水神に星の氾濫寒造り 青萄
凍蝶や光背に似て龍宮門
煮凝やむくろはなにもほしがらず
梅二月啾啾と哭く鬼の谿
梅今宵キツネ遊ばす庭蒼し
梅が香の濃きはせつなし黙祷す . . . 本文を読む
春没日水の地球は火だるまに 青萄
梅ふふむ吾子こゑたてて笑ふ日に
羊蹄はしげるは喧嘩ははじまるは
サーカスの従順な象竹の秋
市民農園すこし残りて冬野菜
沫雪やきしきしきしとみんな骨
  . . . 本文を読む
山眠り繿縷の流れのこしけり 青萄
鮃でいえば目と目のあいだが光年
うつらうつら妻は現世で葱焼いて
絶滅に理由のありぬ手鞠唄
雪蟲のさびしき色のすぐ脱げて
大鷺真白すつくと立つや汚染水
&nbs . . . 本文を読む
霧降の山神さま
球磨川のラグーンの洞やキツネ哭く 青萄
夕飯つくるギリギリまでも枯野
しずり雪ねはんで待つという男
雪道やメタセコイアは佳き姿勢
お降りのなかへ戻りし永遠(とわ)の猫
初山河紙 . . . 本文を読む
鉄・非鉄買い取りします金風も/青萄
要らぬとはなかなか言えず干す芋茎
紅のハザードマップ鷹の翳
知らぬ道あれば寄るべし馬力神(無季)
木も川もカムイとなりぬ黄落期
オオバンを狙う . . . 本文を読む
全電源停止リンゴころげ出る/青萄
銀行の粗品の上のかまどうま
白かぶら赤のかぶらもキウと哭く
優駿のなぎわたる眼や霜の朝
あそこにはぼくのシクラメンがあります
水神の石を上座に秋 . . . 本文を読む
新絹や高きに巻けるうすき雲/青萄
菊月の一子相伝甕覗
下水湯(シャーシェイタン)なおも迷える野分道
十三夜月まつたき鹿毛の水しぶき
地震三日救援のヘリ枯野より
晴渡る百年後にも蘆 . . . 本文を読む
立葵ついにばらまく鶏の餌/青萄
星涼し山で言い争う二人
オーデコロン醜男立ち読みの邪魔
山川草木悉有仏性威銃
踏むこともできぬ悪相姫胡桃
忘られぬ草にどくだみ草の闇
日を矯めて . . . 本文を読む