読む日々

テーマばらばらの読書日記

芥川症

2016-05-12 | 小説・現代
久坂部羊「芥川症」



芥川龍之介の小説名をパロディ化した短編7篇。

病院の中…藪の中。父の死の経過を知るために病院中をウロウロする羽目に陥った息子。

他生門…羅生門。心臓移植で命を得たもののその募金に絡む政治家等の思惑に振り回される男。

耳…鼻。耳好きな新人作家がたどり着いた境地。

クモの意図…蜘蛛の糸。功徳を積みたい看護師

極楽変…地獄変。ある彫刻家のパトロンになってしまった医師の秘密。

バナナ粥…粥。ケアマネージャーが関わった父親と息子。

或利口の一生…過剰ながん治療は無駄と、在宅医療に身を投じた医師の死に様。

さすが、だけど耳と極楽変はグロテスク過ぎてorz
バナナ粥は介護問題を真剣に考えさせられた。
面白かったのは書き下ろしのラスト、或利口の一生。理想と現実はかくも違うのか。

満足度80