前回⑦からのつづき。
私は福田さんと目を合わせながら、
ヘルパーさんに小声でこう言いました。
「あなたがそこに座っていたら、
デイには行きませんよ」
自分の事業所のスタッフではありませんので、
指示を出すのはとても気が引けたのですが、
このヘルパーさんのいる位置を変えないことには、
福田さんの腰が上がることはないと感じたのです。
ヘルパーさんは何かを感じたらしく、
はっとしたような表情になり、
立ち上がって玄関の上がり框(かまち)からおりて、
私の右側に立ちました。
すると、今度は福田さんがそれを見て、
はっとしたような表情をされて、
「わたし、行きます!」
と言われたのです。
きっとこのとき、
私よりもヘルパーさんの表情が変わったのだと思います。
福田さんはその顔を見て行くと決めたのだと思います。
私たち介護する者が相手のどの位置にいるかで、
その人の意欲や動きを引き出したり、
逆に封じ込めてしまうときがあります。
これを私は、ポジショニング と呼んでいます。
利用者さんから見て、私たちがどの位置にいるかで、
動きやすくなるし、動きにくくなります。
その最善のポジション(位置)を探しながら、
つねに私は動いています。
違う言葉で言えば安心する距離です。
この場合は一緒に並んで座っているのは、
相手の共感を呼ぶかもしれませんが、
一歩前に意欲を引き出すポジションではありません。
逆に私たちが一緒に立つことで、
私たちの後ろに見える外の世界に視線が行き、
「行きます」と言ってくださったのでしょう。
あとはあきらめない心が大事ですね。。。
次はコタツに入ってテレビを見ながら朝ご飯を食べている人を
どうやって送迎車に乗っていただいたかのお話です。
しかもそのテレビは大好きな時代劇「子連れ狼」です。
番組が終わるのを待っていたらとても間に合いません。
そんな場面に遭遇した人は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
ひとつのヒントにしていただけれたら嬉しいです。
では、お楽しみに。。。
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