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清里・キープ牧場のパン屋さんの庭に咲くコスモスだ。
木の柵によく似合っている。
この季節ならではの風景である。
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コスモスの歌
きみよコスモスを歌え
コスモスの花を歌え
コスモスはぼくの幼かった時代
母とともに山野や庭で親しんだ
花
母の愛はコスモスが咲き乱れるように
尽きることが無かった
コスモスは
咲き乱れ
咲き乱れて母を迎えに来てしまった
母は満開のコスモスとともに旅立った
きみよコスモスの花を歌え
そしてきみはぼくの母となって
ぼくと旅立っていく
コスモスの歌は
秋という季節を乗り越えていく
ぼくの母の尽きることのない愛情のように
きみの豊かな母性のように
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ぼくの母は、7年半の闘病の末「幽明境を異に」した。
その時、庭のコスモスが見事に咲き乱れていたものだった。
母は、40数年の人生を悔いなく過ごせたのだろうか。
ぼくはそうだったと確信している。
父の惜しまない愛情は、子ども心にも眩(まぶ)しかった。
「愛情は降る星のごとく」
父の書斎の書架にあった。
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茅屋から見上げる空である。
晴天の夜には星屑で作った「天の川」が架かる。
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星の夜空は、いまもなおぼくの内部に沈殿しつづけている。
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荒野人