後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔778〕「小学校の6年生に『国際理解教育』のテーマで2時限の時間を使って話をしました。」(いつも御活躍の矢部顕さんより)

2025年03月03日 | メール・便り・ミニコミ

■福田三津夫様

先日、近くの小学校の6年生に「国際理解教育」のテーマで
2時限の時間を使って話をしました。
毎年この時期に依頼されますので、わたしにとっても楽しみです。
子どもたちがどういう反応をするのかが。
レジュメを添付します。(以前にも送ったことがあるとは思いますが)
日本の世界地図(日本が中心)、イギリスの世界地図(イギリスが
中心)、オーストラリアで買ってきた世界地図(南北が反対)を
前に張り出して、そこから話を始めました。
いろいろ授業での講話をやっていますが、これだけは専門家なのです。
青少年の国際交流に40年近く携わってきたのですから。
                            矢部 顕


●浮田小学校6年/異文化理解教育

                            異文化って何だろう?
                              2025年2月26日
                                                                              講師・矢部 顕
1. はじめに
   青少年の異文化理解のための仕事へのかかわり
2.異文化理解教育
    国際理解教育、異文化理解教育、多文化共生、この言葉がいわれるようになったが、
    異文化って、なに? 異文化ってむつかしいことば?(文化が異なると書きますね)
3.世界に国はいくつあるのか? 
    国連加盟国はいくつ?
4.世界に言葉の数はいくつあるのか?
   なぜ、世界中は同じ言葉ではないのだろうか?
5.世界地図も国によって異なる?
  イギリスの地図、アメリカの地図、オーストラリアの地図、日本の地図、・・・
  人間は自国を中心に考える習性?
6.異文化を考える
  1)言葉が異なる
     ① 日本は日本語、でも共通語と地方語(岡山弁)がある
          英語はどこの国の言葉?
        ②ペリー来航のとき、英語がわかる日本人はいたのか?
          通訳は誰がしたのか?
     ③文化が異なるから言葉が異なる
         「いただきます」ということばは英語にあるか?
              日本人――動物、植物は人間の仲間  牛も魚も木も野菜も
                   (あなたの命をいただいて、私人間は生きている)
    2)食生活の違う文化
       ①「日本人は牛を食べますか? 豚は、馬は、鹿は、鶏は、魚は、犬は?」
          イスラム教の人、12億人、世界の1/5――豚を食べない
          ヒンズー教の人、インド10億人のうち、7億人ヒンズー教――牛を食べない
          イギリス人は馬は食べない フランス人は食べる
       ②食べてはいけないものも文化のちがい
          日本人は鯨を食べる←世界から非難
          お互いに残酷だ、と言っている→文化摩擦
           日本人ほど食べ物のタブーのない国はない
                        50年前、日本、お葬式の日、精進の日、生ものは駄目だった
       ③「日本人は犬を食べますか?」
            イエス、「アメリカ人も犬を食べる、ホットドッグ」?
            韓国オリンピックのとき-「犬を食べる習慣をやめよう」
                  犬を食べる-中国、韓国、フィリッピン、東南アジア、アフリカ     
 3)日常生活の違い
         ①靴―日本は家の玄関に下駄箱があるが、外国は?
            靴を脱ぐ文化、脱がない文化
            よその家に行った時、靴を脱いでそろえる時の方向は?
       ②風呂
            アメリカ人はバスがあってもほとんど入らない、シャワーだけ
                    日本ほど、清潔で、水をふんだんに使い、物があふれている国はない
          ③トイレ
                  アメリカの家では風呂とトイレが同じところ
                  アメリカの公衆トイレにはドアが無い?
                  紙で後拭き、もっと違う方法がいろいろ
              白いトイレットペーパーは日本だけ? 
          ④羞恥心も文化の違い
                  トイレにドアが無い(中国も) 恥ずかしくない?
                  肌を見せない文化、同じアメリカでも
                      (ショートパンツ←→ロングドレス、靴下、ドレスを着たまま川で水遊び)
          ⑤ウンチの仕方
                  アメリカの犬と日本の犬のウンチの仕方は同じか、違うか?
            アメリカ人と日本人とでは、ウンチの仕方は同じか、違うか?
                     答え→人間は排泄の仕方を学習する
                        (文化を学習している人間、本能で知っている動物)
          ⑥わざと不便な生活をする人びと
           アメリカで、自動車を使わない人々、電気・電話・
           エンジンなどを使わない人々
         (アーミッシュ――貧しいからではない、200年も前から)
          ⑦虹は何種類の色でできているか? 太陽は何色? 月は何色? 
                    文化によって異なる
7.国際化社会を生きる君たちへ
    1)異文化はむずかしい言葉ではない、日常生活の中にある
    2)文化のちがいを認め合うことから理解が始まる  多文化共生 
    3)日本ではあたりまえのことが外国では異常
         国がちがうと私たちが「あたりまえ」と思っていることがずいぶん違う
         それを面白いと思うか、嫌だと思うか
     4)まず、日本の文化を知ることがたいせつ
  5)世界が平和になるために


〔777〕前ブログの続編・本日掲載「図書館 なくすまち、生かすまち 下」(朝日新聞)では瑞穂町の意欲的な図書館運営が取り上げられました。

2025年03月03日 | テレビ・ラジオ・新聞

   前ブログの続編です。本777号は前号に続き武田遼記者の素敵な記事です。(東京むさしの版、赤線は筆者)
 本日朝日新聞に掲載されたのは「図書館 なくすまち、生かすまち 下」で、「『お家の居心地』来館倍増」と題して意欲的な瑞穂町の取り組みが紹介されました。
  瑞穂町は清瀬市の半分くらいの人口です。住民たちの声を集め「お家の居心地」をコンセプトに約7億円かけて図書館をリニューアルしたというのです。その結果、資料を借りた人、借りずに来館しただけの人、いずれも倍増したといいます。詳細については記事を判読してください。
 次の瑞穂町の司書と町長の方のことばに深く共感しました。

