
若い頃、職場での(部署が違う)年上の先輩の話です。
ペドロ&カプリシャスの「五番街のマリーヘ」のなかに、「五番街は近いけれど、とても遠いところ」とあります。そのフレーズのような、先輩の恋心を延々と聞かされたことがありました。
彼が大学生の頃、あるサークルで好きになった女性。就職した後も恋焦がれ、憧れ続けたひと。結婚して子供もいるようになったのに、未だその恋の炎は衰えていないようでした。
彼女が同じサークルに居たから、僕は勉強も頑張れた。彼女に少しでも僕の存在を認めてもらいたい、そればかりが心を占めていた。
就職しても、彼女がどこかで見ていてくれるかも知れない、と必死で頑張った。彼女に相応しい男になりたかったのだけど・・。今考えるとあの頃が一番、僕の人生は充実していたなぁ、と。

「その人は今何処にいるのですか」
割と近いところに居る。今じゃ咥え煙草でね、片膝立てて、男たちに混じって毎日のように麻雀している。
「綺麗な人なのですか」
うーーん、それほどでもない。顔だけなら君と同じか少し下くらい。でも、頭脳は抜群だった。しかし、たとえどれほど彼女が変貌したとしても、僕にとっては”永遠の女性”なんだ。
「職場が近いなら、会いに行ったらどうです」
それがそうは行かない。近いけれど、彼女との距離は遠いんだ。今は仕事も、僕は昔ほど一途に頑張っていないし、この体たらくだから。
「告白したことがあるのですか」
いや、とんでもない。そんなことは一度もない。そもそも、僕の名前を覚えているかどうかもハッキリしないね。
(・・ほぉ~ただの”片想い”だったのかい)

先輩は、きっと夢見て望んだのだろうな。彼女が「私もアナタを愛している」と言ってくれることを。
彼は、彼女を愛していたその頃の、純粋無垢だった自分のイメージが愛おしいのではないだろうか、と思った。
なぜなら、その後彼女を上回る美人が出てきたとしても、彼女より頭の良い女性が出てきたとしても、彼の中では、彼女は「絶対的地位」に居続けるに違いない。他の人と、今さら比べようがない事だからだ。
この先輩は仕事は出来るが、ある種の生活破綻者のようだった。家庭をまったく顧みない。そもそも、ふらふらと遊び歩いて家には帰らない。着替えに帰るだけらしい、と他の人が話していたのを聞いた事がある。
それで、30半ばで”夢”みたいなことばかり考えている。もしも結婚相手が、あの「憧れの女性」だったならばこうはならなかった、というのだろうか。

かつてテニスのM氏が結婚会見をした時、のけぞるような事を言ったのを思い出す。
「・・しかし、結婚してから妻よりもっと好きな女性(イイオンナ)が現れたらどうしようって。。。あれっ、皆さんはそんなこと思いません?」って。ホント、この男アホかと思いましたけど^^;
一番好きな人とは結婚しないほうがいい、などと穿ったことを言う人もいます。愛の想い出は、美しいままにとっておこうということでしょうか。
苦いような「愛していると言ってくれ・・」。かつてトヨエツの重ーーいドラマがありましたっけ。

