FoZZtoneの2枚組のフルアルバム「INNER KINGDOM」が発売されてからもうだいぶ経ちました。
REC OK! TOURも終わり、MVの賞の発表も終わり、いよいよこのアルバムタイトルを掲げるツアーが始まりました。
このアルバムについて書こうと思うとどこから書いていいのかほんと困る程
切り口が豊富なのです。
聴く人によっていろんな角度から楽しめるアルバムということです。
で、今日は私はとある角度から書いてみようと思います。
このアルバムはコンセプトアルバムになっていて
DISC physicalとDISC mentalとに分かれています。
DISC mentalの方は「Pageant: Keller Water」という表題もついているわけですが、
今回のINNER KINGDOM Tourのファイナルのあとにスピンオフ的というのか
別枠で前のアルバム「NEW WORLD」の時に「白鯨」を掲げた特別なライブを
東京キネマ倶楽部でやったように、この「Pageant: Keller Water」という特別な
ショーというのかライブをやることが決まっています。
ものすごく行きたいけれど、地方でしかも仕事がフルタイムでしかも
いつも残業がない日はない仕事だと難しいのです。
DVDを出してくれることをまた切に願います。
さて、このmentalの方を聴いたときに最初に思い浮かべたのが
イギリスのロックバンドのyesです。
60年代の終わりにデビューした、いわゆるプログレッシブロックという
ジャンルに分けられたロックバンドです。
このプログレに分類される他のバンドにはキングクリムゾンやELP、
ジェネシス、そしてピンクフロイドなどがあります。
どこか、クラシックな要素をとりいれて、キーボード奏者が
ヒーロー然として存在感を示すバンドが多いです。
このyesの影響をあのクイーンも受けているし、
ポップな分野ではビージーズも受けているし、
アメリカではマイケル・ジャクソンのいたジャクソン5のサウンドなどにも
その片鱗がうかがえて、とても興味深いです。
yesにはもちろんいろいろなアルバムがあるのですが、
その中でも初期の名作といわれた「Close To The Edge」(邦題は「危機」)
にはそういうのちのちに与えるサウンドが満載です。
そんな中で、今回このINNER KINGDOMを聴いていて、あるいは
以前のNEW WORLDにおいても私はFoZZtoneにもこのyesの遺伝子を
感じることができました。
彼らが直にyesを聴いてるかはわかりませんが、yesに影響を受けた
ミュージシャンたちの音楽は必ず聴いていると思うし、その遺伝子が
こうして年代を超えて脈々と受け継がれていっているのが
ほんとすごいし、感動します。
実はThe HIATUSにもこの影響が見えるのですよ。
まるで「ジョジョの奇妙な冒険」のジョースターの血が
受け継がれていくようなほんと時代と国境を超える感を
感じてしまいます。
とにかく、まずはFoZZtoneのファンには
このyesの「Close To The Edge」のアルバムを聴いて欲しいです。
この名盤を聴かずして、フォズの奥行きの深さを知ることができないのじゃないかと
思うわけです。
さて、トータル的なイメージはyesでしたが、
Disc mental の個々のチャプターについて感じたことを書いてみようと思います。
第一部 prologue
一幕 prologue
まるでオーケストラの管弦楽のようなギターの調べで始まる序章
どこかイギリスの中世の音楽のようにシェークスピアも連れて来そうな感じ。
庶民がたき火を囲んで輪になってダンスをしている絵が浮かぶ。
二幕 Discommunication Breakdown
prologueからここに繋がっていく部分がまさにプログレ的。
ここで演奏されるギターの音がほんと素敵すぎる。
ストーリー的にはコミュニケーションがうまくできない主人公の登場というのかな。
どこかやはりイギリスのロックバンド、the Whoの描く世界を思い出した。
三幕 Keller Water
オーダーメイドアルバムにもセレクト曲として入っていたこの曲に
私は以前、イメージ的には村上春樹の「海辺のカフカ」のカフカ少年を
重ねたと書いたけれど、このストーリーにおいてのケラー少年について
の紹介になるのかな。このケラー少年というのは「海辺のカフカ」でいうなら
あのカラス的存在で、主人公が自分を照らし合わせる存在というのか。
愛のように注ぐ雨よ
I know your need
というフレーズ
渡會氏はほんとうに日本語の音を英語の音と置き換えるのが上手な人だと思う。
日本と英語の境目をとってしまうんだよね。
また、今回のアルバムの中にはあちこちに「ニーチェ」が潜んでいるようにも
感じる。ニーチェの言葉に「愛は雨のように降る」というのがあるんだけれど
まさにこのフレーズにそれが反映されている。このアルバムのDISC physicalの
方に入っている「GENERATeR」の歌詞には「ニーチェ笑ってる」って
入っているし、「LOVE」にも「愛は雨のように注いでいる」っていう
フレーズが入っている。もしかしたら、これらの曲を書く以前に渡會氏は
ニーチェの本を読んでいたのかもしれないね。ニーチェっていう人の言葉は
心がすごく痛い時や辛い時にはジワジワと入って来て、痛みをやわらげて
通り過ぎていくんだ。あるいは何か壁にぶつかっている時にもね。
第二部
一幕 Crocodile bird reaction
Crocodile birdはワニチドリというアフリカとかでワニについている寄生虫を食べて生きている鳥のこと。
この歌がどうして生まれたのか?もちろん私はそういう解説とかを読んでいないのでわからないけれど
歌詞から感じたのは「どこまで信頼し続けられるか?」ということなのかなと。
ワニの口の中やその近くに止まって寄生虫を食べるワニチドリはもしかしてワニに食べられるかもしれない。
でも、ワニチドリたちは信じてるんだ。ワニは自分たちを食べないと。それって永遠にそうなのか?
もし、ワニが飢えて飢えて耐えられなくなったらワニチドリを食べてしまうんじゃないか?
「信じる」ということはどういうことなのか?そういう問いかけを感じる歌だ。
今の自分の周辺においてどれだけ本当に信じていいのか?って
音楽に対してもバンドに対してもファンに対してもこれは問いかける価値があると思ってる。
メロディに関しては最初はアイリッシュっぽいけれど、すぐにアフリカっぽくなる。
ドラミングがすごくその空気感を出していて、砂埃やらうっそうとした木々やらが
見えて来る。太古の調べというようなドラムではなく太鼓的な振動が心に響く。
二幕 -Planaria fever-
プラナリアっていうのは虫なんだろうけれど、寄生虫なのかな?
ということはそのワニチドリに食べられる虫の立場からの歌なのかな?
その寄生虫はワニについて生きている。でもワニは決して自分を守ってくれない。
そこにワニチドリが来て自分たちを食べていく。まるで一夜限りの恋人達を
そこに重ねているのだろうか?ほんの少しだけのスキンシップ。
でも、それはすぐに終わっちゃうんだね。
って、あくまで私の主観的な解釈なので本筋は違うと思う。
夜の空気をすごく感じられるし、ベースがすごく響いて来る。
三幕 El Condor Pasa
このタイトルを聴いた時点でサイモン&ガーファンクルの「コンドルは飛んで行く」を思い浮かべた人はいっぱいいるのかな?
まったく、サウンド的には違うけれど、どうしてこのタイトルを持ってきたのか?
この歌はもともとアンデスの民謡でそれをサイモン&ガーファンクルがカバーして有名にしたんだけれど、
それからさらにインスピレーションをもらってフォズはこの曲を作ったのかな?
コンドルっていう鳥は生きている動物ではなくて、すでに死んでいる動物しか食べない。
だから、死体がなければ飢えていくんだね。この歌ではそのようなことを歌ってはいないのだろうけれど
どんなに飢えようが、自分の生き方を変えないんだという意思のようなものを感じる歌だ。
そして、一方で「父よ、あなたになりたい。」というフレーズに
渡會さんのお父様に対するリスペクトを感じた。きっとお父様はひとつのポリシーを曲げずに
生きて来られた方なのだろう。
メロディはとても明るい感じで前向きなイメージだ。
四幕 your song for new morning
また、アイリッシュ的なサウンドがそこに散りばめられていて
灰色の風景に光が少しずつ射して来る感じがした。
第四部
一幕 africandiablolo
思うにフォズに武並さんがいなければこのアルバムはできなかったんじゃないかと
感じるほど武並さんのドラムの表現力の豊かさに感動するし、この演奏が終わったあとには
スタンディングオベーションをしたくなるだろうなと思う。
まさにそこにアフリカがあって、人間のルーツがあって、感情があって。
彼はそしてところどころに「LOVE」のドラミングも入れる。あえてだろうけれど
そこがまた好きだ。
二幕 Africa
広大なアフリカが広がっていくような始まり。
そして、その感情が溢れていく様が見える感じがした。
たとえば、そこに渡會さんが立っていたら、その目の前にパノラマ状に
一点から扇状に大陸が広がっていくようだ。遠い向こうに太陽があって
その向こうに祖先のずっと祖先の母なるアフリカの母が立っているそんなイメージだ。
ミトコンドリア・イブというのがDISC physicalの「MOTHER ROCK」に出て来るけれど
Wikipediaによれば
「現生人類の最も近い共通女系祖先(the matrilineal most recent common ancestor)に対し名付けられた愛称。
約16±4万年前にアフリカに生存していたと推定され、アフリカ単一起源説を支持する有力な証拠の一つである。」
ということで、母なる遺伝子が今に至るまで世界中で脈々と受け継がれているということになるらしい。
この歌に感じられるのはやはり母という存在。すべての人類に共通なのは皆母から生まれて来たということ。
DISC physicalも含めてこのアルバム「INNER KINGDOM」というアルバムにおいてこの「内なる王国」
