冒頭から生き埋めにされる桐生コウジさんが哀しくも可笑しい。。
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イカ天に出演経験のあるバンド〝馬の骨〟。
そのボーカルだったのが桐生コウジさん。
映画でよく観る役者さんです。
桐生さんが監督・脚本・主演を務めたのが本作。
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今もイカ天でもらった特別賞の盾を大事にしながら中年になった男と
歌が下手な地下アイドルの少女の交流。
〝次〟へ行きたいともがく2人を中心とした物語だけど
サブキャラたちへの視線も優しくて温かい。
死んだバンドマンの奥さんが椅子に乗って盛り上がるシーンは泣ける。。
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起承転結の起が素早いのが良いですね。
あ、そんなとこまで話進めちゃう?
っていうところまで一気話を進めてから
登場人物それぞれの奥行きを描きつつ、横道の展開へ。
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拠点となる千葉のシェアハウス(ていうか農家)の雰囲気がいいですね。
そういえばほとんどのキャラに家族の説明がなかった。
親がどうとか、配偶者がどうとか。
ほとんど説明なし。
個として集合して、あたかも家族のような空気感で暮らしている。
「血縁によって無条件に自分を受け入れてくれる存在」(=家族)がいない世界。
居心地はいいけど厳しい世界でもあるわけですね。
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『ハローグッバイ 』でも桐生コウジさんの走り方が面白かったんですが、
やはり今回も面白い。。
この映画もコメディですがウケ狙いのコメディ演技をしないのがいいですね。
一生懸命生きてる男なんだけど、なんか笑える。。
ってのが最高。。
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若い頃の栄光(?)を断ち切るおっさん映画です。
栄光にすがりついてるわけにいかないのも知ってる。
すがりつくほどの栄光じゃないのも知ってる。
おっさんになると、新しい自分になるのは今じゃなくていいし、来年でも再来年でもいい。
新しくならなくてもいい。
でも、新しい自分になりたい気持ちは消えない。
一方、ユカや垣内などの若者は
今すぐ新しい自分にならなきゃ!という切迫感が強い。
ぬるぬる生きてるおっさんへの苛立ちも強い。
この対比が面白かった。