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美しすぎて
超えられない
だけど自分の
負担になってる?
…「重いで~
「過去」は「大切にするもの」で
「縛られるもの」では無いような
気がしてます
話は飛びますが、
「男性の恋愛経験の少なさ」と
「相手に求める理想の高さ」が
反比例するそうです
…僕はどれだけ理想が高いのでしょう
んーー、なかなかのロマンチストかにゃ?ふむふむ(笑)
この思い出というものも、一種の思い込みでしょうか。それほどの「いい男」「いい女」でもなかったかも知れませんよ~
でも、ホント蓼食う虫も好き好きとか言うし。
面影ばかりを追い求めていないで、現実の彼女に当たって砕けてしまえ!
なるほど、反比例ね。んじゃ、私も理想が高いはずだわ。あはは
コメント、ありがとうございました
恋心は、下心ですからね。^^
男は幾つになっても恋心を持っているものです。
じぃじの場合は、相手がいないだけですがね^^
今日の俳句はよかったですね。
トーコさん、また明日ね^^
そうですか?
ひよどりさんところのコメントですか。
トーコさんもひよどりさんもすごい理知的な方と思います。なかなか話題も豊富で楽しいです。
私もこうに書けたらいいなぁと思ってます。
↑トーコさんも俳句をすごいですね。
その感覚がうらやましいです。
恋のお話はいくつになってもほほえましいものです。
好きですね~~こういうお話。
大阪が私の家でパソコンは夫のパソコンより投稿です。ノートは持っていないのです。欲しいですね。
私です。そそかしい性格が丸出しでした。
胃と肝臓が悪くなると、イカンゾウ・・・
世の中、男と女がいて楽しいのです。
どちらかだけではイカンゾウ・・・
それにしても「ダメ男」ですね。
この先輩は趣味がなかったのですか?
いろんな趣味を持っていれば、自然に仲間はできるものです。年齢に関係ありません。
アハハ^^下心って、それは「恋心」とは違うでしょう
私はウニもイクラもタラコも数の子も、なんでも高カロリーの物が好きなのですよ。ヨロシクね、じぃじさん
「俳句歳時記」を買ってきたけど、まだ見ていません^^; コメント&ポチ、ありがとうございました
「恋の話」
今度、秘密で詳しくお話しましょう。。ひーー
大阪は、暑いですか?寒いですか?「地球最強の女」に乾杯~
コメント、ありがとうございました。あ、私、全く理知的ではないですから、そこンとこヨロシク
ノカンゾウ、綺麗でしょ。実物の色は、橙色の方がもう少し薄かったですけれど。
八重がヤブカンゾウですね。同じ色で八重もありますね。
先輩の趣味ですか?麻雀を始めとするギャンブル全般ではないでしょうか。
山小屋さんの趣味は山ですから、ほとんどお金もかからなくて、良いですね。健康的だし。交通費が多いのでしょう。うちの夫も、山に行ってくれればいいのに。。。なんて
コメントありがとうございました
心は 隈無く見つめます・・・・ハイ
恋心は盲目になります。
好奇心は冷めた目でシッカリと見つめます。
恋多き山裾、日々野に山に恋いこがれています。
実は近くにいたりするのですが、めったに会うこともありません。
彼女も結婚して子供がいますからね。
夢によく出てきたものです。夢の中ではお互いに好き同士なのですが、実際は片思いだったのでしょうね。
怖くて気持ちを告白することすら出来ませんでした。
その人ともし・・・、なんて考えも、もうなくなりましたけどね。(笑)
テニスのM氏は馬鹿ですね。
私はあの顔を見るとテレビを消すかチャンネルを変えますよ。
最悪のキャラクターですね、あれは。
応援☆
>心は 隈無く見つめます・・
まぁ~、詩人ですね
「好奇心」はサメタ目で見ますか?。。なるほどね
目前に食糧危機が来ています。農業が見直されるかも。。物を作る人は、今は貴重ですもの。
コメントありがとうございました
夢の中では好き同士。そうそう、そんなことありますね。日頃の願望が・・^^
「夢」について語らせたら、アナタはプロですよ(笑)一場の夢「41番目の猫」では、、、”杜子春”を思い出しました。
たいへんな創作とメンテナンス。メジャーになる道程も命がけ?かもしれません
コメント、ありがとうございました
じぃじさんの句に何か書けと言われてもですね、先生の句に”ダメ出し”はあり得ないしねぇヽ(≧▽≦)/キャー
昨日今日始めた人ではなく、上手な人に何か言って欲しいですけど。。^^
お忙しいのに、いつもありがとうございます