ニュージーランドで昨年9月に発生したM7.0の大地震により、ニュージーランド第二の都市クライストチャーチを中心に大きな被害となった。
この地震により、ニュージーランド政府が運営する国営地震保険の保険金支払いが35億NZドル(約2,200億円)を超えることが確実となった。これまでの請求件数は9月以降に発生した余震も含め過去最高の18万件を超え最終的な支払額はさらに増えそうだ。
ニュージーランドの地震保険は、国が設立したEQC(地震委員会)という組織が中心となり運営されている。地震だけでなく自然災害も補償されるようだ。EQCは保険料を自然災害基金として蓄積し、国の監視のもと基金を海外株式(約30%)、政府債券(約60%)、現預金(約10%)等で運用しており、現在の基金残高は56億NZドルにも上る。
EQCによると、保険金の支払い総額が15億NZドルまでの損害をEQCが負担し、それを超える保険金支払い総額の場合、40億NZドルまでを海外再保険により回収しEQCが負担する。さらに40億NZドルを超える場合には基金残高が尽きるまでEQCが負担し、それを超える場合にはEQCの支払い能力を超えるためニュージーランド政府が無限に支払いを保証するといった基金残高との裏付けのある仕組みをとっている。
今回の地震により、EQCの基金は15億NZドル減少するが、災害補償の仕組み継続には大きな影響はなさそうだ。政府が関与する災害補償の保険としては世界的にみてモデルとなる制度である。日本の災害補償の被災者生活再建支援、保険、共済等はニュージーランドと比較し基金の裏付けが乏しく大災害が発生した場合に制度が継続できるのかの問題を抱える。