緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

力強さを取り戻された患者さん

2009年02月04日 | 医療

数年前のこと・・

他院で治療中の患者さんが
疼痛コントロール目的で緩和ケアの外来にいらっしゃいました。

乳がん、骨転移で、両上肢の神経障害性疼痛、首の疼痛を強く感じていらっしゃいました。

モルヒネからオキシコドンにオピオイドローテーションし、
メキシチール300mg 3X、ペオン3T 3Xで少し落ち着かれました。
ガバペンも、セレコックスもまだ発売されていない時でした。

その後、肩や上肢の麻痺と電撃痛を生じ、
そこにリボトリールを加え、
かかっている病院の放射線科の先生に相談するように伝え、2ヶ月後・・



本当に久しぶりにお目にかかった時、
放射線治療が終わって、楽になりました。と言われ、笑みがこぼれました。

不思議でした。

最初の頃は、不安で一杯にみえた患者さんが
腕の動きも難しい状態でも
これも、しょうがいないわね・・
そうおっしゃりながら、ゆったりと付き合えていらっしゃる姿・・

痛みもそこそこ残っていても
強い表出にはならず
楽ですよって・・・




痛みの閾値をあげるサポート。




同じ痛みを抱えていても、
心が太くなるとこんなにも
痛みは弱まり(実際には、痛いのですが)
楽しいとおっしゃることができるものなのだなあ・・
何がそう、患者さんを変えたのかわかりませんでしたが、

支えられていると感じ
疼痛治療チームの一員として考えることができたことが大きかったのかなあと思いました。


4月から社会人になられた息子さんも一回りたくましくなられていました。




ふと、思い出します。
最後の外来から、随分経ちました・・


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2 コメント

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ご無沙汰しています (ぐり)
2009-02-05 22:50:49
痛みの閾値をあげるケア、サポート。
できるといいなあと思いながら、四苦八苦しています。薬だけではないのですよね。
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ぐりさん (aruga)
2009-02-05 22:55:59
こちらこそ、ご無沙汰しています!
ブログを開けたとたんに、コメント頂いたみたいで、まるでチャット感覚です。
コメントありがとうございます。薬剤はとても大切ですが、それだけで疼痛緩和を行おうと思ってはいけないなあとつくづく私も感じます。
返信する

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