2013.7.26(FRI)晴れ
私はここをおそらくご覧の方より結構年上で
たぶん長く人生を生きているわけですが、
そんな私が東京でライブを見るというのは人生初であります。
その上、あこがれていたロックの聖地”武道館”で
ロックのライブを見ることができたのです!
我が人生のロック記念日がまたひとつ増えました。
2013年7月26日は私にとって忘れ得ぬ大事な一日と
なりました。
そのライブをしてくれたバンド
それがACIDMAN!
私は以前にも書きましたが、彼らの事はずっと前、
おそらくデビュー当時から知っています。
が、本当に好きになり、正面を向いて
まっすぐ好きになったのはなんと去年からなのです。
その前から少しずつ、近づいてきている感は
あったもののまだそこまで達してなかったのですが
佐野元春氏の「the song writers」を偶然見て
そこで大木氏の世界観を知り、音楽を聴き、
すぐにアルバムを買い、聞くや否や
すべてが準備してたよ!っていうぐらいに
体内のすべてのカプセルが蓋を開けたかのように
私にACIDMANの音を流し始めました。
そのあとに偶然にもRADIO CRAZYに出ると知り
それが初ライブでした。
生で音と歌を聴き、さらに「確信」と変わりました。
このバンドは私にとっての一生もののバンドだ。
そして新しく出たアルバム「新世界」
にも入っている「アルケミスト」は
小説からインスピレーションを得て作られた曲ということですが
この小説も私が大事に読んできてた小説で
それを歌にしてくれたことにも
ほんと出会う準備ができていたとしか思えませんでした。
でも、出会うまでにこんなに時間のかかったバンドも
なかった気がします。
ずっと名前もそしていくつかの楽曲も聞いているというのに
どうして今まで行き着かなかったのか不思議でなりません。
これが音楽の旅というのでしょうか?
まるで「アルケミスト」の主人公の少年のように
音楽という宝物を探す旅に知らぬ間に出ていたのでしょうか?
そして、半年ぐらい前からチケットを予約して
大阪のZEPP NAMBA(この感想もまた書きます)に
15日に行ってきたのですが、本当はそれで
終わる予定でした。
ところが運命が「GO TO BUDOUKAN!」
と突如私を連れて行ってくれたのです。
チケットはほんとギリギリ取ったので
座席は良くないとは思っていましたが
ライブが始まると、どこの場所がいいとか悪いとか
そんなのもまったく取るに足らないことのように
思えるぐらいの全身がACIDMANの音楽になって
まるで液体になって透明になってしまったかのような
時間を体験することができました。
私はスタンド席のかなり上の方でしたが
ダイヤモンドの中をくり抜いたらこんな
空間になるだろうなっていうような
形の場所なのでステージの3人は小さく見えても
遠いっていう感じはしませんでした。
最初は白い幕があって、
会場が暗くなってから
そこに波紋の映像が映し出されて
その後ろではgen toがスタートしました。
その映像と音楽の融合から始まったこのライブ。
大阪ではなかったので、まったく別ものの
ライブを見に来た気がしました。
そしてやがて幕があがり、彼ら3人が
演奏している姿がそこにありました。
とっても広いステージの中心に上から見ると
そこに3人のアンプやらエフェクターセットやら
ドラムセットやらがきっちりと四角形を描くように
配置されていて、上から見るとなんていうのか
広い床に一枚の絵が置かれているような感じがしました。
下地は黒。ほんと驚くほどの黒。
その上で自分の位置をさほど乱さず演奏する3人。
そしてライトがその黒地のキャンバスに絵をいろいろ
描いて行く感じがしました。
私はSUSYという曲が大好きなのですが
この曲で始まるというのがまたほんと最初から
気持ちが高揚してしまって、もうそのまま最後まで
いってしまう感じがしました。
ひとつひとつの感想を書いてしまうと
きっとひとつの短編小説になってしまうぐらいの
思いが溢れてしまうので、ある程度にしておきますが、
MCはイチゴさんがいつものように駄洒落をまじえつつ
お話されましたが、
ライブどうですか~からのライ武道館どうですか~という
流れ~彼ならではのですね(笑)
イチゴさんがMCをサトマさんにふって
