の鬱屈も当然怒る原動力になっていよう。それゆえ、なおさら蛇の踊りは迫力をもっているのだろう。そんな蛇に作者は「死ぬまで怒れ」と荷担の情をもって呼びかけている。
 高村光太郎の「ぼろぼろな駝鳥」や、渡辺松男の〈そうだそのように怒りて上げてみよ見てみたかった象の足裏〉『寒気氾濫』を思い出した。(鹿取)

コメント
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