かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 2の139

2019-02-11 19:43:40 | 短歌の鑑賞
  ブログ用渡辺松男研究2の18(2018年12月実施)
     Ⅲ〈錬金術師〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P93~
     参加者:泉真帆、M・I、岡東和子、A・K、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉真帆   司会と記録:鹿取未放

139 父の精たりし以前のわが在処 北京原人は彗星見上ぐ

       (レポート)
 わたしたちであれ、わたくしであれ、どこから来てどこにゆくのかという究極の問いがある。作者は父の精のその前のもっともっとはるかへさかのぼろうとしていよう。一時空けになて、下の句に北京原人、彗星、見上ぐとして、太古のある場をしめし、上の句の在処と関連付けて読めるだろう。それにしても作者はどこまでも楽しく素敵だ。(慧子)


            (当日意見)
★どうして北京原人が出てくるのか、よくわからないのです。(T・S)
★お父さんの精子の中に存在した自分、それをもっと遡っていったら北京原人にも行き着くんです
 ね。(鹿取)
★そしたらなぜその北京原人が彗星を見上げているのかがわからない。(T・S)
★彗星って何十年に一度か地球を周回していますけど、北京原人にそんな知識はありませんから、
 尻尾ひいて大きな光が横切っていったら、本能的に不吉な感じがして怖いのでしょうね。(鹿取)
★これはすばらしいと思った。ここまで飛べない。上の句はいきものの生の根源にいた自分です。
 北京原人は彗星が走ったとき、何かが起こったと思ったわけですよ。存在の根源のところで何か
 を感じた。これが渡辺松男だと思う。(A・K)
★そうですね、下の句をいえる歌はいるかもしれないけど、上の句からつなげられる人はいないと
 思います。父の精って何か静謐で哲学的で思索的ですごいですね。(鹿取)
★母の卵、だったらいやらしくなりますけどね。(A・K)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする