晩年の勝海舟が、その生涯の体験談を巌本善治が「海舟座談」という本にまとめています。その中に足尾鉱毒事件のことが出てきます。
「鉱毒問題は、直ちに停止のほかない。今になってその処置法を講究するのは姑息だ。先ず正論によって撃ち破り、前政府の非を改め、その大綱を正し、しかして後にこそ、その処分法を講ずべきである。しからざれば、いかに善き処分法を立つるとも、人心快然たることなし。いつまでも鬱積して破裂せざれば、民心遂に離散すべし。既に今日のごとくならば、たとえ鉱毒のためならずとも、少しその水が這入っても、その毒のために不作となるように感ずるならん。そうしていかにして民心を安んぜんや。・・・(略)・・・
旧幕は、野蛮だと言うなら、それで宜しい。伊藤さんや、陸奥さんは、文明の骨頂だと言うじゃないか。文明というのは、よく理を考えて、民の害とならぬ事をするのではないか。それだから、文明流になさいと言うのだ。」(明治30年3月27日)
なにか現在の原発事故にも当てはまるような気がします。
「鉱毒問題は、直ちに停止のほかない。今になってその処置法を講究するのは姑息だ。先ず正論によって撃ち破り、前政府の非を改め、その大綱を正し、しかして後にこそ、その処分法を講ずべきである。しからざれば、いかに善き処分法を立つるとも、人心快然たることなし。いつまでも鬱積して破裂せざれば、民心遂に離散すべし。既に今日のごとくならば、たとえ鉱毒のためならずとも、少しその水が這入っても、その毒のために不作となるように感ずるならん。そうしていかにして民心を安んぜんや。・・・(略)・・・
旧幕は、野蛮だと言うなら、それで宜しい。伊藤さんや、陸奥さんは、文明の骨頂だと言うじゃないか。文明というのは、よく理を考えて、民の害とならぬ事をするのではないか。それだから、文明流になさいと言うのだ。」(明治30年3月27日)
なにか現在の原発事故にも当てはまるような気がします。