緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

かかりつけ医と切れ目のないがん医療

2008年12月13日 | 医療
切れ目ないがん治療が可能なのかというテーマで、
TV放映がありましたでしょうか?
私は、見ていないのですが・・

英国で、切れ目がない治療が提供されているのは
かかりつけ医としての家庭医(GP)を持っているからです。

疾患によらず、常に一人のGPを持っています。
がんを疑えば、GPからの紹介状で高次医療機関に行き、
治療が終了すれば、GPの元に帰り、
地域に戻った時も、GPがみてくれます。
そのGPをサポートする緩和専門チームが急性期病院や
ホスピスからも派遣されるわけです。

日本で、切れ目ないがん治療を実現するには
がん診療をどうするかという視点ではなく
医療全般のデザインとして、
かかりつけ医制度を今後、
日本の医療に取り入れていくのかという議論が必要になります。

総合医、総合科を策定しようとした政府に
待ったが一旦かかりました。
今後、これをどうしていくかが
がん治療においても、重要なポイントになってくるでしょう。

切れ目のないがん治療には、がん治療医や緩和医療医師だけではない
生涯を通して、健康管理相談にのってくれるような医療スタッフの存在があること
それが、大変大切な役割をしていることを
どうか、知っていただきたいと思います。

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7 コメント

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家庭医 (えび)
2008-12-14 08:55:40
イギリスの家庭医については、新聞記事か何かで目にした記憶があります。一般的な研修・臨床の後にさらにトレーニングを積むそうですね。
日本でも、医学生を対象にした家庭医の勉強会が開催されたようです

私が幼少のころお世話になった診療所のドクターは我が家の家庭医・全員のかかりつけ医でもありました。
専門家も必要だけれど、全体的に診ていただけるドクターも必要だ、だからジェネラリストも育成しようという動きもあるようですね

プラス、何かと相談できる薬剤師さんとか
看護師さん(同じ人が長く居てくださるのが理想)も本当に必要ですね
お薬以外のことも話せる近所の薬剤師さん、
この場を借りて有難うございます
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病院の外をみてみて気づいたこと。 (ミニー)
2008-12-14 22:01:46
わたしは病院の中から地域のお医者さんをみていたとき、最後はうちで迎えたいと患者さんが訴えてもなかなか往診や看取りをしてくれるお医者さんをみつけることができず、結局家で亡くなられたら救急車できてくださいとおうちに帰すことしかできませんでした。このようなやり方は患者さんの家族にも大きな不安をもたせてしまうし、患者さんが在宅を希望されても家族が消極的になってしまう原因にもなると考えていました。そして、なぜお医者さんは往診や看取りを嫌がるのだろうと思っていました。しかし、わたしの祖父を在宅で看取って考えが変わりました。我が家のかかりつけ医の先生は祖父のがんをみつけ手術以外亡くなるまでずっと関わってくれました。病院にいけなくなってからも昼休み、診療が終わってからと1日に何度もうちに様子を見に来てくれたりもしました。本当に最後の最後まで祖父のために温かな関わりをしていただきました。それをみているなかで家族としては本当に感激感謝でしたが、忙しい診療の中、他にもターミナルの患者さんを抱えながらこのように関わりをもってくださるのはお医者さんにとってものすごい負担ではないかと感じました。我が家のかかりつけ医さんは自分がみてきた患者さんは最後までという信念の持ち主のため、送ってきた患者さんが在宅を望んだ場合必ず引き受けてくれます。それはとてもありがたいです、でも、それでは一部のお医者さんの負担が大きくなる気がします。もし、市内の開業医さんみんなで在宅医療のチームをくむことができるなら、もしみんなで負担を分け合うことができたら在宅でターミナルを過ごすことができる人が増えるのではないか?そんな風に感じました。
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コメントありがとうございます (aruga)
2008-12-14 23:13:06
えびさん
ここには、結構沢山の薬剤師さんがお立ち寄りくださっているのですが、えびさんから頂いたコメント、どんなに皆さん嬉しいだろうって、思いをはせておりました。生活を多職種で支援できる体制が本当に大切だと思います。

