2022.08.22撮影
これが結構美味しい。特別美味しい、までは行きませんが。木から落ちているのを拾って(洗って)食べます。そのままパクついてもいいし、口の内部に引っかかる感じの表皮のざらつきが気になるなら、ヘタを引き抜いて、実を指先でつまんで押して、ぶちゅっと(もちょっと上品な言い方はできないのでしょうか)食べればいいです。
これは何か、というと、ミズキ属(Cornus)の1種、Cornus nuttallii の実です。この木は、和名はないようですが、英名 Pacific dogwood を訳せば、「太平洋ヤマボウシ」。北アメリカの太平洋岸、カナダのブリティッシュ・コロンビア州南部からアメリカのカリフォルニア州北部にかけて分布します。分布図は以下でどうぞ。
日本で、類似の植物が、ミズキかヤマボウシか、という議論があるようですが、ここで分類は試みません(滅相もない)。Wikipediaの英語版によると、亜属は、全部で、認められているのだけでも10亜属あるもようです。でも、日本語版では、「ミズキ(水木)」「ヤマボウシ(山法師)」「サンシュユ(山茱萸)」「ゴゼンタチバナ(御前橘)」の4つしか挙げられていません(なぜ?)。
その点、英名は便利で、すべて、Dogwood です。
今日、紹介の Cornus nuttallii(Pacific dogwood「太平洋ヤマボウシ」)は、白い「花弁みたいなもの」が4〜8枚。この「花弁みたいなもの」は、本当の花弁ではなく、ツボミを包むように特化して発達した葉で、苞(ほう)と呼ばれるものます。以下の画像で見える「花」は、苞片が4枚のものばかりです。この画像は、雨の日の夜に撮影したもので、フラッシュがたかれています(それで画面がテカテカしている)。
2020.06.09撮影
苞片の中央にある小指の先ぐらいの塊が、小さい花の集合です。苞片が落ちると、次のようになります。茂った葉の後ろに見える幹が、この木の本体です。
2022.08.22撮影
そして、この(本物の)花の集合が、後に赤い実になります(冒頭の画像)。
この「太平洋ヤマボウシ」の木は、実は、うちの敷地に植わっている木ではないんです。西隣のおばさん(わたしより年上なので、「おばさん」と呼んでおく)とわたしは、敷地の境界に近いところに何か植えたい時には、お互いに相談をして決めるんですが、この「太平洋ヤマボウシ」は、おばさんが、お互いの「目隠し」のために、わたしに「いいね」と確認してから、敷地ギリギリ(のおばさん側)に植えたんです。
ところが、彼女が剪定を怠ったために、あっという間に大木に成長し、ふたりでびびっていると、見事な枝をかざして「花」を咲かせてくれるようになったので、剪定は、うるさいところだけにすることに決めました。「目隠し」の役目は全然しない。下の方には枝がないので。
でも、代わりに、わたしのうちの方まで枝がかざすように伸びて、「花」が咲いている時には、来る人来る人、いいですね、と言ってくれます。真っ白で、涼しげなんですよ。枝全体が風にたわんで揺れるところも風情があります。
ところで、この Pacific dogwood「太平洋ヤマボウシ」は、わたしの住むブリティッシュ・コロンビア州の州花です。(下にリンクした記事には、2022年9月7日現在、学名の最後に 'i' がひとつ抜けていますが、このページを管理する州議会教育担当事務室に訂正を求めたところ、訂正するとのことです。)
The symbols of British Columbia(英文+画像)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます