「薄暮」「たそがれ」そんな意味・・・トワイライト
そんなタイトルがついたミニアルバム『TWILIGHT』をつい最近手にすることができた。
これは千葉出身のインディーズバンドABSTRACT MASHというバンドの最新作。
このバンドとの出会いは2005年11月。4年ぐらい前かと思ったら、2年半ぐらい前に出会っていたバンドだったんだね。自分のここの日記を見直してその日の日記を見たら2005年11月5日ってあったから。
そのときに書いたんだけど、京都MOJOというライブハウスに会社帰りに飛び込んで、重たい扉を開けて中に入ったとたん突然私を強く包み込んだ音楽・・・それを演奏していたのがABSTRACT MASHだった。体が動かなかった。その音楽に魔法をかけられたように。
でも、それがなんとラストの曲だった。
すごく残念で、その魔法が忘れそうにないやって思いながら、仕方が無いからCDだけ買わせてもらった。
その日に日記にも書いてるように、ドラムの榊巻さんからそのCDを買ったんだけど、お話したのはほんの数分で、出身が千葉だというのが印象に残っていた。千葉といえば・・・そうELLEGARDENにバンプと大好きなバンドの出身地・・・・・ついでながら、私が生まれて初めてマンガというものを買ったのも千葉の柏というところ。マンガを描くのが好きになった地でもあるということだ。当時は千葉寄りの東京に住んでいたしね。ってこんなの関係ないね(笑)
話を戻すと、その買った5曲入りのCDはどの曲もすごくよくて、何度聴いたことかわからない。もちろん今でも私のi-Podのアーティストの一番目に入っているABSTRACT MASHって。そうABで始めるなんてよく考えてる(笑)この前をいくにはAっていう名のバンドかAAAとかそんな名前しかだめだものね。
ライブに行きたいな~って思いつつも、関西でのライブはなかなかなくて、そしてボーカルの村松さんの喉の手術でバンド活動がしばらく休止になってしまって、チャンスはだんだん遠のいていった。
そのうち日々の忙しさや新しい音楽との出会いなんかで、「あ~あの一回だけのライブで終わっちゃうんだろうな~聴くのは」って思うようになっていた。
でも、音の記憶は体の中に無意識に刻まれるんだね。とっても不思議なことが起こった。それはごく最近、2月のこと。急にある日思いついて、どうしているのかな~って思い、いろいろ探してたら榊巻さんと繋がった。しかも彼の誕生日に。そして、そのすぐあとに京都でライブがあることを教えてもらった。
ふつうなら行けそうにない今の私の仕事状態なのに、この日だけはうまくなぜかライブへいけるように事が進んだ。
結構ぎりぎりではあったんだけど、久しぶりの京都MOJOに心が躍った。
ここでもいろんなバンドと出会ったな~って。京都地元の山口さんは何度見ただろう?また彼の音に身を委ねたいな~。大阪からはフォギーメランコリックとブライパス。フォギーはもうすぐBIG CATで3マンライブをするんだよね。それも私の好きなバンドNAMIDA COAT(Sweep)と。ここMOJOでは他に埼玉からはRIDDLE,そしてNORTHERN19も見たし、私の大事なバンドのひとつAUDIO RULEZもここで見た。
いろんなことを思い出しつつ、2年半ぶり(そのときは4年ぶりって思い込んでたけど)のアブストのライブを見れるというのがすごくうれしかった。ただ、かなりハードに仕事してきたし、次の日もあるだけに果たしてこうして来てよかったものかとも思った。実はかなり迷ったんだ。仕事が仕事だけに。
私がついたとき、演奏していたのは1000SAYという女性ボーカルと男性ボーカルのツインボーカルのバンド。すごく透明感があって、イメージしたのはシガーロスだった。女性ボーカルでこういう雰囲気いいな~って思った。
そのバンドが終わって、いよいよ待ち続けたライブ。アブストのライブが始まった。全部初めて聴く曲だったので、セットリストは覚えてないけれど、新しいCDに入っていた曲をやってくれたと思う。