ミニーさん
大切なことだと思います。英国でも、GPの方はグループを作られていることが多いそうです。
日本でも、地域的には増えてきました。
ただ、大きくなると、情報の共有方法が難しくなるとも言われています。
何よりも、こうした新しい取り組みを皆で良い方向に進むよう支援しあうことが大切と思っています。
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見捨てられ感 (kamaisi)
2008-12-14 23:28:15
当院では退院の話を出す時患者さんによっては強く感じられます。
主治医に対する信頼もあるとおもいますが、往診をしていただけるDrが少ないことも大きな原因です。特に年末・年始という時期がらこれからさらに厳しくなります。
PEACEセミナーには多くの開業の先生方が参加して頂けました。御家族・患者さんが安心して退院できる環境、これから少しづつ良い方向に向かって欲しい。

他人任せのコメントでしたが自分の中の大きな問題の1つでありコメントさせてもらいました。

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GP (missy)
2008-12-15 16:32:26
うーんGPシステム。カナダへきた時はこのシステムに驚いて、いつでも専門医に診て貰える日本のシステムの方がいいや!って思っていました。良いGPなら大丈夫だけど変なのに当たったら最悪です。おりしも医師不足。GPの不足は叫ばれています。だからNP制度が始まったようなもの、、、、。私もこちらへ来てGPができるまで待ちリストの中で待ちました。一年たってもどこにも入れてもらえず、就職した先の医師にごねって入れてもらいました。GPがいない人が入院してきた時のためにホスピタリストという制度ができました。日替わりの先生が入院中のお世話をするのです。(普通の入院は、入院中もGPが診る、専門医はあくまでコンサルタント)日替わりだから持続性が欠ける事が多くて、、、しかしそういう患者が退院するときは必ずGPを探してから退院ということになります。医療の継続性がなければ健康の維持は難しいですからね。

GP制度の良いところは持続性ですね。長年の付き合いで家族全員を代々なんてこともあって、患者からの信頼度はかなり高い。HPC医師に任せていても様子を見に来てたり(診療点は取れないから全くのボランティアで)、患者の過去の病歴も取りやすいです。

専門医に診てもらうためにはまずGPに診て貰ってそこから紹介状を書いてもらって、というわけになるので、日本にいた時のようにちょっと皮膚科へなんてことはできません。逆に言えばGPが診断を遅らせる(がんの早期発見ができなかった、誤診??)なんてこともあります。どんなことでも良し悪しがあるということでしょうか。
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コメントありがとうございます (aruga)
2008-12-15 20:44:19
病院側の視点では、ご指摘の通りの現実があります。でも、パーツ、パーツをスキルアップしても、根っこにある退院の不安は消えないと思うことが多々あります。
もともとずっと見ていた患者さんが帰ってくることは地域の先生方も喜んで診て下さいます。でも、病院の都合で唐突に依頼されるのは断るとはっきり言われる地域の先生がいらっしゃいます。地域側からみれば、納得できる心情です。
患者さん・ご家族が、患者となる前から自己健康管理の一貫としてかかりつけ医を持つことが普通のことになる意識の変化や医療システムの変化が必要なのではないかと、病院と診療所の両面をみていると感じるこの頃です。
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missyさん (aruga)
2008-12-15 21:10:03
カナダと英国は同じような問題を抱えながら、同じようなアプローチで改善をはかってきたようですね。
専門医へのアクセスがよいことで日本の医療は有名です。でも、専門医のところに、診療所でもよい患者さんが行くので、3分診療とか、説明不十分とか言われてしまっています。一方で、治療過程から療養過程への移行が上手くいかず、専門急性期の病床を慢性期の患者さんで埋まり、手術待機期間が延びてしまうなど、機能が回っていかないこともあります。
ほどほどの良いとこどりがよいのですが、これには、一般市民が自分の健康管理に自ら参画するような自助能力を高める支援をしていかなければ、実現できないのではと思うこともあります。本当に難しいものです。
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