サトマさんがおもしろいことを言わなかったとか
同い年なのに上から目線だとかといって
そこから言い合い(愛ある)を始めると
「けんかをやめて~ふたりをとめて~」と
歌う大木さんそしてメンバーもハモって終わるという流れが
なぜかありました。
見た目はイチゴさんが怖そうで
サトマさんが優しそうで
大木さんはクールな感じなのに
このMCの3人を見るとみんな
見た目の期待を見事裏切っているところが
楽しいですよね。
唯一カバー曲である「Can't Help Falling in Love」
は元はプレスリーの曲で、もちろん彼の現役時代は
知らないわけですが、父がウクレレをやっていたせいか
プレスリーの出ていた「ブルーハワイ」という映画がことの他好きで
それを何回もまだ幼少の頃見せられていて記憶にかなり残っていたし、
さらにUB40とかがカバーしてて何度となくこの曲を聞いたし、
しかも、自分が初めてアコギを手にして練習した曲がこれなんです。
だから、世にある数あるオールドソングからこれをACIDMANが選んでくれたのは
ほんとうれしいし、なんか遠い昔からこれで繋がっていたのかもと思ったりします。
そして、ACIDMANの曲の中でもこの曲はやっぱり大切な曲なのが
「ALMA」これをサトマさんが最初はベースではなく、鉄琴で演奏されました。
これは大阪でも驚いたのですが、また違った「ALAM」の響きがありました。
今さらなのですが、このバンドの独特のカラーというか音の色はなぜなのか?
最初はわかりませんでした。でも、彼らのファンになってからDVDとかの
ライブ映像とかを見ていたら、その色を醸し出しているのが実はこのサトマさんの
ベースなのだとわかりました。ほんと驚いたのはベースでメロディラインを演奏している
という事です。だいたい今までは6弦ギターの方がメロディラインを弾くものと
思い込んでいました。でも、ここでは大木さんももちろんですが、時として
サトマさんが弾くのです。それがすごくACIDMANだけの色を描ける理由だと
知りました。
今回は最初は鉄琴で2番目からはベースで弾かれましたが、どちらも
ほんと唯一無二の音の絵だと感じました。
そして、毎回ですがこの歌を聞いて全身がその空間で透明になって
空気になっていくようでした。涙もシャボン玉のように飛んで行きそうでした。
体がもしかして武道館からALAM展望台に飛んでるんじゃないかと思うぐらいでした。
この曲のあとに
坂本龍一さんに演奏してもらった曲ということで
「風追い人」についての大木さんのお話がありました。
まず、坂本さんは今日は来てないけどね。と前置きして。
このライブの前、ちょっと期待はしましたが
ステージを上からみていて、どこ見てもキーボードの用意が無かったので
来られないんだと思ってましたが、それはそれでもしかしてよかったのかなと。
ファイナルこそ3人だけでやっぱりやってほしいというのがありました。
風追い人というのはこの世界の風と色を集めて旅する人で
死んでしまった人の灰を風と色に混ぜて飛ばすという人ということで
大木さんは自分はすべてのものにはいつか終わりがきて、
みんな死んで行くんだというふうにいつも歌にも書いていると。
そんな風に終わりばかりを書いているのはきっとACIDMANぐらいだろうけど
終わりがみんな平等に来るんだから、戦争とか殺し合いとかしなくても
みんなに死が訪れるんだから、今を瞬間をしっかり生きようと思って
みんなが大事に生きて行けば、そういう戦争とかもなくなるんじゃないかと
いうような話をされました。
この死者の灰に風と色をまぜて飛ばす事で
新しい生命が穏やかに生きて行ける世の中を作ることを
願っているというような話もされました。
私が要約して書いているのでそのとおりではないですが
大木さんは東北大震災などの事も思って、そして
いろいろな出来事で亡くなっていった人の事を思って
そこで残された人たちや今生きている自分たちが
どれだけ奇跡の中にいて、それがどれだけ幸せなことなのかを
お金とかそういうものも大事ではあるけれども
それ以上に大事なことがこの世界にはあることを感じて欲しいと
いつも願って歌を作っているんだということが痛いほどわかりました。
彼がマイクを通して、息づかいも聴こえるほどに
