地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

地震と費用の問題

2007-09-17 | 地震リスク

99%の確率で今後30年以内に宮城県沖地震発生が懸念される仙台市で、倒壊する恐れのあるブロック塀の解体費用の工面ができない状況を河北新報が報じている。

 

1978年宮城県沖地震ではブロック塀の下敷きになり多くの死者を出した。あれから30年が経とうとしているが、ブロック塀問題は解決されていない。全国の地震災害をみてもブロック塀の崩壊が起こっており、地震の来る前に除去、改修することが必要だ。「費用高く」との問題は補助制度を検討するだけでなく、行政からの撤去命令等の強制力が必要だ。この現状から待ったなしの状況ではないか。

 

地域防災力が問われる中、事前に地域の危険箇所の除去活動が重要なテーマであるが、事後の避難、救助だけに力点を置く自主防災活動の地域が非常に多いことは残念だ。防災活動をする人々の努力不足、専門知識不足のみならず、リーダーとしての資質も問題だ。

 

<河北新報: 倒壊恐れのブロック塀 費用高く解体無理6割 仙台

http://www.kahoku.co.jp/news/2007/09/20070917t13034.htm

 

<仙台市:仙台市ブロック塀等除去補助金交付事業について>

http://www.city.sendai.jp/toshi/jutaku/bousai/block/index.html

 


東京都の住宅耐震化

2007-09-15 | 地震リスク

平成19年新潟県中越沖地震発生から2ヶ月になろうとしているが、未だに被害件数は毎日増えている。新潟県が発表した9月14日現在の被害状況によると住家被害は39,035棟にも上る。心よりお見舞い申し上げる。

 

今回の中越沖地震では4千棟以上が全壊、大規模半壊、半壊と認定された。最大震度6強でも倒壊する多くの原因は建物の耐震性が不十分であったこと。全国各地ではこの住宅の耐震性の問題と大都市部では住宅密集市街地の問題が重なり、巨大地震時の被害拡大が心配されている。地震による揺れと火災に対する事前の対策が重要だ。

 

東京都では住宅の耐震化、住宅密集市街地の解消を急いでいる。東京都Web広報6月号が参考になる。また具体的な耐震化事例も費用も含め紹介されており、費用に悩む方々の参考にもなる。

http://www.koho.metro.tokyo.jp/koho/2007/06/taisin.htm

http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/kenchiku/taisin/


情報は正確に

2007-09-14 | 地震リスク
「正確に理解」半数近くに増加 10月開始の緊急地震速報(共同通信) - goo ニュース

緊急地震速報の理解度が増してきたが、以前のような科学者、有識者による「どこそこで大地震が来る!」といった無責任な地震発生の予測デマと違い、この緊急地震速報は地震が発生していることをいち早く伝えるシステムなだけに期待が大きい。

最近、地震、防災に関するブログを目にする。昨日もあるブログにはインドネシア地震のUSGS発表のマグニチュードを間違って掲載していたり、更新されていなかった日の記事が後にその日に更新されたかのように掲載されたりと情報が本当に正確なのかこのページを読む気にならなくなった。

地震災害は人の命にかかわることであり、情報の発信、伝達に誤りがあってはならない。

金融市場のBCPは大丈夫か

2007-09-11 | 地震リスク

同時テロ6年、全米で祈り NYの追悼式に遺族数千人(共同通信) - goo ニュース

 

9.11同時多発テロから丸6年の歳月が流れた。数多くの尊い命を失い世界は今でもその悲しみは消えない。

 

日本では、同時多発テロ、阪神・淡路大震災を教訓に、事業継続計画(BCP)が各分野で作成され巨大地震や新型インフルエンザ等の未知のリスクに備えた計画が整備されている。特に、金融市場では各市場がいったん閉鎖されてしまえば信用不安が増幅され、「日本売り」になりかねない。金融当局、証券、銀行業界が中心となり金融のBCPを作成しているのが現状だ。各取引所、各金融業界が公表しているBCPの内容は以下のとおりである。

 

<東京証券取引所 2007年3月改定>

http://www.tse.or.jp/about/bcp/

http://www.tse.or.jp/about/bcp/bcp2004.pdf

 

<ジャスダック>

http://www.jasdaq.co.jp/data/bcp180125.pdf

 

<日本証券業協会 証券市場全体のBCP構築に向けた取組み(中間報告)について>

http://jsda.cab.infoweb.ne.jp/html/houkokusyo/bcp_bukai.html

 