「本の力や図書館の大切さを実感しているからこそ、図書館を閉める自治体があることは『寂しいですね』」(司書)
「誰もが本の魅力を五感を使かって味わうことができ、世代を超えたコミュニケーションが生まれる図書館を守るのは、自治体の重要な役割」(町長)


〔776〕本日掲載「図書館 なくすまち、生かすまち 上」(朝日新聞)で清瀬市の図書館削減問題が取り上げられました。

2025年03月02日 | テレビ・ラジオ・新聞

 本日、2025年3月2日、朝日新聞の朝刊に「突然『閉館』市民ぼうぜん」という大きな記事が掲載されました。このブログでもたびたび書いてきた、6館を4館閉館するという清瀬市政の図書館問題を考える企画です。「図書館 なくすまち、生かすまち 上」とあるので、明日にも「図書館 なくすまち、生かすまち 下」が掲載されるのでしょうか。それとも3回連載か、いずれにしても期待したいところです。
 記事は図書館を3分の2にするという市政に呆然とする市民の声と、なぜ閉館なのかという市長側の取材もあり、一応両論併記のスタイルをとっています。サイズ的にスキャンがうまくいかないのですが、継ぎ接ぎになってしまいますがうまく読んでください。(赤線は筆者)

 記事にもあるように、市長の発言で奇妙なのは、「宅配と6館維持の両立は難しい」としているところです。年に1億円もかけて宅配を希望する市民はいないでしょう。そんな金があるならば6館を充実させて市民を呼ぶ工夫をすべきなのです。
 「地域の皆さんが学校図書館を利用できる環境も整えていく」に関しては何をか言わんや、疑問だらけです。例えば小学校に外部の大人が自由に出入りし、活用していくことなど到底不可能です。安全面でも不安だし、蔵書に関しても大人の欲求を満たすものがどれだけあるでしょうか。市議会を傍聴していて、教育長などからたびたびこのことが発言されるのですが、現場を知らない妄言としか思えません。それが清瀬市で小学校教師だった私の実感です。
  薬師院はるみ教授のコメントは説得力があります。じっくり耳を傾けたいものです。


◆石破首相の消費税見直し論
                              前川喜平(現代教育行政研究会代表)

 格差が大きいと消費税はその逆進性が顕在化する。結果として低所得
者に厳しい制度になってしまってはいないかという疑間が生じる。
 消費税についての議論もタブー視してはいけない。
 法人税減税にめぼしい意義は見いだせず、もしも経済的格差の拡大を
是正する方向性を考えるのであれば、消費税の逆進性をどう軽減するか
を議論すべきではないか。

 これは石破茂首相が自分で本に書いたことだ。それを指摘したのは
21日の衆院予算委員会での共産党田村智子議員。田村氏は勤労者世帯の
年収別税負担率のグラフを示しつつ、低所得者ほど消費税の負担が重い
ため、低所得世帯と中所得世帯の税負担率がほぼ同じで、税負担の累進
性がなくなっていると指摘。今こそ消費税の減税を議論すべき落と
主張した。

 「著書を精読いただきまして誠に恐縮であります」とごまかすしかな
かった石破首相は、賃上げや給付で対応すると答弁しつつ、自らの消費
税見直し論を自ら封じた。
 毎日報じられでいる「103万円の壁」の引き上げや高校無償化の所得
制限撤廃は、実は高所得層により多くの恩恵を及ぼす政策だ。本当に
格差を是正するなら、大企業への法人税減税の見直し、所得課税の
「1億円の壁」の撤廃、低所得層への給付増などに加え、消費税減税は
避けて通れない課題だろう。
             (2月23日「東京新聞」朝刊17面「本音のコラム」より)


〔775〕新着ミニコミ2つ「原発やめようニュース」(反原発自治体議員・市民連盟)と「PRISM」(立教大学共生社会センター)を紹介します。

2025年02月28日 | メール・便り・ミニコミ

 ここ1,2日で届いたミニコミを紹介したいと思います。
  まずは「原発やめようニュース」(反原発自治体議員・市民連盟)です。連れ合いが会員になっていて時々届きます。私たちの仲間で清瀬市議であった故・布施哲也さんがこの会の共同代表を務めていました。そんなことからこの会を知り、フクシマ3.11の翌年、この会に導かれて、福島での脱原発大集会に参加しました。鎌田慧さんの講演はある会館で、大江健三郎さんのアピールは大きな野球場で聴きました。
  私たちの清瀬・憲法九条を守る会、清瀬・くらしと平和の会では近々東海第2原発再稼働反対統一行動を行う予定です。清瀬駅ペデストリアンデッキになると思います。近隣の方、見かけたら声をかけてください。

 もうひとつのミニコミは、「PRISM・プリズム」(立教大学共生社会センター)です。ここでアーキビストを勤める平野泉さんからの紹介で、立教大学学生の卒論に協力したことはブログに記したとおりです。
  市民運動のミニコミを多数保存している立教大学共生社会センターをふらっと訪ねるのも歓迎されると思います。

 ◆トランプ詣でのあとで
                    鎌田 慧(ルポライター)

 世界一金持ちのイーロン・マスク氏とトランプ大統領の危険な関係。
 「掘って掘って掘りまくれ」と大統領は温暖化などなんのその、石油
や天然ガスの大増産を激励する。
 パレスチナ自治区ガザを「所有」して住民を移住させ、リゾート開発
する、という世界支配の勝手放題。
 一方のマスク氏は「政府効率化省」を率いて、200万人の政府職員へ退
職勧奨の一斉メール。「効率化省の目的は民主主義の修復だ」と修復と
いう名の破壊を豪語し、対外援助10兆円は凍結。

 石破茂首相はその足元に駆けつけ、揉み手して日米共同声明。
 「アメリカは、2027年度よりあとも防衛力を強化していく日本の
コミットメントを歓迎」「核を含むあらゆる能カを用いた日本の防衛に
対する揺るぎない関与を強調」した。
 日本の防衛費は長年、5兆円を限度に推移してきた。が、2023年から
「防衛力整備計画」によって、この5年間で総額43兆円、年に8兆円以
上に急増させる。石破氏はさらに「2027年以降も抜本的に強化する」と
トランプ大統領に約東して帰国した。

 安倍政権が集団的自衛権行使を認め、岸田内閣が敵基地攻撃能力の保
有を決定、石破氏は「核の傘」どころか、核の共有にまで踏み込んだ。
 戦後80年。この国は被爆体験を無視して、核兵器禁止条約に背を
向け、非核三原則さえ捨てようとしている。
         (2月25日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)


〔774〕「ありがとう図書館!! また必ず会いましょう!」報告会。4館閉鎖の暴挙、闘いは始まったばかりです。

2025年02月23日 | 市民運動

  2月16日(日)、清瀬駅北口のロータリー脇のアミューで、「ありがとう図書館!! また必ず会いましょう!」報告会が開催されました。
 自公市政は住民投票をひたすら恐れ、結果的に住民投票の成立がなりませんでしたが、定足数の6倍以上の7674票を集め、「しばらくの間」元町こども図書館の存続が決まりました。住民投票成立に反対した松本議員、石川議員に言われるまでもなく、間違いなく私たちの運動の成果です。
  こうした思いを共有する多くの人びとが参集しました。負けたと落ち込んでいる人はまったく見かけませんでした。次にどう繋げていくか、活発なグループ討論で盛り上がりました。
  さて、次はどうしてくれましょうか。(写真は「経過報告」の一部と清瀬市条例制定請求書)

                                  ◆8月15日を建国記念の日に
  建国記念の日は紀元節が名前を変えたものではない

                       前川喜平(現代教育行政研究会代表)

 11日の建国記念の日に「X」で見つけたのは長島昭久衆院議員・首相
補佐官の投稿だ。「建国記念の日おめでとうございます。初代神武夫皇
ご即位から126代にわたり、一系の皇統を繋いで2685年。かつては『紀元
節』と呼ばれておりました」云々とあった。
 明治政府が日本書紀の記述を根拠に、神武天皇即位の日を西暦紀元前
660年の太陽暦2月11日と決めて(もちろん史実ではない)、この日を紀
元節と定めたのが1873年。1940年には「皇紀2600年」が盛大に祝われた。
 長島氏は 15年後には「皇紀27O0年万歳」とでも書くつもりだろうか。

 しかし建国記念の日は紀元節が名前を変えたものではない。
 1966年の祝日法改正で与野党の駆け引きの結果、「の」を入れて「建
国された日」ではないことを示し、具体的な日は「政令で定める日」と
した。
 政令を定めたのは佐藤栄作内閣だ。
 学習指導要領では、小学校6年の社会科で日本国憲法を学ぶ際に、な
ぜか国民の祝日について教えることになっているが、建国記念の日につ
いては右のような経緯を教えたらいい。
 間違っても神武天皇が即位した日などと教えてはいけない。
 政令で定めた日は政令で定め直せる。僕は、ポツダム宣言の受諾によ
り天皇に代わって国民が主権者になった8月15日にしたらいいと思う。
        (2月16日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)


〔773〕「岡山の戦国時代を振り返る―『現代語訳 備前軍記』の監修を通して」という「郷土の歴史講演会」を開催しました。(矢部顕さんより)

2025年02月23日 | メール・便り・ミニコミ

 地域の活性化に大活躍の矢部顕さんからの元気になるメールが先日届きました。私も頑張らなくてはと気を引き締めています。

■福田三津夫様
 
先日の土曜日、2月15日、わたくしたち亀山城跡保存会が主催しました
「郷土の歴史講演会」は無事終わりました。


 
「岡山の戦国時代を振り返る―『現代語訳 備前軍記』の監修を通して」と
いう演題で監修者の内池英樹氏を講師とした講演会でした。
約130名ほどの参加者がありました。


 
岡山では、一昨年11月に市長を先頭に、官民一体で「戦国武将 宇喜多家
を顕彰する会―大河ドラマ化をめざしてー」なるものが発足しました。
宇喜多直家と秀家の2代をドラマ化しようと署名運動も始まりました。
我が家の裏山は、直家が備前を支配したときの居城で、秀家はここで生まれた
と言われています。
 
宇喜多秀家は関ケ原の戦いで西軍の主力として戦い、敗れて、徳川によって
八丈島に流刑となり、そこで84歳の生涯を終えました。
ですので、第一次資料が乏しく、100年も後の江戸時代に書かれた『備前軍記』
が重要な書物なのです。
その『現代語訳 備前軍記』(2020年発刊)にまつわる講演でした。
 
2020年は秀家生誕450年でした。この記念の年に、秀家が誕生した亀山城西の丸
跡にある浮田小学校と秀家終焉の地で近くにお墓がある八丈島大賀郷小学校と、
姉妹校交流を始めたんです。
今の時代ですからインターネットで、それぞれの学校の様子をはじめ秀家研究など
を紹介し合っています。
遠く離れた八丈島と450年という時空を超えた子どもたちの学び合いの交流です。
(これを仕掛けたのはわたし)
 
 チラシと写真を添付します。
                                矢部 顕


〔772〕清瀬市議ふせ由女の「ゆめ通信」(42号、2025年春号)が本日発行されました。

2025年02月16日 | メール・便り・ミニコミ

  ふせ由女はひとり会派「共に生きる」で活動していますが、現在3期目です。
 「ゆめ通信」は年4回、議会の終了後に発行しているふせ由女の議会便りです。仲間と地域や駅頭で配布しています。拡大して読んでくださると嬉しいです。


