緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

患者さんからもらった感謝の言葉

2019年05月12日 | 医療
最近は、入院患者さんについては、
若いスタッフに任せているのですが、
外来で関わり始めた患者さんについては
入院された後でも深くかかわることがあります。

先週、入院されている患者さんのところから
オフィスに帰る道すがら、
ふと、思い出した
患者さんから頂いた
最後のメッセージ・・





亡くなる数日前に、
ご家族から私に宛てた
お礼のメッセージがあると
見せていただいたもの。

外来にも何時も
持ち歩いていらっしゃった手帳に
遠のく意識の中で
書き残してくださったのでしょう・・

まっすぐには書けず、
一生懸命力を振り絞って下さったような字でした。




先生、何度も生き返らせてくれてありがとう



私は、ブログのタイトルのように
緩和ケア医です。
抗がん治療を目的とした
治療医ではありません。

制吐剤を用いても悪心が止まらなかったとき・・
化学療法の悪心があって、外線でお電話をいただいたとき・・
頸椎の痛みがとれなかったとき・・
排便コントロールがうまくいかなかったとき・・
倦怠感で横になりつづけていたとき・・

様々な薬剤を調整し、
症状を取り除いてきました。

その度に、乗り越えては
また、化学療法を再開することを
繰り返してきた患者さんでした。




つらさをとってくれてありがとう
とか
また治療ができるようになり、感謝です
とか
そんな風に言っていただけることは
少なからずありました。

でも、
症状をとることにとどまらず、
また、化学療法の再開ができたことにとどまらず、
生き返らせてくれたと書き残してくださったことに、
驚きと
嬉しさと
そして
悲しさと・・

沢山の感情で溢れたことを思い出します。




がんがあって、痛みがあり、
オピオイドや鎮痛補助薬を使い、
年齢や夜間寝られないなど
忍容性が低い患者さんにとっては
眠気などがとても出やすい状況に
なってしまうこともあります。

だからといって、薬剤を減量し、
疼痛が悪化すれば、
生きる力も奪ってしまいます。

その患者さんにとっての、
最善の状態はどこにあるのか・・・

症状緩和の薬剤を使って
緩和しながら
がんと共生していこと・・
すべてをひっくるめての今なのですよと
病棟でお話ししたこととつながっていました。

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