私が今までの登場人物をメモに書き出すと、相手の夫婦は食い入るように、私のペン先を見つめています★
『これが私、これがあなたです、そして同僚の方、車掌、乗客、弁護士、組合の課長、職員、、、、ここまでは分かりますか』
『あ、はい、分かります!』
『それぞれの人が言った事を書き足します』
『はい!』
『最初にあなたは私に謝罪する前に、ここに書いてある弁護士に電話した、、、そうですね』
『はい、そうです』
『その時点で警察の取り調べがあったにも関わらず、組合には未報告だった、、、どうですか』
『はい、報告してません』
『弁護士には、私にも悪い事があったと報告している、、、ですよね』
『は、はい、、、すみません』
『そこで弁護士は示談金として5万円を提示、、、あなたは承諾した』
『そ、そうです』
『そして書類の作成を依頼、あなたは、これで解決できると確信した、、、』
『はい!その通りです!』
『何か気付きませんか』
『あっ、私は謝ってない・・・』
『そうですよ、この図を見ると、あなたは自分の事だけで動いてたのが分かるでしょう』
『はい、分かります』
『では、どうしなければなりませんか』
『はい、誠意を持って謝らなければなりません』
『そうですよね、普通の人なら分かりますよね』
『申し訳ありません!』
ようやく顔を上げて私と目が合いました★
『・・・・・やっと誠意のこもった謝罪になりましたね』
『すみませんでした!』
横を見ると、奥さんも目に涙を浮かべて頭を下げています★
『奥さんは泣かないで下さい、女性の涙は苦手なので』
『本当にすみませんでした』
深く頭を下げていたのですが、この言葉でより一層深く下げてしましました★
その後、事の流れを把握できて、夫婦は気持ちの張りが取れたのか、少し穏やかな顔になっています★
私は二人が落ち着いたところで、こう言いました★
『取りあえず、今日のところはこれで終わりにしましょう、お二人は、そちらの弁護士に今日までの経過を伝えて下さい、私は示談書と示談金には応じますが、万が一後遺症の通院となるかもしれないので、そのあたりはご考慮下さい、あっ、安心して下さい、法外な要求はしませんし、後から首が痛いだの腰が痛いだの言って追加の慰謝料を取ろうなんて事もしません、示談書に明記しても結構です、私は今回の事で、あなたを許した訳ではありませんが、弁護士を通して手続きをしっかり取っていただけるのであれば、それ以上の要求はしないつもりです、ですので、再度弁護士と相談してから私に連絡して下さい』
『はい、分かりました』
『では、失礼します』
私は喫茶店を後にしました★
続く
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