緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

尿路結石の予防方法

2015年06月07日 | 医療

先週は、旭川に出張でした。
気温10度・・
コートを持参したのに、
殆ど誰も着ていませんでした・・





知り合いの方から、
尿路結石なんだけど、
予防ってどうすればいい?
という質問をもらいました。

実は、私は尿路結石が尿管に陥頓し、
急速に水腎症となった経験があります。

それ以来、予防対策をして、
10年近く再燃していません。



その予防方法についてまとめてみました。



まず、石の構成成分を知ります。
これは、尿一般検査で、沈渣を見ると結晶が析出しているので、簡単にわかります。

大半がシュウ酸結石(8~9割)、
その他は尿酸結石(1割以下)です。




尿酸結石の場合は、
痛風の薬剤で治療を併行します。

シュウ酸の場合は、
ほとんどなすすべがないと言われることもありますが、
以下のような予防方法があります。




予防の機序は、この3点です。
・シュウ酸を腸管内でとらえて、排泄させる。
・シュウ酸を尿中で結晶化させない。
・尿を薄くして、ウォッシュアウトする。


1)クエン酸ナトリウム
尿をアルカリ化させ、シュウ酸が結晶化するのを防ぎます。
私は、カナディアンドライ クラブソーダ愛用です。
(他の炭酸水は、炭酸ガスのみで、大方クエン酸は含まれていません。)


2)マグネシウム
マグネシウム製剤はシュウ酸マグネシウムとなって腸管から排泄されます。

<用いてはいけな場合>
〇便秘がない場合
便秘がなければ、塩類下剤でもあるマグネシウムでは
便は緩くなりますから、注意が必要です。

〇腎機能が悪い場合
腎機能が悪いと、腎からのみ排泄されるマグネシウムは、
蓄積しますから、避けなくてはいけません。
Creが正常値以上の場合は、要注意です。


3)飲水
ウォッシュアウトします。


4)脱水にならないこと
脱水になると尿が濃縮されます。


5)カルシウム
これは、注意が必要です。
腸管内でシュウ酸と一緒になると、
シュウ酸カルシウムとなって、便中に排泄されますから、
マグネシウム同様の効果があると考えられます。
しかしながら、血中では、シュウ酸カルシウムとなり、
石のもとになってしまいます。


6)シュウ酸が多いものを摂取しない。
理屈はそうですが、
シュウ酸は、ホウレン草、小松菜、緑茶などにも多く、
栄養をバランスよくとることを優先し、
予防をした方がよいかな・・と思います。
調理するときは、カルシウムを含むものを一緒に料理しています。

例えば、ホウレン草のおひたしには、シラスをのせるなど。




具体的には・・

午前中は、結構水分をとります。

入浴後などに、クラブソーダやクエン酸が入った飲み物を少々。

夕食後、マグラックス(便秘予防をかねて330㎎)、
カルシウム(骨粗鬆予防をかね、200㎎のみ)を飲み
夜間尿が濃縮される時に、
腸管内でシュウ酸をトラップする作戦です。



かつて、救急車で搬送された痛い経験から、
10年近く、尿路結石は再燃することなく、
何とかやってきています!!


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