丁寧に魂を込めて、話す言葉が
ステージの黒いキャンバスから武道館全体に放たれる時、
一文字一文字がひとりひとりの心に飛んでくように感じました。
彼のことをいろいろ思う人がいても、この時の彼の言葉には嘘はないと
みんなは感じるだろうと思いました。
未来も大事だけれど、谷川俊太郎さんの詩にある
「明日は今日になってこそ
生きることができる」
という言葉が大木さんの言葉からも強く感じました。
未来は今日をしっかり生きなくちゃ死んじゃうんだってこと
未来は今日の自分から生まれるんだってこと
そんなことを感じました。
「風追い人」ではMVが前編で流れていたのですが
後ろも見ずに映像と音をしっかり重ねて行くのが
ほんとすごいなと思いました。
演奏のテンポとか少しでも間違うとへんな感じになるのに
少しもずれることなく、ライブ演奏と映像の一体感が素晴しかったです。
今回後ろの映像もMVを交えつつ、この日のために作ったのか
(私はすべてを知らないので)いろいろな映像が素晴しかったです。
さらにライティングがとても美しかったのです。
ふだんはアリーナとかそういうところで
他のバンドでも見る人間なのであまりスタンド席から見る事は
ないのですが、今回はスタンド席でよかったと思いました。
光のショーも同時に見れる感じがしました。
ステージから客席に客席からステージに差し込む光だったり
光線だったり、どれもが美しく会場を包み込みました。
彼らの映像には水というか波というかがよく登場します。
それも関係するのかもしれませんが、その音楽と映像と
ライティングにより、なんだか自分が海の底にいるような
感覚になりました。深海でライブを見ているというのか。
実際は濡れてないけれど、音楽で濡れているというのか
魚たちは実際は泳いでないけれど、ブクブクというような
感覚がそこにあるというか、海の植物ではないけれど
人がみんな揺れているというか。
とにかく、泳ぎたくなる感じがしました。
ふわふわと武道館の中を泳げるんじゃないかと思える感じがしました。
みんなが泳いでステージまで行けるんじゃないかと思いました。
アンコールでは「ある証明」と「YOUR SONG」を
やってくれて、ダブルアンコールでは
「.廻る、巡る、その核へ」をやってくれました。
これを始める前に
「ほんとうはアンコールの練習なんてやっちゃだめなんだろうけど、
しっかりやって準備もしてきました。これをラストにやらせてください。」
と素敵な映像といっしょに演奏が始まりました。
この曲は私が「はっ」と思った大木氏との出会いの曲でした。
とても深い意味のある曲だと感じたし、彼らにとっても
とても大事な重要な曲であるというのを改めて感じました。
映像もある意味怖いメッセージがあるのですが、最後の
最後に希望の光が見えるというのか、そこにカタルシスを
感じました。
人間の輪廻転生というのでしょうか、人は生まれて死んでまた生まれ変わるという。
大木さんはとなりの人は自分だと思えというようなインカの言葉を説明されてました。
もともと人類はひとつのところから派生してできたのだから、もとは同じなんだと
だから隣の人も自分と同じなんだとそう思えば、争いもなくなるだろう。
そして、やがてみんなはまたひとつになっていく。というような話をされました。
そういえば、細美さんも同じような事を言ってたなと思い出しました。
みんなは同じ惑星の砂かなんかから生まれたんだからみんな実は繋がっているみたいなこと。
ずっと前に日記に書いた気もしますが。
細美さんの愛読書が「アルケミスト」なのできっと大木さんの世界観と
細美さんの世界観はどこか重なる部分があるのかなと思います。
そして、そういう世界観が私も大好きなのでしょうね。
こうして武道館に全国あるいは世界中(確かに外国人の方も結構見かけました。)
から集まって、ある意味武道館でこの日ひとつになったわけです。
ありとあらゆる年齢や職業やジェンダーや国境を超えて。
私が武道館が海底に感じたのはまんざら空想だけではないのかもしれません。
遠い記憶というのか。
だって、人類が生物として最初は海の中に誕生し、魚とかになってから地上にあがって
きたとどこかの話で聞いたことがあるからです。
みんな海底にいたときの細胞の記憶を辿って、武道館に来たのです。
