HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

湖畔のカフカ

2011年08月03日 | 細美武士/the HIATUS
窓から湖が見えるそんな所に住んでいる。
細美さんは将来湖畔に住みたいって何かに書いていたけれど
彼が思う湖畔とはちょっと違うかもしれない。
彼が思う湖畔は都会から結構離れた場所で
町に出るにもちょっと時間がかかる場所なんじゃないかと。
森があったりしてね。

私の住んでいるところは田舎で、田園風景も健在な場所だ。
昔ながらの門のない田舎の家が並んで、夜になると車も途絶えて
静かな暗闇が訪れる場所。

職場まで、バスと電車とバスで行かなくちゃいけないけれど
通えないほどではなくて、案外簡単に街中に出れちゃうんだ。

仕事場周辺は田園風景なんかどこにあるっていう工場や住宅地やビルなんかが
立ち並び、道路には車がひっきりなしに通って、下手するとすぐに
渋滞してしまうようなところなんだ。

だから、今日みたいな暑い日は日傘をさしていても
アスファルトからの照り返しとぷわ~んと地面から昇ってくる熱気で
いやでも都会を感じざるを得ない。

そこから湖畔の家に戻ってくるとほんとにホッとする。
風も通るし、都会のほこりを払ってもらっている気がする。

でも、私は都会が嫌いじゃないし、田舎がすごく好きっていうわけじゃない。

そんな私は、夏になると「海辺のカフカ」が読みたくなる。

話の内容はともかくとして、本の中に出てくる絵が見れるわけじゃないのに
読んでいるだけで見たような気になるし、それが見たくて読むんだ。

この絵を心で見ると
ある映画を思い出すんだ。

「ベニスに死す」っていうルキノ・ヴィスコンティの映画。

この映画はその中に自分は居ないのに
夏の暑さやら熱気やら砂浜やら風やら光やらを
強く感じさせてくれる映画なんだ。

私は一時、ヨーロッパ映画にはまっていた時がある。
フランス、ドイツ、イタリア、そしてイギリス。

アメリカのハリウッド製の映画に比べて
ある意味難しい感じなのかもしれない。
どこか哲学的だったり、何かが解決して
ハッピーエンドっていうわけじゃなくて
淡々と終わったりして、どこにカタルシスを
求めていいのかわからないものもある。

でも、これらを映画館に見に行ったら
だいたいにおいて終わった時にしばらく
席を立てないぐらいにとてつもない
エネルギーが自分のところに来ているのが
わかるんだ。

で、何かを考えるっていうことを
思い出させてくれる。

ほんの一時だけであってもね。


最近は映画館すらあまり行かないし
見る映画もそれこそ「ハリーポッター」だったり
ティム・バートンの映画だったりするけれどね。

でも、「ハリーポッター」を舐めちゃだめだよ。
私はとてもいい映画だと思っている。
ここには「イギリス」という国の空気がいっぱい
あって、あそこで感じる感覚が魔法の世界ではなくて
現実にイギリスにあるってことをみんなに知ってほしいな。

で、話を戻すと
「海辺のカフカ」の中にこういう一節がある。

「音楽には人を変えてしまう力ってのがあると思う?
つまり、あるときにある音楽を聴いて、おかげで自分の中にある何かが、
がらっと大きく変わっちゃう、みたいな。」
「もちろん・・・(省略)化学作用のようなものですね。そしてそのあと
僕らは自分自身を点検し、そこにあるすべての目盛りが一段階上に
あがっていることを知ります。・・・」

先日書いたブログと重なるけれど
私をとことん変えてくれたのはおそらくthe Clashだろう。
何かが変わった。そんな気がしたもの。

そして、この間ひとつだけ書き損じたことがあった。

日本のロックには何ももらってないみたいなことを
書いていたけれど、そのthe Clashと出会った頃かな?
日本で唯一、私がアルバムを買ったバンドがいた。

サザンオールスターズ。

そうだ。私にとってサザンは日本でほんとのほんとに
最初に好きになったバンドだったんだ。

彼らは夏であり、海であり、恋であった。

だから桑田圭祐って言う人は素晴らしいアーティストだと
今も思っている。

さて、この「海辺のカフカ」で佐伯さんの書き記したものを
すべて燃やしてしまうところがある。

あれを読んでいて、思い出したんだ。

私がこのブログを最初に始めた動機っていうのを。

誰かに読んでもらおうとか
誰かに何かを伝えようっていうのではなくて
ただ、ただ、自分の中に貯まって行く音楽への
押さえられない感情を吐き出して行くための場所だったってことを。


