進まぬ個人住宅の耐震化、防災投資に消極的な日本企業・個人。遠い未来と思っていたこれまでの時代とは違い、発生周期から近い将来確実にやってくる巨大地震に今のところ完全防備とはいえない状況だ。
巨大地震にいかに備えるか。それには被害を最小限に抑える様々な事前対策が必要だ。被害を最小限にすることが、その後の復興をスムーズに行えることになるのは間違いない。また、地震災害で露呈した問題を教訓として次代に引き継ぎ、さらに防災力を高めて次の地震に備える、その繰り返しが巨大地震にびくともしない安心して住める社会を築くことになるのではないだろうか。
しかし、我々国民は地震防災をこれまで他人まかせにしてきた。地震被害にあえば行政に物資面、金銭面を全面的に頼る社会構造は変わっていない。国民ひとりひとりが地震災害の恐さがわかっても、これにどう立ち向かうのか術を知らない。日本は個人財産、地域社会を国が守ることはない。地震により住まいや家族をなくしても国は一生面倒をみてくれない。これが現実だ。大人も含めこれからは次代を担う子供たちへの防災力の教育がまず必要だ。
行政に頼ってはいけないのは事後のこと。事前対策には金銭面、物資面も含め積極的に活用すべきだ。地域社会との連携も重要視される。近所との助け合いは必要だ。普段あまり接してなくてもイザ!というときはお互いに協力しあう・・・あたりまえのことだ。
今後30年以内に99%の確率で発生する宮城県沖地震。そんな宮城県の民放仙台放送が開局45年記念番組「リサーチャーズ 地震予知の探究者たち」で放映された内容が専門サイトとして公開されている。なかなか読み応えがあり、コラム等が面白い。
<仙台放送 大地震に備える>
http://jishin-info.jp/index.shtml
<仙台放送>
1854年安政東海地震から154年が経過した。南海トラフ沿いでは東海地震、東南海地震、南海地震が連動して、ときには同時に発生するとされ、単体で発生することはめずらしい。1944年、1946年に昭和東南海地震、昭和南海地震が発生し、南海トラフの東端に位置する駿河トラフの東海地震だけが発生しなかった。東海地震が「いつきてもおかしくない」といわれる理由である。
しかし、歴史上では連動して、同時に起きる巨大地震が繰り返されており、次期地震は間違いなく3地震連動・3地震同時の南海トラフ巨大地震であろう。以前から多くの研究者が指摘しており、国のこれまでの東海地震予知政策から大転換がはかられた研究成果であった。
名古屋大学の研究者によるレポートによると、3地震の被害は、兵庫県南部地震により戦後最大の被害となった阪神・淡路大震災の10倍となる。
<名古屋大学大学院環境学研究科 福和伸夫氏>
http://www.sharaku.nuac.nagoya-u.ac.jp/~fukuwa/paper-pdf/APLA2.pdf
1854年におきた東海地震は静岡県磐田市、清水市、三島市等で震度7を記録した。東京大学地震研究所行谷氏、都司氏のレポートは寺院被害記録にもとづく静岡県内の震度を検証している。
<歴史地震第21号>
http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_21/P201-217.pdf