椿寺 地蔵院。
今年秋に公開される岡田准一主演の「散り椿」(葉室麟)の、舞台になるお寺だ。洛中33か所観音霊場巡り30番札所でもある。一条通西大路東入る(京都人はこれだけ言えばどこにでも行ける。)御所の西から始まる一条通りが、北野天満宮の正面(正面通り)あたりから大きく斜行し西大路通りに至る。そのあたりにある小さなお寺だ。
珍しく北から南向きに山門をくぐる。(多くの神社・寺院は北向きにくぐる)「天子南面す」の法則にしたがい寺院もその様に祀る事が多い。
本尊の地蔵尊は、東向きに建っている。そして境内には大きな椿の木。「五色八重の散り椿」という。椿は咲いたまま花びらだけぽとりと落ちるので、武士の斬首のイメージから武家には嫌われるのが椿だ。落ちてもなお花びらが咲いたように見えるので、退職後のサラリーマンを読んだ筆者の名句。「落ちてなお 未練を 残す 椿かな」
しかしここの椿は珍しく花びらを一枚ずつ散らす。現在の椿は二代目で、秀吉の寄進による。
また、忠臣蔵で有名な、天野屋利兵衛の墓所でもある。映画の公開と共に今秋の人気スポットになるのは必至だ。狭い境内なので早めに訪れたい。近くには、北野天満宮や近年有名になった大将軍八神社の妖怪通り(一条通り)がある。