そんな気がしました。
私はACIDMANとしっかり向き合って大好きになったのが
去年。そして今年彼らは独立してFREE STARという事務所を
立ち上げました。
このような過渡期に彼らと出会ったのは何か意味があるのかなと
ふと思いました。
そして、武道館まで私を連れて行ってくれたACIDMANの歌には
きっと何かがあるんだとこれからその謎解きをしていこうと
思います。
そうすれば、ACIDMANのことがわかる以上に
自分自身のことがわかるのかもしれません。
過去の曲もまだまだ聞いてない曲もあるので、それを聞きつつ
これからの歌にも期待して、ACIDMANと出会った意味を
考えて行きたいなと思いました。
って音楽って考えるもんじゃなくて
感じるものだけど。
本能が欲するものだけど。
それでも出会った訳を知りたいのです。
「白光」の時に
死ぬ瞬間まで息ができている幸せを感じていたいと
大木さんは言ってたけれど、
その言葉を絶対に忘れません。
そして、その言葉を言った時の
彼の息づかいはまるで水面に落ちた一しずくの
水音みたいでした。静かに武道館に
それは響きました。みんなのところに響きました。
ACIDMANの歌によってとにかくありとあらゆる存在が
愛おしく感じられる今。道ばたの名も無い石ころすら愛おしい。
(セットリスト)
1.gen to ( intro)
2.SUSY
3.NO.6
4.swayed
5.君の正体
6.ラストコード
7.Further ~夜になる前に~
8.スロウレイン
9.Can't Help Falling In Love
10.ALMA
11.風追い人 (前編)
12.風追い人(後編)
13.アルケミスト
14.FREE STAR
15.to live
16.カタストロフ
17.新世界
18.白光
(EN 1)
19.ある証明
20.Your Song
(EN 2)
21.廻る、巡る、その核へ
追記)ツアー中グッズ販売に登場してきたイチゴさんですが
さすがに武道館は無理だろうって大木さんが言ったら、やる!って
ことで大木さんたちが言ってた激似のイチゴさんのお父さんではなく
イチゴさんご本人が終演後の物販にいらっしゃいました。
そして、握手してもらいました。
まさにこれが一期一会(イチゴ一会)ですね!
私はここをおそらくご覧の方より結構年上で
たぶん長く人生を生きているわけですが、
そんな私が東京でライブを見るというのは人生初であります。
その上、あこがれていたロックの聖地”武道館”で
ロックのライブを見ることができたのです!
我が人生のロック記念日がまたひとつ増えました。
2013年7月26日は私にとって忘れ得ぬ大事な一日と
なりました。
そのライブをしてくれたバンド
それがACIDMAN!
私は以前にも書きましたが、彼らの事はずっと前、
おそらくデビュー当時から知っています。
が、本当に好きになり、正面を向いて
まっすぐ好きになったのはなんと去年からなのです。
その前から少しずつ、近づいてきている感は
あったもののまだそこまで達してなかったのですが
佐野元春氏の「the song writers」を偶然見て
そこで大木氏の世界観を知り、音楽を聴き、
すぐにアルバムを買い、聞くや否や
すべてが準備してたよ!っていうぐらいに
体内のすべてのカプセルが蓋を開けたかのように
私にACIDMANの音を流し始めました。
そのあとに偶然にもRADIO CRAZYに出ると知り
それが初ライブでした。
生で音と歌を聴き、さらに「確信」と変わりました。
このバンドは私にとっての一生もののバンドだ。
そして新しく出たアルバム「新世界」
にも入っている「アルケミスト」は
小説からインスピレーションを得て作られた曲ということですが
この小説も私が大事に読んできてた小説で
それを歌にしてくれたことにも
ほんと出会う準備ができていたとしか思えませんでした。
でも、出会うまでにこんなに時間のかかったバンドも
なかった気がします。
ずっと名前もそしていくつかの楽曲も聞いているというのに
どうして今まで行き着かなかったのか不思議でなりません。
これが音楽の旅というのでしょうか?
まるで「アルケミスト」の主人公の少年のように
音楽という宝物を探す旅に知らぬ間に出ていたのでしょうか?
