今まさに観るべき映画でした。
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日中戦争。ソ連と満州の国境。
国境を守れないと覚悟した軍部は国境から軍を撤退させる。
この撤退作戦がバレないように
15歳の学徒が国境に送り込まれ、置き去りにされた。
これは当時の教育機関も認めた作戦だった。
飢えの中、集団で逃避するも、途中で日本が敗戦。
満州国も消滅。
少年たちはソ連の捕虜として収容。
引率の先生はシベリアへ連れて行かれたっぽい。
引率者も失った状態で
捕虜として収容され、
50日後、突然解放。
なんの指示も助けもなく、15歳の少年たちが力を合わせて歩き続ける。
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この体験をされたご本人である田原和夫さんの「ソ満国境15歳の夏」が原作。
この物語を、福島の原発事故に遭った現代の15歳の少年少女が調べるというストーリー。
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道中、衰弱しきった少年たちを助けたのは中国の石岩鎭という村の人々だった。
当初は
「今更日本人に恩を売っても何の役にも立たん」
「人の土地に入るな!」
と反対するものも多かったし
100人以上の中学生たちの宿と食糧を分けられるほど豊かな村ではなかった。
しかしこの少年たちが国から捨てられたと知った村人たちは助けることを決め、
その村の40世帯にそれぞれ2〜3人の少年たちが匿われ、宿と食事を与えられた。
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少年たちの引率を任された金子昇もよかった。
どれほど全員を家に返さなくてはというプレッシャーを一人で背負った軍人をまっすぐ演じていました。
この人も軍部から捨てられた人。
田中泯もさすが。
田中泯と一緒に演技をしているときは子役たちの演技も格段に良くなる。
夏八木勲ら存在感ハンパない老優たちの演技も味わい深いです。
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もうちょい映画としての完成度が高いと良かったけど
こんな素晴らしい実話をちゃんと伝えてくれるこの映画には感謝せねばならないですね。