〔771〕清瀬市の図書館危機の今、木村まきさんの遺してくれた『疎開した四〇万冊の図書』(金髙謙二、幻戯書房)を手にしています。

2025年02月13日 | 図書案内

  清瀬市の図書館危機をブログで再三綴ってきましたが、今こそ木村まきさんからいただいた『疎開した四〇万冊の図書』(金髙謙二、幻戯書房)を手にして読んでいます。
  木村まきさんは私どもと同世代、清瀬の住民で清瀬・憲法九条を守る会などで行動を共にしてきた仲間です。惜しくも2023年の夏、自宅で亡くなられました。多くのマスコミでそのことが取り上げられました。

■「横浜事件」元被告木村亨さんの妻、木村まきさん死去 元再審請求人
編集委員・北野隆一2023年8月25日 19時08分 朝日新聞

 戦時下最大の言論弾圧とされる「横浜事件」元被告の木村亨さんの妻で、再審請求人として亨さんの無罪を訴えた木村まきさんが14日、東京都清瀬市の自宅で発見され、警視庁が死亡を確認した。74歳だった。
 岩手県生まれ。出版社などに勤務した。中央公論社の編集者だった亨さんと1992年に結婚。亨さんが98年に死去後、横浜事件第3次再審請求人になった。
 2003年に横浜地裁で再審開始決定が出たが、地裁は実体審理に入ることなく06年に免訴の判決を言い渡し、08年に最高裁で確定した。
 遺族として請求した刑事補償は10年に認められた一方、国家賠償請求訴訟は19年に最高裁で敗訴が確定した。
 亨さんが書き残した文章をまとめ、「横浜事件 木村亨全発言」として出版した。
 横浜事件を振り返り、亨さんとまきさんの遺品や資料を展示する企画展を、知人らが東京都内で12月に開く予定。 
     …………

  まきさんが亡くなられる少し前、大きな包みにいっぱいのパンと数冊の本を我が家に届けてくれました。お別れの意思表示だったのかも知れません。その中の一冊が『疎開した四〇万冊の図書』でした。特段興味がわかなかったのでそのまま保持していましたが、清瀬図書館危機の今、この本に目が吸い寄せられました。

  作者の金髙謙二は映画監督で2013年に同名のドキュメンタリー映画を公開しています。
  太平戦争時、東京の100回を超える空襲で多くの文化財が消失しました。そうした情況の中で、旧都立日比谷図書館の蔵書40万冊を現在のあきる野市や志木市に運んだ人びとがいました。図書館員、学生、藏を提供した人たちでした。1944年5月25日、日比谷図書館は焼夷弾で全焼します。蔵書は間一髪守られました。蔵書の中には江戸時代の本や浮世絵なども混ざっていたようです。貴重な文化財でした。
  もちろん日本全国での空襲で、東京はじめ多くの図書館が壊滅状態になりました。

  まきさんのこの本に託したメッセージとは何だったのでしょうか。


◆裁判所は最後の正義
  石川一雄さんは無罪だ
                                       鎌田 慧(ルポライター)

 先週の5日、評論家の佐高信さん、落語家の古今亭菊千代さんらと東
京高裁の門をくぐった。1963年に女子高校生が、殺害された狭山事件
で、石川一雄さんの家から発見され、重要証拠となった「被害者の万年
筆」のインクを科学的に分析した結果、被害者のものではなかった。そ
の鑑定人の意見を聞いてほしい(証入尋間)との家令和典裁判長への要
請だった。

 当時、容疑者・石川宅の家宅捜索で1回目12人、2回目14人が
バラック造りの小さな家を徹底捜査した時はなかった万年筆が、3回目
で勝手口の鴨居の上に発見された。
 自分の名前さえ「一夫」ですませていた非識字者が、犯罪の証明にな
る被害者の万年筆を自宅に持ち込むわけはない。
 この事件で唯一犯人と結びつくのは、カネを要求する脅迫状だけだ
が、非識字者が文字の力でひとを脅そうと考えるとは、非識字者の苦悩
と悲しみを、想像したことのない人間の傲慢さでもある。

 脅迫状を書いた真犯人は教育の低い人間に仮託して誤字だらけの漢字
を使った。検事も裁判官もその程度が石川さんの識字能力と判断したの
だが、実際は残念ながら、当時の石川さんには書けない明快な手紙だった。
 石川さんは86歳。最近、急に体力が低下してきた。鑑定人尋問、再審
開始決定、無罪判決、それまでの時間が心配だ。高裁への期待は強い。
        (2月11日「東京新聞」朝刊17面「本音のコラム」より)


〔770〕「今回は、韓国の戒厳令を日本の緊急事態条項と関連して書いてみました」塚越敏雄さんから腰越9条ニュースが届きました。

2025年02月11日 | メール・便り・ミニコミ

     
 またまた腰越9条ニュースが届きました。「韓国の戒厳令を日本の緊急事態条項」についてです。このような腰越の活動を知ると、私も頑張ろうと励まされます。

●腰越9条ニュース222号ができましたのでお送りします。
今回は、韓国の戒厳令を日本の緊急事態条項と関連して書いてみました。
        塚越敏雄

 


〔769〕「びっくり箱通信」と「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」、2つのミニコミを紹介します。

2025年02月11日 | メール・便り・ミニコミ

  様々なミニコミが私どもの手元に届きます。世間的にはそれほど知られていないのですが、とても大切な問題提起をされているミニコミが多いのです。興味もたれた方がネットなどで検索されることを願ってこれからも紹介していきたいと思います。

 まずは「びっくり箱通信」(弦地域文化支援財団、隔月刊、8頁)です。作家の井上ひさしさんが山形の地に残した「東ソーアリーナ」の友の会が発行するミニコミで、丁度百号記念号です。井上ひさしさんの長女、井上都さんを中心に発行されているようです。
 記事としては、金平茂紀さんの「井上ひさしさんの芝居と世の中①」がおもしろかったです。金平さんがこんなに井上芝居にぞっこんだったとは。他には山田洋次、松元ヒロ各氏のコメントも掲載されています。

 次に登場するのは「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」(24頁)です。いつぞやカンパしてから送ってくれているようです。「ベルリン・ミッテ区の平和の少女像を守ろう!」(梁澄子)などの原稿も掲載されています。嫌煙禁煙運動でお馴染みの久野綾子さん(旧日本軍による性的被害女性を支える会)の「戦争を二度と起こさないで」に出合いました。


◆朝鮮学校生の苦しみは続く                     
  民族教育は在日コリアンの子どもの権利

                       前川喜平(現代教育行政研究会代表)

 4日、立憲民主党国会議員有志による「朝鮮学校に対する公的助成の
実現を目指す勉強会」が開かれ、23人の議員と約10人の秘書が集まった。
 僕は講師として招かれ、民族教育は在日コリアンの子どもの権利であ
り、国の教育無償化・修学支援からの排除や自治体の補助金停止は「官
製ヘイト」だという話をした。
 民主党政権による高校無償化の実施から15年。自公政権が設けた所得
制限の撤廃や私学生徒への増額が自公維間で協議されているが、朝鮮高
校生は依然として置き去りにされたまま、その苦しみは今なお続いて
いる。

 同じ日、僕は東京都新宿区の高麗博物館で、在日朝鮮学生美術展覧
(GAKUBI)の選抜展を見せてもらった。
 画面いっぱいに「テマリカタヒバ」が描かれた絵。「復活草」とも呼
ばれるこの植物に、作者は関東大震災で虐殺の犠牲になった人々の心も
復活してほしいという思いを込めたという。
 「とても、とても強い人」と題された立体作品は、血にまみれた角を
何本も突き出した人間の頭部だ。添えられた作者の言葉に「誰にも苦し
みを理解されない」とあった。
 前期の展示は3月16日まで、後期は展示を入れ替えて4月27日まで
開催。開館時間は正午から午後5時で月・火は休館。
 出展した生徒や美術教師・雀誠圭氏によるトークも開催予定だ。
               (2月9日「東京新聞」朝刊17面「本音のコラム」より)


〔768〕「最高水準の地域誌・郷土誌の専門書」の『諏訪史』第一巻刊行100年記念展開催中です(『破片堂人の歩み』著者、瀧沢敬三さんのメールより)。

2025年02月07日 | 美術館・博物館鑑賞

 以前このブログで瀧沢敬三さん(中野区在住)のご著書『破片堂人の歩み』を紹介しました。地方史家であり俳人でもあったご祖父の生涯を活写した労作でした。
 今回いただいたメールはご祖父が深く関わっている、『諏訪史』第一巻の刊行100年記念展の案内です。『諏訪史』第一巻は「最高水準の地域誌・郷土誌の専門書」として評価が高いものだそうです。お近くの方は足を運ばれたらどうでしょう。

●福田緑 様

私事のご案内にて、失礼いたします。
先月、諏訪史博物館から、別添の展覧会案内チラシが送られてきました。
一瞬迷いましたが、昨年小著『破片堂人の歩み』をご案内したところ、有難くもご主
人さまが、さっそくに入手していただきました。
とすれば、このたびの展覧会は、まことに偶然というか、ご縁、めぐり合わせという
か、人生の出会いというかーーーこの熱い思いを、福田ご夫妻へもお知らせしたくご
案内した次第です。

添付のチラシをお読みいただければ、展覧会の趣旨が記されています。
その解説の中に、祖父(瀧沢益作)の名前も記されていました。と言いますのも、祖
父のそもそもそも収集した考古資料を、中央の考古学者 鳥居龍蔵が注目して、諏訪
史研究ののために、貴重な資料であることを初めて公的な考古地方史に記録されたと
いう書物です。このたびは、その刊行100年記念展といういう特別展でした。

すでに拙著は、ご一読されておられると思いますが、ご参考までに、小著『破片堂人
の歩み』でも、『諏訪史 第1巻』については、最も基本の資料でしたので、小生も
解説してあります。

53p−55p。これに関係して、この書の執筆に協力された考古学者 八幡一郎
(当時は、学生)先生に生前、お会いしてお話を伺っていましたので、ついでにその
対談記録(72p−87p)もお読みいただけると、明治、大正時代の諏訪地方の考
古学状況が、より一層おわかりになるかと思います。

このたびの展覧会開催は、小生にとって、正に「奇跡」ですね!
身近の中に日本の歴史、考古などに興味のあるかたへの、小著『破片堂の歩み』
のご案内をしていただければ、幸いです! Amazon では、すぐに取り寄せられます
し、書店でも、2週間以内にはとのことです。