そして、半年ぐらい前からチケットを予約して
大阪のZEPP NAMBA(この感想もまた書きます)に
15日に行ってきたのですが、本当はそれで
終わる予定でした。
ところが運命が「GO TO BUDOUKAN!」
と突如私を連れて行ってくれたのです。
チケットはほんとギリギリ取ったので
座席は良くないとは思っていましたが
ライブが始まると、どこの場所がいいとか悪いとか
そんなのもまったく取るに足らないことのように
思えるぐらいの全身がACIDMANの音楽になって
まるで液体になって透明になってしまったかのような
時間を体験することができました。
私はスタンド席のかなり上の方でしたが
ダイヤモンドの中をくり抜いたらこんな
空間になるだろうなっていうような
形の場所なのでステージの3人は小さく見えても
遠いっていう感じはしませんでした。
最初は白い幕があって、
会場が暗くなってから
そこに波紋の映像が映し出されて
その後ろではgen toがスタートしました。
その映像と音楽の融合から始まったこのライブ。
大阪ではなかったので、まったく別ものの
ライブを見に来た気がしました。
そしてやがて幕があがり、彼ら3人が
演奏している姿がそこにありました。
とっても広いステージの中心に上から見ると
そこに3人のアンプやらエフェクターセットやら
ドラムセットやらがきっちりと四角形を描くように
配置されていて、上から見るとなんていうのか
広い床に一枚の絵が置かれているような感じがしました。
下地は黒。ほんと驚くほどの黒。
その上で自分の位置をさほど乱さず演奏する3人。
そしてライトがその黒地のキャンバスに絵をいろいろ
描いて行く感じがしました。
私はSUSYという曲が大好きなのですが
この曲で始まるというのがまたほんと最初から
気持ちが高揚してしまって、もうそのまま最後まで
いってしまう感じがしました。
ひとつひとつの感想を書いてしまうと
きっとひとつの短編小説になってしまうぐらいの
思いが溢れてしまうので、ある程度にしておきますが、
MCはイチゴさんがいつものように駄洒落をまじえつつ
お話されましたが、
ライブどうですか~からのライ武道館どうですか~という
流れ~彼ならではのですね(笑)
イチゴさんがMCをサトマさんにふって
サトマさんがおもしろいことを言わなかったとか
同い年なのに上から目線だとかといって
そこから言い合い(愛ある)を始めると
「けんかをやめて~ふたりをとめて~」と
歌う大木さんそしてメンバーもハモって終わるという流れが
なぜかありました。
見た目はイチゴさんが怖そうで
サトマさんが優しそうで
大木さんはクールな感じなのに
このMCの3人を見るとみんな
見た目の期待を見事裏切っているところが
楽しいですよね。
唯一カバー曲である「Can't Help Falling in Love」
は元はプレスリーの曲で、もちろん彼の現役時代は
知らないわけですが、父がウクレレをやっていたせいか
プレスリーの出ていた「ブルーハワイ」という映画がことの他好きで
それを何回もまだ幼少の頃見せられていて記憶にかなり残っていたし、
さらにUB40とかがカバーしてて何度となくこの曲を聞いたし、
しかも、自分が初めてアコギを手にして練習した曲がこれなんです。
だから、世にある数あるオールドソングからこれをACIDMANが選んでくれたのは
ほんとうれしいし、なんか遠い昔からこれで繋がっていたのかもと思ったりします。
そして、ACIDMANの曲の中でもこの曲はやっぱり大切な曲なのが
「ALMA」これをサトマさんが最初はベースではなく、鉄琴で演奏されました。
これは大阪でも驚いたのですが、また違った「ALAM」の響きがありました。
今さらなのですが、このバンドの独特のカラーというか音の色はなぜなのか?
