かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  156

2021-10-10 19:17:31 | 短歌の鑑賞
 ブログ版清見糺鑑賞 23  東芝Rupo
                        かりん鎌倉なぎさの会 

156 メソポタミアの粘土板よりはかなきは東芝RuPoのフロッピーディスク
                    「かりん」2000年12月号

 昨日挙げた「東芝がRopo」と題した一連七首の三首目だが、一連をもう一度あげる。

東芝RuPoやがて絶えなんとばかりを東芝は言う どうしてくれよう
莫逆の友のごとくにありしかどガタが来ている東芝のRuPo
メソポタミアの粘土板よりはかなきは東芝RuPoのフロッピーディスク
東芝RuPo探しあぐねて今ぞ知る売れないものは売ってないのだ
とりあえずインクリボンのカセットは六〇〇〇首分買いもとめたり
黄泉の国へどちらが先に行きつくか行方はかなきRuPoとわたくし
明日に向って撃つものなどは何もなく昨日の歌をRuPoに打込む

 東芝がRopoの製造中止を表明したのは、この2000年6月である。その後の8月、9月とメソポタミア文明展を観た。粘土板に彫られたハンムラビ法典は、3000年を永らえて、現代人の目に触れている。それに比して、現代文明の最先端を行くフロッピーディスクは足で踏みつければすぐに壊れる。その命の短さ。しかもわざと互換性のないように作られているフロッピーディスクは、他の会社のワープロでは使えないのだ。そのあざとさ。便利なようにみえて意外ともろい現代の利器を皮肉っている。だがもちろん、なじんだRopoでなければという愛着もある。

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