緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

リタリン:処方管理だけではひずみが・・

2007年10月24日 | 医療

今日、某製薬メーカーさんと話しをしていて
メチルフェニデート(リタリン)の話題になりました。

処方が困難になりそうだと知った患者さんが
医師は、もう処方しませんので
どうも、販売元のメーカーさんに
乗り込んでいっているようです。

警備体制が強化され
社員証は胸にはつけないようにしているそうです。

処方に制限をかけるのは
今後の依存患者さんを増やさないために
良いことなのですが

今現在、依存に陥っている人々が
禁断症状に苦しみ始めているのではないかと
思うのです。
こんな記事もありました。

<リタリン>「うつ病」処方削除 依存患者救済を 「治療施設少ない」
(毎日新聞)



大量オピオイド投与患者さんの眠気やうつ症状に
緩和ケア領域でもリタリンは用いられてきました。

メーカさんが言うには
オピオイドの処方の3割にリタリンが
眠気予防で併用されているようだと・・・

3割は多すぎます。

当初、私が勤務していた緩和ケア病棟でも
めずらしいことではありませんでした。
でも、私の中では、カナダで短期研修を行ったとき
その認識はかなり大きく変化しました。

疼痛に麻薬を用いると、依存症は起きません。
でも、リタリンは依存症になりえます。
カナダで、医師は
「がん治療の早期から緩和ケアを必要とする場合
 予後が長いので、安易なリタリン開始は
 大量投与を必要としてしまう。
 十分な注意でもって用いるべきだ。」
そう、繰り返し教えてくれました。

ですから、強い眠気が出たとき
一時的に処方することがありますが
オピオイドローテーションなどで
何とか眠気を改善させられないか
試みます。
実際、今の病院に4年勤務していますが
リタリンの処方は3人の方だけでした。

それにしても、この医原性の依存症。
今のまま、薬剤を厳格管理をするだけではなく
救済策を考えなければ
社会にも影響がでてしまいそうです・・


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 切っちゃダメです。(2)貼付剤 | トップ | 停電で電車に閉じ込められました »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
依存性…。 (PANDAの妻)
2007-10-24 22:39:56
初めてリタリンの名前を知ったのは、アメリカの発達障害のお子さん達が服用しているのを、テレビで見た時でした。

いくらお医者様管理の下とはいえ、その時の服用の仕方が凄く安易に見えて、ちょっと違和感を感じた事を記憶しています。

今回リタリンの事で、依存性がかなり高いお薬だというのを知って、あらためて考えてしまいました。
返信する
そうなんですよね。 (aruga)
2007-10-24 22:52:07
ADHDの薬剤として当たり前のように使用されていました。確かに有効だそうです。ゆくゆくは中止できると聞いたように記憶しているのですが、そこから依存にならないのかなあと私もちょっと?って印象を受けていました。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事