相変わらずの、わがままをご寛容下さい!
立春が過ぎたとはいえ、寒さは、一段と厳しい毎日です。
くれぐれも、ご自愛され、ご夫妻のご活躍をお祈りしています!
瀧沢


〔767〕清瀬市臨時議会の傍聴で、懐かしい緒志久子さんに再会しました。

2025年02月06日 | 図書案内

 前ブログに書いた清瀬市臨時議会の傍聴に赴いたところ、実に久し振りに懐かしい緒志久子さんに再会しました。
 最初緒志さんに出会ったのは小学校教師として3校目、東久留米市立滝山小に赴任した1985年、市の演劇鑑賞教室実行委員会の会議でのことでした。
  東久留米市の演劇教室の組織的鑑賞は、当時から全国的に著名な存在でした。各校1名が委員として出席して、翌年の演劇教室の劇団と演目を決めるのです。主として夏休みに様々な劇団の公演をそれぞれ鑑賞し、2学期にその感想を出し合い、翌年の演劇教室の劇団と演目を話し合いで決めるのです。
  緒志さんは当初からその組織のまとめ役でした。市内の本村小で音楽専科をしていたように記憶しています。民間の教育研究団体、音楽教育の会の中心メンバーでもありました。
  私も当時、日本演劇教育連盟で「演劇と教育」の編集代表をしていて、東久留米市に在職中の15年間、彼女と演劇鑑賞教室実行委員会を支えることになったのです。時には市と対立して共に闘う「戦友」のような関係でした。

 東久留米市の演劇教室の組織的鑑賞について書かれた貴重な「記録」があります。
*「よい劇を子どもたちに!」“東久留米方式”の十数年、緒志久子(「演劇と教育」1994年5月号)
*拙著『実践的演劇教育論-ことばと心の受け渡し』晩成書房、2013年、「私の演劇教育実践史年表」には演劇教室の演目と劇団が記録されています。(二つ前のブログに写真掲載)

  久しぶりの対面にも関わらず、彼女は昔のままの若さでした。座席の前後で旧交を温めることになりました。
  昼の休憩後に彼女から2冊の冊子をいただきました。ご自身が編集している「音楽教育」と、会を代表して参加している日本民間教育研究団体連絡会(民教連)の発行している「民教連ニュース」でした。

  不思議なご縁があるものです。昨秋開催した福田緑写真展になんと緒志さんのお連れ合いが見えたのです。清瀬在住で、名前が珍しいのでお声をかけたところやはりそのとおりでした。そして今回の再会、人生は不思議なことが起こるものです。


〔766〕「10時間超えのフジテレビ会見」をさらに超える住民投票条例を巡る清瀬市臨時議会は「お笑い劇場」でした。

2025年02月05日 | 市民運動

  清瀬市臨時議会について語る前に、その前日の2025年2月2日(日)、清瀬市民の「市内図書館4館閉館についての賛否を問う住民投票実現を願う」アピール行動について報告しておきます。
  テレビの週間天気予報で、この日は雪になるだろうという情報が流れていました。しかも日中5度以下のこの冬1番の寒冷日だというのです。

 午前11時、清瀬駅北口から歩いて数分のところにあるかぜのこ広場(新小金井街道にほど近い)に三々五々約80名の参加者が集まったときには、小雨が降り始めていました。
発起人の挨拶の後、スピーカーを先頭に、シュプレヒコールが住宅地に谺しました。
 かぜのこ広場から清瀬駅北口のロータリー、小金井街道の踏切を越えて都立清瀬高校方面に右折して、中央公園に到着し、総括の集会です。
  清瀬・教育って何だろう会や清瀬・憲法九条を守る会で共に活動した仲間の故・布施哲也さん(清瀬市議)が、このコースを行進しながらマイクを握っていたことを思い出していました。

 さてその翌日、2月3日(月)は「市内図書館4館閉館についての賛否を問う住民投票」を審議する清瀬市臨時議会の日でした。開会が10時ということでその少し前に市役所4階に仲間と駆けつけたところ、ロビーはすでに大勢の人で溢れかえっていました。なんとNHKのテレビカメラも入っていました。最前列の記者席には数人の記者の姿がありました。傍聴席は30人で満席、入りきれない人はロビーの中継カメラでの傍聴になっていました。ここにも40人ぐらいはいたのではないでしょうか。

 「10時間超えのフジテレビ会見」が何かと話題になっていますが、小学校と大学で50年にわたって演劇教育を追求してきた私にとって、今回の清瀬臨時議会はまさにそれ以上の「お笑い劇場」に映りました。
  午前中は議長による日程、請願代表者4人の陳述方法、傍聴のあり方などの確認で10分ほどで終了、午後は1:15開会というのです。3時間傍聴席にいてもしょうがないので、自宅に帰って食事をすませ出直しです。
  再開後、4人の陳述(一人5分以内)は実に立派、図書館行政の不行き届きを事実に即して明らかにし、住民投票の必要性を訴えました。その後、賛成する議員からも反対する議員からも数多くの質問がありました。
  何度か途中休憩を取りながら議事が進行していきましたが…。

  教育長が話をしているときに信じられないことが起こりました。いきなり清水ひろなが議員(清瀬自民クラブ)が緊急動議を出したのです。議運で話し合いをしたいということのようでしたが、人の話の途中でそれをぶった切ったのです。しかもそれを平然と認める議長、まさにこれはお笑い劇場①でしょう。

  宮原りえ、小西みか(風・立憲・ネット)、原田ひろみ、香川やすのり、佐々木あつ子、穴見れいな(日本共産党)、ふせ由女(共に生きる)各市議の住民投票賛成意見は説得力があり、どなたにも聞き惚れました。
  鈴木たかし(公明党)市議の発言にはあっけにとられました。住民投票反対の理由が2000万円かかる費用のことでした。図書館政策に対する諮問委員会にも、パブコメにも4館廃止ということを明示しないで、こっそり行政を進めてきたツケがまわってきたという反省がここには全くないのです。市が進めている老朽車両で「夢空間」を創るという費用は2億1800万円(移設3800万、修復工事1億、屋根などの設置に8000万)かかるといいます(お笑い劇場②)。
  お笑い劇場③は松本じゅん(風・立憲・ネット)、石川秀樹(無所属の会)両市議です。2人に共通している反対理由は、清瀬市はお金がないからというものです。「夢空間」で2億1800万円、図書宅配サービスで1億円、一体いくらかかるのか、梅園に新たな保管書庫を作るそうです。そしてすべての初期投資が5億円かかるそうです。こうした事実を二人はどう考えるのでしょうか。
  市が発行した「more!  KIYOSE」では図書館4館閉館は「経費削減が目的ではありません。」とはっきり書いているではありませんか。だからお笑いなのです。