<日本銀行 高度化セミナー >

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/fsc0609a.htm

 

<日本銀行 業務継続体制の整備状況に関するアンケート(2006年12月)調査結果>

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/ron0703d.htm

 

<全国銀行協会  短期金融市場取引活性化研究会 >

http://www.zenginkyo.or.jp/news/16/pdf/news160426.pdf


企業防災の現状

2007-09-10 | 地震リスク

安倍首相の今日の臨時国会での施政方針演説で「安心・安全な生活」に関し、地震については「住宅の耐震化」を一言述べたにすぎなかったのは非常に残念であった。

 

残念な結果といえば、先日3日、日本政策投資銀行の「企業の防災への取り組みに関する特別調査」結果がニュースリリースされ「事業継続計画(BCP)策定企業は8.0%(前回(平成18年1月)調査時7.9%)財務的な備えは物的損害に限っても6割の企業で不十分」との結果となった。住宅の耐震化同様に、企業の防災対策が進展していない現状がある。

 

<日本政策投資銀行ニュースリリース9月3日>

http://www.dbj.go.jp/japanese/release/rel2007/0903.html

 

特に企業の場合、突然の地震により工場、事務所等の建物・施設被害、経営陣・従業員・社員の死傷により、営業・操業・生産がストップしてしまい経営に甚大な影響を与える可能性がある。あわせて復旧までの資金繰り、資金調達が会社の命運をわける。地震により企業業績に影響を及ぼせば日本経済全体に波及しかねない。

 

このようにわかっていても企業の防災力が強化できない理由は二つある。各企業経営者の「地震リスクの評価」が不十分であること、また、「非常時の資金調達」が「個人の住宅再建問題」と同様に制度化、商品化されていない未発達な現状だからだ。

 

特に後者はあらゆる企業側からの熱い期待だけが先行し、非常時でも何とか貸してくれるだろうという甘い期待がある一方、金融機関も非常時だからといってあらゆる企業に安易に貸し出すわけもなく、一部コンティンジェント・コミットメントラインにて企業を事前に選別するなどして商品化はされているものの、震災時にあらゆる企業が財務的な手当てを確かなものにする制度は存在していない。

 

住宅再建同様に、企業再建は事前の手当てを考えることが必要だ。


住宅耐震化の実態

2007-09-09 | 地震リスク

明日から臨時国会。政府・与党は被災者生活再建支援の条件を緩和した法改正案を提出する。条件の緩和は年齢制限、年収制限、支給制限、支給使途におよび、住宅再建・補修等に初めて支給される内容だ。

 

被災者にとっては一歩前進といいたいところだが、果たしてこの政策、政治判断でいいのだろうか。被災者を生み出さない、できるだけ少なくする政策こそが先で、住宅の耐震化、建替えを実行する政策が日本の正しい「美しい国」づくりではないのか。国民にとっては「地震で被災したら支援金が手に入るので耐震化、建替えなどする必要もない。お金の無駄だ!」・・・・

 

先の新潟県中越沖地震でも11名もの死者を出し、その多くは建物の倒壊による下敷きになったお年寄りの死者だ。午前中と人間が活動する時間であったことが多くの犠牲者をださずにすんだのかもしれない。柏崎市は884棟の全壊とは驚異的な数字だ。今後、同様な事態がおきれば住宅再建支援金を得る前に倒壊の下敷きになり命を落とすかもしれない。住宅の耐震化・建替えは国民にとっては命をつなぐための政策だ。

 

今回の臨時国会は安倍政権、民主党野党の人気取りの政策が多い。被災者生活再建支援法の改正は慎重に審議すべきである。耐震化・建替えの促進・実行する政策の論議が活発になることを期待したい。耐震化・建替えができない理由は資金の問題が一番。補助金を増やす、お年寄り等の資金支援こそが被災後の地方公共団体、国の財政負担の軽減になることは間違いない。

 

<国土交通省資料>

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/taishin/05jokyo.pdf

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/taishin/jisinnbousaisuisinkaigi/3sankousiryou1.pdf


首都圏直撃

2007-09-07 | 環境

台風9号、北海道へ=東北縦断、けが77人に-土砂災害の危険続く・気象庁 (時事通信) - goo ニュース

最強の風と雨だった。東京は東から吹く風が驚異的な風速で正直恐かった。多摩川は大変な事態となった。数多く救出された青テントの人たちは夕べから避難していなかったことは多摩川の恐さを知らない最近住み着いたものか。今回はチラシを配って避難を呼びかけていたとのこと。数年前にも同じように増水したことをニュースで覚えている。古くは、テレビドラマ「岸辺のアルバム」の舞台が多摩川だ。スーパー堤防の整備もすすむ一級河川であるが・・・多摩川河川敷は住む場所ではない。