ある意味自分というのを見つめ直すためでもあった。

このブログを始める前にあるインディーズのバンドを知った。
そのバンドのボーカルさんが作る音楽はすごいと思った。
私はそれがメジャーと言われてないまだスポットライトを
浴びてない音楽の最初だった。

この世には人目にはまだついてないけれど
こんなに素敵な音楽もあるんだと知った瞬間だった。

当時はブログを自分がやるなんて想像もしてなかったし
ただそのバンドが世に出てもっと有名になればと
応援していた。

といっても、私は追っかけ体質を兼ね揃えてない人間なので
やっぱり行けるときしかライブには行けなかった。

でも、行った時には今はブログに書いているけれど
その感想をその場で伝えていた。


ただそれだけだった。

でも、ある時からそのバンドとは疎遠になった。

ある意味、そのボーカリストは自分はモテていると
思い込んでいたんだろう。そういう態度が
溢れて来たんだ。ファンの誰もが自分に恋していると。


私はあきれた。


バカなやつだと思った。


誰も彼もが歌っているその本人に恋するとは思うなよって。
あるいは演奏している本人にあこがれると思うなよって。

根本のところで
その音楽を好きな人間だっているんだ。
たとえ異性であっても。


確かに男前さんではあったけれども
前にも書いたけれど、私には男前が見えない。

もちろん下品な人とか気持ち悪い人とかはイヤだけれども。

まず、外見で惚れることは無い。

心の男前に惚れるし、その心の男前具合を知るには
やっぱり本当に付き合わないとわかんないと思うんだ。

だから、たまに合うだけでも心の男前さがわかる人もいるけれど
それっていうのはごく稀で、ふつうはわかるまでに時間がかかる。


そもそも「オマエは俺に惚れているからライブに来るのさ。」みたいに
思っているミュージシャンは好きにならない。見ててわかるもん。

好きになるミュージシャンは「俺の音楽をいっしょに共有してくれ。」
って心で叫んでいるのが聞こえる人たちだ。

話を戻すと

ブログは紙より簡単だよね。消しちゃうのは。

この今まで何年もかけて書いて来たこのブログも
「やめます。」ってことを言えば、瞬間に消えるわけだ。

別に自分の吐き出した言葉をすべて覚えているわけじゃないし
別にそれがなくなっても、何を書いたか忘れちゃっているから
別に構わないわけで。

読む側もいろんな人がいろいろ見て下さっているけれど
ここが無くなったからって別に困る人は誰もいないわけで。


でも、たまにコメントを下さると
ついつい続けちゃうんだよね。

こんなブログでも誰かがわざわざ読んでくれていると思うと
本当に幸せだなって思う。

これをやり始めたきっかけはくそったれなインディーズバンドへの
決裂からだったかもしれないけれど、その後に出会ったバンドが
素晴らしいバンドばかりで、1度目の化学作用はthe Clashだったかも
しれないけれど、人生で2度目の化学作用を起こしてくれたのは
ELLEGARDENであり、Jet Kellyであり、FoZZtoneなんだよね。

すごいよね。3つのバンドによる化学作用って。

何より細美武士っていう人に出会った時は
ほんとのほんとのこれが価値観を変えるっていうんだって
いう自分の中の大幅の変化があったよ。


現在もそれは持続中で、彼のいろんな言葉や音楽が
今も私にいろんな種を蒔いてくれている。

一方で、まだ知らない人も多いだろうけれど
真田暎人っていう人も素晴らしいミュージシャンだ。


そして、渡會将士っていう人も「俺様」的な人だと思う人もいるかもしれないけれど
その向こうには「音楽へのとこしえの愛」が溢れているんだ。とても繊細で
とても熱くて、とても澄んだ心の叫びがいつもそこにあるんだ。

まあ、ここに何を書こうがご本人さんたちはつゆ知らず(笑)


いつか「海辺のカフカ」の佐伯さんみたいに
このブログをすべて無にする時は来るかもしれない。

その時は自分自身のするべきことはしたって思えてたらいいな。
あるいは結局はただの戯言だったなぁ~って自分を哀れむのもいいかもしれないな。


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