加山さんをお迎えに行くと、
ヘルパーさんが送り出しで入っておられます。
もうご主人さんは剪定のお仕事に行かれておりません。
ですから家の留守を守っている意識がとても強くなっています。
「デイサービスに行きましょう」
とお誘いしても、
「私は行きません」
ときっぱり断られます。
それでも執拗にお誘いすると、
「行かないって言ってるでしょ!」
と怒りモードに入られてしまいます。
「何度も同じことを言わせないで!」
という気持ちにさせてしまいます。
それで「行きましょう」という誘い方ではなく、
「加山さんの力が必要なんです!
加山さんとお会いできるのを、
とても楽しみに待っている人たちがいるんです。
だから絶対にお連れしないと私叱られてしまいます!」
と切々と訴えます。
「私とお会いしたい人って誰よ?」
とここで馴染み方々をお伝えします。
「〇〇の奥さんとか、▲▲のご主人とか」
「ふ~ん。で、私が行かないとどうなるわけ?」
「そりゃあ、もう盛り上がりません。
だって今日は節分ですから、
加山さんがいらっしゃらないと鬼は逃げていきません。
皆さんも困ったなあって言いますよ」
「またうまいこと言ってぇ」
でもまんざらそうでもなく、
「それじゃあ、どうしようかな?」
とちょっとだけ首をかしげて考え始めます。
ところが、このいい雰囲気になったところで、
予期せぬおじゃま虫が入ります。
「ゆうびんで~~~す」
と郵便配達の人が来てしまいました。
せっかく盛り上がってきたところなのに、
加山さんはその郵便を受け取るやいなや
お家の中に戻って行ってしまいました。
(あ~あ。どうして今くるの)
と私の胸の中で何かが音を立てて崩れ落ちます。
(ここまで来たのに・・・)
と悔し涙を右手でそっとふいて、
もう一度仕切り直しです。
でも、
「あなたの力が必要なんです!」
というスタンスは変わりません。
「他の誰でもない、あなたなんです」
「あなたの代わりは誰もいないんです」
という思いをやさしく、まじめに、ちょっと頑固にお伝えします。
「それじゃあ、ちょっとだけ行ってくるわ。
お昼が終わったらすぐ帰りますからね。
留守たのんだわよ」
ということでさっそうと送迎車に乗られたのでした。
この、
「あなたの力が必要なんです!」
という思いは、
私の基本的信念でもあります。
どなたに対しても、
この思いで接することが、
とても大切だなと思います。
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