26番 金胎寺
京都府相楽郡和束町原山
山号 鷲峯山
宗旨 真言宗醍醐派
本尊 弥勒菩薩
開基 天武天皇・役小角
別称 南大峰山
一気に南山城地方まで足を伸ばす。JR加茂駅から奈良交通バスで「原山駅」から徒歩1時間かかる。もはやハイキングの域を超えた場所にある。自動車でも林道は狭く離合困難となっている。寺に駐車場もないが、近くまで自家用車で行くことをお勧めする。
南山城地域にも名刹が多く移動手段には困るが、是非訪ねたい。京都府という行政区分は近年になってからで、文化圏としてはやはり奈良平城京との繋がりが深い。
金胎寺は天武天皇の時代の創建と伝わる。奈良大峰山と並ぶ修行の地として発展した。別名南大峯とも言われる。周辺は巨岩・奇岩が多く分布し修行には適していたのだろう。歴史的には、倒幕の旗を挙げた後醍醐天皇が、笠置山に落ち延びる時に立ち寄った事で太平記では有名だ。
奈良市内から40分ほどかけて、途中イノシシの親子に遭遇しながら、林道のはしに車を止めて急な山の斜面を登り10分ほど歩く。念のためイノシシの襲撃に備える為手ごろな棒切れを手に持つ。境内に人気はなく近年の台風などの大雨や気候変動の影響か周辺の森林は荒れ放題だった。本堂・多宝塔と巡る。特に多宝塔は鎌倉時代(1298年)伏見天皇の勅願により建てられたものと確認されている大変貴重なものだ。着色は完全に色落ちしているが凛とした姿は往時をしのばせる。周辺の行場巡りのコースがあったが、一周2時間と聞いて次回にすることにした。本尊は弥勒菩薩と案内にはあるが、無人の本堂には入ることも適わなかった。後で知ったが、ご本尊は醍醐寺霊宝館に寄託されていた。
ここはあくまでも修行の場所なのだ。観光気分では行けない。