対馬康子／手袋の五指恍惚と広げおく

年の夜の瞽女(ごぜ)にさしだす米こさぐ／青萄 . . . 本文を読む

対馬康子／いつもかすかな鳥のかたちをして氷る

全電源停止林檎ころげ出る／青萄 〈対馬康子先生の選評〉現代社会の一断面が見える。家だけでなく町中の、いや世界中の電源が停止した闇に、一個の赤い林檎が転がって来るというシュール。 . . . 本文を読む

杉山久子／深海魚うつくしく煮て十二月

換気孔連打する風鳥渡る／青萄 〈杉山久子先生の選評〉連打という言葉に、激しい音も伴う風の強さが出ています。空にはその風の中を渡ってくる鳥たち。生きてゆくもののエネルギーを感じさせる句です。 . . . 本文を読む

庄田宏文／剥製は咆哮のさま冬の星

炭つぐや一人と遺影でもかぞく／青萄 . . . 本文を読む

夏井いつき／おそろしきこと言ひにゆく十二月

鹿柵をへだて根のくに霧の鹿／青萄 . . . 本文を読む

金子 敦／葱提げてピアノ奏者の帰りけり

赤かぶら白のかぶらもキウと鳴く／青萄(再掲) . . . 本文を読む

広渡敬雄／石鹸に文字の手触り十二月

優駿のなぎわたる眼や霜の朝／青萄(再掲) . . . 本文を読む

有馬朗人／古日記あの時か我が関ヶ原

生姜湯の微妙に溶けぬものも呑む／青萄(再掲) . . . 本文を読む

保坂リエ／師走来る世に厄介なこと多し

しし鍋の果ててあらわになる荒野／青萄(再掲) . . . 本文を読む

長嶺千晶／地獄絵図見て新蕎麦を啜るなり

乾風(あなじ)吹く大魔神のごとアボジ坐す／青萄(再掲) (オマケ) . . . 本文を読む

岩岡中正／冬川の音立ててゐるひとところ

水涸れておらぬか不孝の子であるか／青萄 . . . 本文を読む

杉山久子／竜の玉こぼれ太古の空の色

コスモスは揺れているだけ笑いヨガ／青萄 . . . 本文を読む

加藤秋邨／藷粥や父とよばれて飢ゑしめき

馬搬するこの世の朝の息白し／青萄 . . . 本文を読む

有馬朗人／千本の氷柱の中にめざめけり

あそこにはぼくのシクラメンがあります／青萄 . . . 本文を読む

仲 寒蝉／高原に幕引くごとく秋の蝶

生きるとは目玉大きく赤とんぼ／青萄 . . . 本文を読む