「おれのところへは、幇間や、遊人や、芸人がたくさん集まってくるよ。芸人などは無心で熟練した結果、一道の悟りを得たものが多い。しかし自分では、そのことを覚えていないけれども、おれがそれを推察して説明してきかせると、かれらはいずれも驚いて、おれをひどく烔眼だというョ。近ごろのひとは、みな自分でえらがり、議論ばかりしてうるさくて仕方がない。それゆえ理屈を書いたものを読むと肝癪にさわるから、ただ人情本や古書などを読んでいるョ。」(勝海舟「氷川清話」より)
いつの時代にも自分をえらがり理屈をこねる人はいるものです。勝海舟の対応は実に面白く今日でも活かせるものと思います。