 午後9時45分ぐらいだったでしょうか、残念ながらこの案件は賛成少数で否決されました。
 でも不思議なことに、負けた実感がまったくありません。定足数の6倍を超える署名7674筆が集まったのですよ。住民投票が実現していたら、おそらく間違いなく勝っていたでしょう。自公はそれをおそれて、住民投票には進ませたくなかったのでしょう。
 元町こども図書館をしばらく?存続するというのです。運動の成果で良かったね、というような上から目線の発言もあの2人はしていましたね。
 
 やはり次は自公の澁谷市政を替えるしかないようですね、皆さん!
 闘いはこれからです。


◆『未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記』

                             鎌田 慧(ルポライター)

 東京の出版社を辞めて長崎に移住した西浩孝さんから本が送られてき
た。彼が1人で起こした「編集室水平線」から出版された伊藤明彦著
『未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記』。
 読み進みながら、恥ずかしさに息苦しくなった。ルポルタージュを仕
事にしていながら、16年前に72歳で他界したこの著者のことを知らな
かった。

 著者は長崎放送に勤めた後、全国に散った被爆者千人の声を録音、
全国の図書館などに寄贈した。全て自費での仕事である。
 被爆者取材に一生を懸けた営為を、西さんは『伊藤明彦の仕事』全6
巻にまとめる計画だが、わたしは遅ればせながら『未来からの遺言』を
読み、圧倒させられ、その決意を納得した。

 被爆者の吉野啓二さん(仮名)との出会いと被爆体験が細やかに描か
れている。被爆体験、入院生活、社会復帰などについて、豊かな生々し
い感情と情景に満ちた録音が残されている。
 しかし、 全く予想もしなかった結末を迎える。
 「吉野啓啓二さん」の遺体が、奥秩父の山中で発見される。謎の自死
だった。
 証言はどこまでが、自己体験だったか。それは分からない。
 しかし、死者たちは、吉野さんの口を借りて語った。
 「その苦悩に満ちた生は、それが核兵器を再び使わせず、廃絶させる
ことに役立てられる道を通じている」と著者は書く。
             (1月28日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)

 ◆デマ(人の命をも奪う)と報道
  史実…関東大震災時の朝鮮人虐殺

                           斎藤美奈子(文芸評論家)

 18日、元兵庫県議で、斎藤元彦知事らに対する告発文書の真偽を調べ
る百条委の委員だった竹内英明さんが死亡した。一連の告発文書問題に
おいては文書作成者だった元西播磨県民局長につぐ2人目の死者である。
 翌19白、N国党の立花孝志党首が「竹内元県議は明日逮捕される予定
だった」「逮捕が怖くて命を絶った」などとXや動画で発信。情報は瞬
時に拡散され、20日、兵庫県警本部長が県議会で「全くの事実無根」と
述べる異例の事態に発展した。

 デマは時に人の命をも奪う。その最たるものが関東大震災時の朝鮮人
虐殺だろう。
 「朝鮮人が放火した」などの流言の拡大には当初行政や新聞も加担。
 警視庁は6日後にデマは処罰の対象になると警告するビラを出した
が、多数の殺害事件はすでに起きた後だった。
 右の史実は重い教訓を残す。デマの拡散を防ぐには、公的機関や新聞
テレビなどの報道機関が虚偽情報をきっぱりと、迅速に、大々的に否定
することが必要なのだ。

 生前の竹内さんはデマや誹謗(ひぼう)中傷に悩んでいたという。25日
のTBSテレビ「報道特集」がこの件を特集、立花氏および同様の虚偽
情報を流した東国原英夫氏に発生源としての責任を問うたのはその意味
でも有益な報道だった。
 とはいえ、もっと早く対応していれば最悪の事態は避けられたかもし
れない。残念でならない。
               (1月29日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」より)

◆改竄関係文書を開示せよ

                   前川喜平(現代教育行政研究会代表)

 赤木雅子さんの弾んだ声がテレビから聞こえてきた。「(夫も)喜んで
くれてると思います」
 森友学園に関する文書改竄を苦に自殺した赤木俊夫さんの妻雅子さん
が、財務省が検察に提出した改竄関係文書の不開示決定を取り消すよう
求めた裁判で、1月30日大阪高裁は一審判決を覆し、文書の存否を明ら
かにしないとした財務省の不開示決定を違法として取り消す判決を
出した。
 真相究明に向けてやっと一条の光が差してきた。
 雅子さんの開示請求は 2021年8月、菅義偉首相の時。財務省の不開示
決定は同年10月、岸田文雄首相の時。違法な不開示決定の責任はこの2
人の首相にある。今後の開示・不開示を決めるのは石破茂首相だ。
 判決翌日の衆院予算委員会で石破首相は俊夫さんについて「誠心誠意
職務に精励しておられた方が亡くなったことは真撃に受け止めなければ
ならない」と述べ、「奥さまが納得されることはとても大事」とも述べた。
 ならば全面開示を指示すべきだ。もし石破首相がなお開示を指示しな
いなら衆院予算委員会は国政調査権を発動すべきだ。
 焦点は、改竄が始まる直前の2017年2月22日、菅官房長官(当時)と佐
川宣寿理財局長(当時)ら財務省幹部が何を話し合ったのかだ。改竄の
共謀を知りつつ全員を不起訴にしたのなら、検察の責任も重大である。
                (2月2日「東京新聞」朝刊17面「本音のコラム」より)


〔765〕松宮崇之さんの力作、卒論「ある家庭科教師の語りから考える家事参加」がついに届きました。

2025年01月29日 | 図書案内

*1989年発行、なぜかアマゾンで約3万円で販売されているとは驚きです。

   昨年の10月の上旬のことでした。立教大学の4年生、松宮崇之さんが我が家にみえました。拙著『男の家庭科先生』(福田三津夫・福田緑著、冬樹社)を読んで、卒業論文を書くために私にインタビューを申し込んできたのです。
   立教大学はなにかと馴染みがあります。演劇教育の大先輩の冨田博之さんはここで講師をしていたことがありました。彼が教授として白百合女子大学に移った後、立教での講師の後釜に演出家の如月小春さんを指名したことがありました(2人とも随分前に故人になられていますが)。
 如月さんがお元気だった頃、私に電話をかけてきて、立教の教え子の卒論の相談に乗ってくれないかと言われたことがありました。もちろん快諾したのですが、学生の聞きたいことは演劇教育の理論と実践についてでした。我が家で話をしたことがありました。
  今回も立教の松宮君の指導教官の和田悠教授からメールがあり、喜んで彼のインタビューを受けることになったのです。

 彼が知りたかったことは、6年間家庭科教師であった私が、子どもの時や結婚してからもどのような家事をこなしてきたのかということが一つ、他方二つには、家庭科教師としての実践や、性別役割分業に関する子どもたちへのアプローチなどでした。

  インタビューは2,3時間にわたりましたが、それを元に卒論を仕上げたのでした。
 卒論の表紙と骨子は次のとおりです。

 

 彼の文献調べで興味深かったのは、1989年の高校の学習指導要領で家庭科は男女共修になったのですが、2007年の調査では、家庭科の男性教師の最多県は埼玉県の17人、4.7%、次に東京都の10人、3.0%ということでした。意外と男の家庭科先生は多かったのです。
 小中ではもっと少ないのではないでしょうか。私が小学校の家庭科専科になったとき、あの著名な名取弘文さんも同時になったのでした。私の知る限りは、男の家庭科先生は他に小学校で1人(故人)、所沢高校で1人でした。

 彼が資料から明らかにしたのは、男の家庭科先生に習った生徒は、家庭科を両性が学ぶべき教科であるとし、教師は男女に固定する必要はないと回答していることです。
  私の実践では、時間数の関係もあり、現状の男女役割分業の問題点を考えさせるに留めています。それよりも実践したいことは、着るものを自作し、食べ物を調理する楽しさを味わうことを大切にしました。衣食住・家族の領域を「体験」し、「考える」ことは男女関係なくおもしろいということを五感で捉えることでした。

  松宮さんの労作、力作卒論に心から拍手を送りたいと思います。


〔764〕あの「カフェギャラリー縁」で田辺正樹君(ピアノ)と佐々木舞さん(フルート)のミニコンサートが開かれました。

2025年01月26日 | 語り・演劇・音楽

 昨日、2025年1月25日(土)、教え子でピアニストの田辺正樹君とフルート奏者の佐々木舞さんのミニコンサートが開かれました。会場は、連れ合い・福田緑の第3回写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち」(2024年10月26日~11月6日)が開催されたカフェギャラリー縁でした。

  私がこのコンサートに立ち寄った話の発端はこうでした。
 私たちが写真展の会場使用のお礼に伺ったところ、オーナーの藤沢さんから、写真展の後で私の教え子が訪ねてきたというのです。それが田辺君でした。2003年度、東村山市立秋津小で2年生を担任した39人の1人でした。それは私が早期退職する2年前のことです。田辺君は縁で私のことを知り、コンサートのことも電話で教えてくれたのです。
  コンサート会場で隣同士になった彼のお婆ちゃんの話によると、田辺君は都立立川高校を出て、東北大学を卒業したそうです。理系の学部だったそうですが、大学で音楽サークルに入って活動し、現在は仙台でピアニストとして活躍しているということでした。

 まずはコンサートのチラシを見てください。建物の上の方に「ギャラリー案内」が写っていますが、左の写真がリーメンシュナイダー展のもので、私たちが自ら貼ったものです。

  開演は午後1時15分、演奏は60分程度だったでしょうか。椅子がぎっしり並べられ、立錐の余地もありません。子どもの時と変わらない優しさに満ちあふれた田辺君のあいさつからコンサートは始まりました。滝廉太郎の「荒城の月」、ユーミンの「春よ来い」、カーペンターズの馴染みやすい曲など古今東西の楽曲がフルートとピアノで奏でられました。田辺君のアレンジの楽曲や自作の曲もあったようです。音の大きさも丁度よく、二人の演奏に全身が包み込まれました。(座席からの撮影のためうまく撮れませんでした。)


  途中飲み物タイムも入り、ゆったりと心穏やかに過ごすことができました。2人のコメントも押しつけがましくなくて、さわやかな感じの雰囲気が醸し出されていました。

 数々の演奏に浸りながら田辺君との2年生の時の1年間を思い出していました。個性豊かな子どもたちと、学級通信「オンリー」(全252号)や学級の学習発表会を核とした演劇教育の実践を展開しました。記憶に深く残る子どもたちで、拙著『いちねんせい-ドラマの教室』では「ことばと心の受け渡し」、『ぎゃんぐえいじ-ドラマの教室』では「プロローグ〈ことばと心の受け渡し〉」の項で実践記録として書いています。理論編の『実践的演劇教育論』(以上、晩成書房)では、「私の演劇教育実践史年表」に「オンリー」学級のことを記録に残しました。

  2人でカメラに収まりながら、飯利君とはまだ付き合いがあると田辺君は話していました。 なっちゃん、2人の直也君、真ちゃん、莉帆ちゃん…39人は今どうしているのでしょうか。おそらくみんな田辺君のように素敵な青年になっていることでしょう。
  田辺君、楽しくて心温まるコンサートありがとう!