岡松和夫「峠の棲家」
九州のどこかが舞台みたい。
昭和26年早春、春休みで帰省した大学生の安志は、末期の肝臓ガンで寝ている祖母の八重に頼まれ、祖母八重の出身地、日向村へ同行する。
ダムに沈む予定の村の墓地を気にする祖母。
村を訪ねてからみるみる生気を取り戻す。
安志が5歳の頃、父はこの村の先の滝へ結核の身で祈祷へ行き亡くなった。同行していた母は、夫を亡くし、息子二人を継母の八重に面倒を見させ、泊まり込みで看護婦をしていたが、その後空襲で家を焼かれ、だんだん心が折れていき、安志が中2の時に精神病院で最期を迎えていた。
八重は、峠の空き家に住みたいといいだす。
そして安志と暮らすうち元気になり、ある日、安志の両親が行った滝へ2人で行こう、と言い出す。
何か結論があるわけではない、昭和26年春の、死を前にした老女の、生まれた場所への邂逅のお話。だけどなんだか読むうちに自分が浄化されていくように感じる。
なかなか良い本。
余談。八重がたったまま用を足す様子、亡くなった祖母を思い出させる。
満足度90
九州のどこかが舞台みたい。
昭和26年早春、春休みで帰省した大学生の安志は、末期の肝臓ガンで寝ている祖母の八重に頼まれ、祖母八重の出身地、日向村へ同行する。
ダムに沈む予定の村の墓地を気にする祖母。
村を訪ねてからみるみる生気を取り戻す。
安志が5歳の頃、父はこの村の先の滝へ結核の身で祈祷へ行き亡くなった。同行していた母は、夫を亡くし、息子二人を継母の八重に面倒を見させ、泊まり込みで看護婦をしていたが、その後空襲で家を焼かれ、だんだん心が折れていき、安志が中2の時に精神病院で最期を迎えていた。
八重は、峠の空き家に住みたいといいだす。
そして安志と暮らすうち元気になり、ある日、安志の両親が行った滝へ2人で行こう、と言い出す。
何か結論があるわけではない、昭和26年春の、死を前にした老女の、生まれた場所への邂逅のお話。だけどなんだか読むうちに自分が浄化されていくように感じる。
なかなか良い本。
余談。八重がたったまま用を足す様子、亡くなった祖母を思い出させる。
満足度90