最初はわかりませんでした。でも、彼らのファンになってからDVDとかの
ライブ映像とかを見ていたら、その色を醸し出しているのが実はこのサトマさんの
ベースなのだとわかりました。ほんと驚いたのはベースでメロディラインを演奏している
という事です。だいたい今までは6弦ギターの方がメロディラインを弾くものと
思い込んでいました。でも、ここでは大木さんももちろんですが、時として
サトマさんが弾くのです。それがすごくACIDMANだけの色を描ける理由だと
知りました。
今回は最初は鉄琴で2番目からはベースで弾かれましたが、どちらも
ほんと唯一無二の音の絵だと感じました。
そして、毎回ですがこの歌を聞いて全身がその空間で透明になって
空気になっていくようでした。涙もシャボン玉のように飛んで行きそうでした。
体がもしかして武道館からALAM展望台に飛んでるんじゃないかと思うぐらいでした。
この曲のあとに
坂本龍一さんに演奏してもらった曲ということで
「風追い人」についての大木さんのお話がありました。
まず、坂本さんは今日は来てないけどね。と前置きして。
このライブの前、ちょっと期待はしましたが
ステージを上からみていて、どこ見てもキーボードの用意が無かったので
来られないんだと思ってましたが、それはそれでもしかしてよかったのかなと。
ファイナルこそ3人だけでやっぱりやってほしいというのがありました。
風追い人というのはこの世界の風と色を集めて旅する人で
死んでしまった人の灰を風と色に混ぜて飛ばすという人ということで
大木さんは自分はすべてのものにはいつか終わりがきて、
みんな死んで行くんだというふうにいつも歌にも書いていると。
そんな風に終わりばかりを書いているのはきっとACIDMANぐらいだろうけど
終わりがみんな平等に来るんだから、戦争とか殺し合いとかしなくても
みんなに死が訪れるんだから、今を瞬間をしっかり生きようと思って
みんなが大事に生きて行けば、そういう戦争とかもなくなるんじゃないかと
いうような話をされました。
この死者の灰に風と色をまぜて飛ばす事で
新しい生命が穏やかに生きて行ける世の中を作ることを
願っているというような話もされました。
私が要約して書いているのでそのとおりではないですが
大木さんは東北大震災などの事も思って、そして
いろいろな出来事で亡くなっていった人の事を思って
そこで残された人たちや今生きている自分たちが
どれだけ奇跡の中にいて、それがどれだけ幸せなことなのかを
お金とかそういうものも大事ではあるけれども
それ以上に大事なことがこの世界にはあることを感じて欲しいと
いつも願って歌を作っているんだということが痛いほどわかりました。
彼がマイクを通して、息づかいも聴こえるほどに
丁寧に魂を込めて、話す言葉が
ステージの黒いキャンバスから武道館全体に放たれる時、
一文字一文字がひとりひとりの心に飛んでくように感じました。
彼のことをいろいろ思う人がいても、この時の彼の言葉には嘘はないと
みんなは感じるだろうと思いました。
未来も大事だけれど、谷川俊太郎さんの詩にある
「明日は今日になってこそ
生きることができる」
という言葉が大木さんの言葉からも強く感じました。
未来は今日をしっかり生きなくちゃ死んじゃうんだってこと
未来は今日の自分から生まれるんだってこと
そんなことを感じました。
「風追い人」ではMVが前編で流れていたのですが
後ろも見ずに映像と音をしっかり重ねて行くのが
ほんとすごいなと思いました。
演奏のテンポとか少しでも間違うとへんな感じになるのに
少しもずれることなく、ライブ演奏と映像の一体感が素晴しかったです。
今回後ろの映像もMVを交えつつ、この日のために作ったのか
(私はすべてを知らないので)いろいろな映像が素晴しかったです。
さらにライティングがとても美しかったのです。
ふだんはアリーナとかそういうところで
他のバンドでも見る人間なのであまりスタンド席から見る事は
ないのですが、今回はスタンド席でよかったと思いました。
光のショーも同時に見れる感じがしました。
ステージから客席に客席からステージに差し込む光だったり
光線だったり、どれもが美しく会場を包み込みました。
彼らの映像には水というか波というかがよく登場します。
それも関係するのかもしれませんが、その音楽と映像と
ライティングにより、なんだか自分が海の底にいるような
感覚になりました。深海でライブを見ているというのか。
実際は濡れてないけれど、音楽で濡れているというのか
魚たちは実際は泳いでないけれど、ブクブクというような
感覚がそこにあるというか、海の植物ではないけれど
人がみんな揺れているというか。