台風9号の画像(米国NOAA)

http://www.osei.noaa.gov/Events/Current/TRCfitow249_GJL.jpg

http://www.osei.noaa.gov/iod.html

 

多摩川(京浜河川事務所)

http://www.keihin.ktr.mlit.go.jp/tama/index.htm


震災対策が本格化

2007-09-07 | 地震リスク

震災対策で建て替え促進 政府が年内に実態調査へ(共同通信) - goo ニュース

 

老朽化マンションの建替え促進が本格化する。マンションが被災するとマンション居住者の動向次第で建替え、補修上の問題が表面化し、居住者同士の戦いに発展してしまう。阪神・淡路大震災ではこの問題が初めて社会問題となった。東京でも数多い築30年以上のマンションが存在する。同じ問題になる前に解決しておきたい。

 

 

日本経済新聞夕刊一面に「被災者支援 支給条件を大幅緩和」が掲載された。年収上限を500万円から800万円に引き上げ、これまでの条件に応じた支給額を定額支給にし、生活補助と初めて住宅再建費用に資金が利用できる。政府・与党は臨時国会に法改正を提出する。

 

財源は都道府県の拠出基金と国が半分を補助するが、565億円足らずで巨大地震では制度が破綻する。条件の緩和もいいが、これでは建替え促進、耐震化促進に逆行することになり、国民の税金が弱者救済のみならず、自助努力しない危険な住宅所有者を奨励することにならないか。安倍政権の政策が無茶苦茶である。

 

都道府県の拠出が増額できない証拠となるニュースが報じられている。

500自治体が基準超え 財政悪化、裏付け(共同通信) - goo ニュース

実質公債費比率、全国最悪に 兵庫県06年単年度(神戸新聞) - goo ニュース

 


地震の注目記事が目白押し

2007-09-05 | 地震リスク

ブロック塀撤去費に補助 震災時の「凶器」取り除け(共同通信) - goo ニュース

2008年度から震災対策として撤去費への補助制度を設けるとのこと。注目すべきニュースだ。

 

住宅本体再建への支給「難しい」=被災者支援制度の見直しで-泉防災相 (時事通信) - goo ニュース

泉大臣は常識的な判断だろう。自分の懐具合で建てた家を他人の懐具合で建て直すこと自体無理というもの。自助努力しかない。

 

毎日新聞:地震デリバティブ:損害、100億円規模で補償…企業向け

地震リスクの金融商品開発がさらに進歩することが望まれる。地震リスクの証券化、デリバティブ等のリスクファイナンスだけでなく、あらゆる可能性を検討した商品が望まれる。証券業界、金融業界に期待したい。

 

朝日新聞:電話が大地震をカウントダウン 三洋電機が開発

新潟県中越地震で子会社が被災した三洋電機。ドコモキッズ携帯の王者の発想でさらに注目される商品化だ。三洋電機を応援したい。

 

日本経済新聞:「大災害債券」の発行急増

この1月から7月までに57億ドル(6,700億円)の新規発行がされたそうだ。高利回りが魅力の分、ハイリスクであることも忘れてはならない。記事では、金利はLIBORベースに500bpと驚異的な上乗せだ。発行期間(5年前後)に巨大地震がきたら元本が没収されることから、日本の地震リスクをよく見極めて投資したいものだ。格付けは発行体の親が優良でも精々B格がいっぱいいっぱいか?!


将来の地震への不安

2007-09-04 | 地震リスク

全壊世帯に150万円を支給 中越沖地震の義援金(共同通信) - goo ニュース

新潟県中越沖地震で集まった義援金は平成16年新潟県中越地震の2割程度と少ない。義援金に全面的に頼ることは元々無理ではあるが、少しでも多くの配分により被災者が救われることを願う。首都圏で地震が起きれば、義援金の配分は微々たる金額になってしまうことだろう。

 

「60万人分、対策難航 首都直下地震 避難所不足」 4日の朝日新聞報道

首都直下地震で大変な試練が待ち構えている。避難所が不足することがそのひとつ。

23区内で避難所に入れない人は60万人以上とのこと。平日に起これば帰宅難民が大量に23区内に滞留することも不安要素だ。