大林宣彦監督の魂の極強烈な反戦映画
『花筐/HANAGATAMI』(2017年)
四コマ映画『花筐/HANAGATAMI』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2558
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「我が大日本帝国では国民の命は国家の命」と武田鉄矢が言う。
門脇麦は「いつか戦争しない、誰も殺されない日が来るといいね」
満島慎之助は「青春が戦争の消耗品だなんてまっぴらだ」
若者と老いた男の対比。
老いた男だけは
「我が大日本帝国では国民の命は国家の命」だと仕組みの話だけをする。
人間一人一人の話をこの人はしない。
ただ国家の仕組みの話をする。
生(性)を謳歌できたはずの若者を「仕組み」によって殺す。
死を怖がる若者に、
老いた男は諭すように仕組みの話をする。
恋人や夫や息子を戦争で殺される女にも、
老いた男は仕組みの話をする。
濃っ!
最初の1時間を突破するまでに何日もかかりました。。
セリフも多いし、一つ一つのシーンが複雑だしトリッキーなので
理解が全く追いつかないまま、次の何かが始まっちゃう。。
で、脳がパンクして眠くなって寝ちゃう。。
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全部理解しなきゃと思うのをやめまして、とにかく観てりゃいいや、と。
大林宣彦監督なんだから、きっと映画を観てりゃわかるだろう、と。
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1時間越えると戦争の足音が聞こえてきて、全員が飲み込まれていく。
この映画の中には
召集されるのがイヤで醤油を一升飲み干す少年もいたし、
名古屋城の前で自決した少年もいた。
戦争に行きたくない男は戦争にいけない体になるか死ぬしかない。
「女は悲しい。男はかわいそう」
「祖国がまた戦争をはじめました!僕たちはまた、戦争に行きます!いってきます!」
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途中でファスビンダーの『ケレル』チックなムンムンシーンが何度も挿入される。
ついには全裸の満島慎之助が馬にまたがりその後ろから全裸の窪塚俊介が抱きつく形で馬を走らせる。
「突撃だ〜!」
翌日そのシーンを思い出しながら白濁した液体(豆乳)を一気呑み。
他のシーンでもキスしないのが不自然なくらいに男たちの顔が近い。
女たちも同様。
山崎紘菜と門脇麦はついに。
大林映画でなければどこにも存在しないやり過ぎた演技は、ラストまで見ても見慣れることはないんだけど
見終わったあとにも強烈に残るし、75年に青春を謳歌したくてもできなかった若者たちがたしかに存在していたことを実感させてくれる演技。
ナチュラルな現代的な自然な演技ではこの意図は表現しきれないはず。
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少年にとっては少女は謎の生き物。
少女にとっても少年は謎の生き物。
一つ先の人生を生きている、おばさま役の常盤貴子はすべてがわかっているかのように少年少女たちを優しく包んでいるが、戦争で夫を亡くしたことによりドラキュラになってしまった。
さらに一つ先をいきている、ばあや役の入江若葉は、息子を2人戦争で亡くし、ラストには爆発するように泣き叫ぶ。
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いやあ、このパワー。この怒り。この鮮烈さ。一生消えぬインパクトをこの映画から受け取りましたよっ!
四コマ映画『花筐/HANAGATAMI』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2558
ラストネタバレは以下に。。。
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明確に生き残ったのは窪塚俊介のみ。
窪塚俊介はこの映画の原作者の檀一雄の役だそう。
ラストシーンは、伊藤孝雄演じる「老いたる俊彦」(窪塚俊介)の独白。
戦争を生き抜き、結婚もせず常盤貴子(おばさま)の家でひとり生きてきた。
当時の若者たちがなぜ死ななければならなかったのか、反戦のメッセージを観客にぶつける。
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矢作穂香は病に倒れる。
満島真之介は荒れた海に投身自殺。
(自殺ではあるけどこれは戦争で死んだという意味かも)
矢作穂香のため生きていた(ホントはすでに死んでいた?矢作穂香の血を吸うことで生きながらえていた?)常盤貴子もこの世での存在意義をなくす。
満島真之介は矢作穂香に恋心はありつつも、常盤貴子にも惹かれて生前よりアプローチをかけていた。
「いけませんわ」と断っていた常盤貴子だったが、
生と死があいまいになった世界で
もう欲望のままに生(性)の喜び(悦び)に身を投じよう!と
満島真之介と常盤貴子は全裸になり、海に溶ける。
そこに矢作穂香も合流し、3人とも手塚治虫が描く裸のようにつるんとした(何にもついてない)体をあらわにして、川の字になって海の中を進んでいく。
命の源である海で、精子と卵子に戻ったかのような存在の3人。
死亡。
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門脇麦、山崎紘菜の生死はわからない。
大林監督は「あきね(山崎紘菜)のような女性が生き残って戦争を伝えてくれた」とおっしゃってたので、山崎紘菜は戦争を生き残ったのかも。
ただ、戦争という男性的な出来事の中でほとんど存在を消されてしまったのかと。
門脇麦も同様かな。
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長塚圭史は誰よりもいち早く海に投身自殺。
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道化役を演じていた柄本時生はおそらく戦死?
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江馬家の老婆(入江若葉)は食卓でひとりうとうとして夢を見る。
夢には日中戦争ですでに死んだ2人の息子が現れる。
「母さん、また戦争がはじまりした!戦争に行ってきます!」
再び息子2人を戦争に殺されてしまう。
老婆は目覚め、爆発するかのように咆哮する。
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娼婦の池端慎之助「女は悲しい、男はかわいそう」
終わり
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