後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔588〕ロマネスク美術のバイブルは『世界美術大全集 西洋編8 ロマネスク』(小学館、1996年)になりそうです。

2023年05月21日 | 図書案内
  前々ブログの続きです。そこでは、こんなふうに書きました。

 「今年の夏15回目のドイツ旅行を家族で計画しています。相変わらず後期ゴシック彫刻作品を訪ねるということがテーマですが、せっかくならフランスロマネスクの作品のあるモワサック(以前ブログで紹介、故・植田重雄さんが残してくれた写真集に掲載)とディジョン(ボーデ博物館館長、シャプイさんが送ってくれた図録に掲載)に行こうということになったのです。」

 そこでロマネスク美術に関する見識を高めようと、そのバイブル探しを始めました。まずはネットで検索して、ロマネスク美術のあたりを付けました。さらに実物を手にしようということで、清瀬市内の2つの図書館を訪ねました。もちろん前々ブログで紹介した村田栄一さんのスペインロマネスクの本の参考文献にも当たってみました。その結果これだと確信したのは『世界美術大全集 西洋編8 ロマネスク』でした。



 私たち2人が最も関心を寄せているのは後期ゴシック彫刻です。その日本語バイブルは『世界美術大全集 西洋編14 北方ルネサンス』、外国語バイブルはバクサンドールの『彫刻家の芸術』(未翻訳)でした。

 ロマネスク編は30年近く前の本なので、アマゾンで安く求めることができました。
 予想以上の素晴らしい本で、期待を裏切らずにまさに「大正解」でした。
 この本を熟読玩味してみると、続々と新しい発見がありました。我々2人は後期ゴシック彫刻に関しては、世界中で誰にも負けないくらいの膨大の数を拝観している自信はあるのですが、ロマネスクは疎かにしてきたなと自戒しているところです。フライジングの大聖堂はロマネスク様式ですが、昨秋に案内してくれたマティアス・ヴェニガー博士の説明にはとてもついていけない2人でした。

 ところが 『世界美術大全集 西洋編8 ロマネスク』の頁を繰る度に、すでに今までにロマネスクはかなりの数訪ね歩いていたのを再認識できたのでした。妻のドイツ旅行の主目的は「リーメンシュナイダーを歩く」ことで、私のそれはどちらかというと「世界遺産を歩く」ことでした。現在ドイツの世界遺産は51になりましたが、そんなこんなでそのかなりの場所を訪れていたのです。そのなかにロマネスク遺産が数多く入っていました。

・ヒルデスハイム 大聖堂・聖ミヒャエリス教会
・アーヘン 大聖堂
・トリーア 大聖堂
・ロルシュ 王立修道院とアルテンミュンスター
・シュパイヤー 大聖堂
・マウルブロン マウルブロン修道院
・ライヒェナウ ボーデン湖の修道院の島
・クヴェトリンブルク 聖セルヴァティウス教会

 おそらく、かなりの数を書き落としていると思われますが。

 さて、今夏訪問予定のナウムブルク大聖堂(世界遺産、素晴らしい2組の夫婦の彫刻があることを教えてくれたのはUさん)、マリア・ラーハ修道院(こちらはNさんに教えられました)はいずれもロマネスク様式の建物でした。どちらも素敵な彫刻もあるということで期待が膨らむばかりです。

 さらに、フランスのモワサックはトゥールーズから至近距離にあります。トゥールーズにはロマネスク芸術の最高峰の1つ、サン・セルナン・バジリカ聖堂、オーギュスタン美術館があります。ここは今夏の旅行のハイライトの1つです。

 そうそう、かつて「飛ぶ教室」ツアーで村田栄一さんに同行したモン・サン・ミッシェルやヴェズレーの聖堂もロマネスクの傑作中の傑作でした。いやはや。