かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 174(中国)

2019-02-25 19:52:51 | 短歌の鑑賞
    馬場あき子の外国詠22(2009年10月実施)【紺】『葡萄唐草』(1985年刊)
    参加者:Y・I、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
    レポーター:渡部 慧子 司会とまとめ:鹿取 未放


174 民衆は豊かならねどくつろぎて飲食に就く暗き灯のもと

           (レポート)
 刻々と変貌・発展する上海の富裕層に追いつけない人々を「民衆は豊かならねどくつろぎて」と詠いおこす筆には温かさがある。そして「飲食に就く」のだが、「暗き灯のもと」とは、多くの品数を照らしているとは思えない。しかしながら、観光客を魅了する上海料理はこうした民衆の家庭料理から発展したものなのであろう。(慧子)


      (当日意見)
★歌の普遍性を考えるとどうか。私は89年に中国を訪問したが、高層ビルの足場が竹組みでびっ
 くりした。(藤本)


      (まとめ)
 「刻々と変貌する上海の富裕層」というとらえ方は2009年の現時点では言えるが、83年当時はどうだったろうか。富を求めるさもしさやいやしさが無く、精神の豊かさを保って自足している(ように見える)庶民のおおらかな様子が「豊かならねどくつろぎて」あたりに出ているように思う。古来、こういう風土からスケールの大きな思想家や詩人達が出てきたのではなかろうか。 (鹿取)

  
コメント
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