とにかく、泳ぎたくなる感じがしました。
ふわふわと武道館の中を泳げるんじゃないかと思える感じがしました。
みんなが泳いでステージまで行けるんじゃないかと思いました。
アンコールでは「ある証明」と「YOUR SONG」を
やってくれて、ダブルアンコールでは
「.廻る、巡る、その核へ」をやってくれました。
これを始める前に
「ほんとうはアンコールの練習なんてやっちゃだめなんだろうけど、
しっかりやって準備もしてきました。これをラストにやらせてください。」
と素敵な映像といっしょに演奏が始まりました。
この曲は私が「はっ」と思った大木氏との出会いの曲でした。
とても深い意味のある曲だと感じたし、彼らにとっても
とても大事な重要な曲であるというのを改めて感じました。
映像もある意味怖いメッセージがあるのですが、最後の
最後に希望の光が見えるというのか、そこにカタルシスを
感じました。
人間の輪廻転生というのでしょうか、人は生まれて死んでまた生まれ変わるという。
大木さんはとなりの人は自分だと思えというようなインカの言葉を説明されてました。
もともと人類はひとつのところから派生してできたのだから、もとは同じなんだと
だから隣の人も自分と同じなんだとそう思えば、争いもなくなるだろう。
そして、やがてみんなはまたひとつになっていく。というような話をされました。
そういえば、細美さんも同じような事を言ってたなと思い出しました。
みんなは同じ惑星の砂かなんかから生まれたんだからみんな実は繋がっているみたいなこと。
ずっと前に日記に書いた気もしますが。
細美さんの愛読書が「アルケミスト」なのできっと大木さんの世界観と
細美さんの世界観はどこか重なる部分があるのかなと思います。
そして、そういう世界観が私も大好きなのでしょうね。
こうして武道館に全国あるいは世界中(確かに外国人の方も結構見かけました。)
から集まって、ある意味武道館でこの日ひとつになったわけです。
ありとあらゆる年齢や職業やジェンダーや国境を超えて。
私が武道館が海底に感じたのはまんざら空想だけではないのかもしれません。
遠い記憶というのか。
だって、人類が生物として最初は海の中に誕生し、魚とかになってから地上にあがって
きたとどこかの話で聞いたことがあるからです。
みんな海底にいたときの細胞の記憶を辿って、武道館に来たのです。
そんな気がしました。
私はACIDMANとしっかり向き合って大好きになったのが
去年。そして今年彼らは独立してFREE STARという事務所を
立ち上げました。
このような過渡期に彼らと出会ったのは何か意味があるのかなと
ふと思いました。
そして、武道館まで私を連れて行ってくれたACIDMANの歌には
きっと何かがあるんだとこれからその謎解きをしていこうと
思います。
そうすれば、ACIDMANのことがわかる以上に
自分自身のことがわかるのかもしれません。
過去の曲もまだまだ聞いてない曲もあるので、それを聞きつつ
これからの歌にも期待して、ACIDMANと出会った意味を
考えて行きたいなと思いました。
って音楽って考えるもんじゃなくて
感じるものだけど。
本能が欲するものだけど。
それでも出会った訳を知りたいのです。
「白光」の時に
死ぬ瞬間まで息ができている幸せを感じていたいと
大木さんは言ってたけれど、
その言葉を絶対に忘れません。
そして、その言葉を言った時の
彼の息づかいはまるで水面に落ちた一しずくの
水音みたいでした。静かに武道館に
それは響きました。みんなのところに響きました。
ACIDMANの歌によってとにかくありとあらゆる存在が
愛おしく感じられる今。道ばたの名も無い石ころすら愛おしい。
(セットリスト)
1.gen to ( intro)
2.SUSY
3.NO.6
4.swayed
5.君の正体
6.ラストコード
7.Further ~夜になる前に~
8.スロウレイン
9.Can't Help Falling In Love
10.ALMA
11.風追い人 (前編)
12.風追い人(後編)
13.アルケミスト
14.FREE STAR
15.to live
16.カタストロフ
17.新世界
18.白光
(EN 1)
19.ある証明
20.Your Song
(EN 2)
21.廻る、巡る、その核へ
追記)ツアー中グッズ販売に登場してきたイチゴさんですが
さすがに武道館は無理だろうって大木さんが言ったら、やる!って
ことで大木さんたちが言ってた激似のイチゴさんのお父さんではなく
イチゴさんご本人が終演後の物販にいらっしゃいました。
そして、握手してもらいました。
まさにこれが一期一会(イチゴ一会)ですね!