最初の一瞬から、水にたとえるなら最初の一滴から、このバンドの音はからだに自然にまっすぐ入って浸みわたるそんな気がした。
曲が展開していく中で、「あ~来て本当によかった」って心から思った。
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どういうジャンルかを説明するのは難しいけれど、メロディアスギターロックバンドということになるのかな~。ヘビメタやパンクではないです。
アルバムに入っている「1mmタール」という曲があるのですが、それはすごく印象に残ってます。ステージのボーカルギターの村松さんの動きとかベースの梨本さんとか、リードギターの小林さんとか、そしてドラムの榊巻さんとかの動きがすごく一体感があって、しかもそれぞれがすご~く個性的で、その動きがなんとも言葉では説明できない空気感をはじき出しているんです。それが私自身は好きだな~ってステージ見ながら思うわけです。
ある意味この曲は私のイメージするアブストの色の強い曲なんでしょうね。
特に「決められない未来と浅い思慮・・・」というあたりが、まさにそれなんです。きっとこの部分でふつうなら拳をあげてしまうでしょう。ちょっと今回のMOJOではできませんでしたが・・・私。
ボーカルの村松さんの書く歌詞というのはすごく独創的です。日本語と英語が交互に繋がっていきます。しかもまるで手と手を繋ぐようになんの違和感もなく、自然に。どこまで日本語でどこまで英語かなんてわからないぐらいに。そんなの気にする必要もないぐらいに。しかも日本語も彼にしか書けないし、選べない日本語を繋げているし。彼の言葉の倉庫の中を拝見したいぐらいです。
ライブが終わってCDを買いにいこうと思うとたくさんの人が「CD下さい」ってアブストの物販に集まってきました。あっと言う間にCDが少なくなっていきました。久しぶりの京都ということで、彼らのことを知っている人はそんなにいなかったでしょう。だからこそ、どれだけ彼らのステージがよかったかがこのCDを買った人たちの笑顔からわかります。
「いい音楽に出会えた」
皆そう感じたんでしょうね。
音楽って不思議です。メンバーさんたちとはほぼ初対面だったのに、音楽の話ですぐにふつうにお話できるようになりました。
音楽っていうのは人と人との垣根をあっという間に外してくれるんですね。
メンバーの方はオアシスが好きだと話されていましたが、私の中ではアブストのサウンドはどちらかというとアイリッシュロック、そうU2と同じ空気感を感じます。それも初期の頃のU2。若さと闘争心と微熱と哀愁と愛情。色でいうなら深い緑と真紅とブラックブラウンの感じるサウンド。
ライブを見ていても、CDを聴いていても、アイルランドの風みたいなのを感じます・・・ってアイルランドは行ったことないですが(笑)とりあえず、イギリスにはいたので、スコットランドやイングランドで暮らす中で感じたアイルランドの人や文化の香りというのでしょうか、その空気感が心に甘酸っぱく入ってきます。
もともとアイルランド系のミュージシャンが好きなせいもあるでしょうが、ASHとかU2とか。ときどきギターのイントロにはギャラガー兄さんを彷彿するものもありますが。
あとふとジミーイートワールドも思い出しました。まあ、これらは私の勝手な感じ方なので、他の方たちが聴いてそう感じるかはわかりません。
「Livily play」という曲には特にアイルランドの空気を感じました。
なんかどういう風に彼らの良さを伝えたらいいのかわからないのですが、4人の演奏力やボーカルにコーラス、そしてビート感がとってもバランスがよくて、一体感のあるバンドなんです。あまり比較できるバンドがいないので、またチャンスがあればここをご覧の方もライブに行ってみてください。
それにしても遠く千葉のバンドと2年半をかけて、よく繋がることができたものです。
音楽の神様に感謝です。