というのは実は「母の胎内」なのかなとも思ったりする。皆この世に生を得て、まだ人間らしい形に
なっていなくてもその心臓を動かし始めた時、初めて存在した場所が母の胎内である。そしてそこでは
それぞれがすべてを支配していたのだ。小さな王国がそこにあったのだ。
その王国を母は大事に守ってくれていた。やがて王国から出て、様々な困難にぶつかろうとも
最初は皆しっかりと自分の王国をもっていたことを忘れてはいけないんだよね。
人がひとりこの世に生まれていくというのはそれだけ大きなことであって、
価値のない人は誰もいないんだ。
母はいつも願っている。「平和な人生を送ってほしい。」と
母から子へ子からまたその子へ受け継がれていくこと。
それはもしかしたら
Beautiful sunsetを見ることなのかもしれない。
美しい同じ太陽を何代も何代も見続けていくこと。
それだけは永遠に変わらない。地球が滅びない限り。
加えて、メロディラインのところでふとR.E.M.の遺伝子も感じた。フォズの音楽にはいろんな音楽の遺伝子が流れているのが
音楽バカな私のような人間にはほんとうにうれしいというか、いいサウンドや音楽が消えてしまわないでこうして
受け継がれて生きていくということがうれしいんだ。
三幕 epilogue
とても清々しいサウンドで夕暮れのアフリカの風を浴びているような気がしてしまう。
もちろん行ったことがないので想像の域を出ないけれど。
そして、そこに愛の雨が降るんだね。
アフリカの雨は慈愛の雨なんだ。
というような感じでDisc mentalだけでこれだけ書いてしまったので
Disc physicalはまたあらためて書こうかなと思う。
ここまで長々と書いたのを読んで下さった方
どうもありがとうございます。
まだまだいろいろ切り口はあると思うけれど
ほんとうに素晴らしいアルバムだと私は思っています。
REC OK! TOURも終わり、MVの賞の発表も終わり、いよいよこのアルバムタイトルを掲げるツアーが始まりました。
このアルバムについて書こうと思うとどこから書いていいのかほんと困る程
切り口が豊富なのです。
聴く人によっていろんな角度から楽しめるアルバムということです。
で、今日は私はとある角度から書いてみようと思います。
このアルバムはコンセプトアルバムになっていて
DISC physicalとDISC mentalとに分かれています。
DISC mentalの方は「Pageant: Keller Water」という表題もついているわけですが、
今回のINNER KINGDOM Tourのファイナルのあとにスピンオフ的というのか
別枠で前のアルバム「NEW WORLD」の時に「白鯨」を掲げた特別なライブを
東京キネマ倶楽部でやったように、この「Pageant: Keller Water」という特別な
ショーというのかライブをやることが決まっています。
ものすごく行きたいけれど、地方でしかも仕事がフルタイムでしかも
いつも残業がない日はない仕事だと難しいのです。
DVDを出してくれることをまた切に願います。
さて、このmentalの方を聴いたときに最初に思い浮かべたのが
イギリスのロックバンドのyesです。
60年代の終わりにデビューした、いわゆるプログレッシブロックという
ジャンルに分けられたロックバンドです。
このプログレに分類される他のバンドにはキングクリムゾンやELP、
ジェネシス、そしてピンクフロイドなどがあります。
どこか、クラシックな要素をとりいれて、キーボード奏者が
ヒーロー然として存在感を示すバンドが多いです。
このyesの影響をあのクイーンも受けているし、
ポップな分野ではビージーズも受けているし、
アメリカではマイケル・ジャクソンのいたジャクソン5のサウンドなどにも
その片鱗がうかがえて、とても興味深いです。
yesにはもちろんいろいろなアルバムがあるのですが、
その中でも初期の名作といわれた「Close To The Edge」(邦題は「危機」)
にはそういうのちのちに与えるサウンドが満載です。
そんな中で、今回このINNER KINGDOMを聴いていて、あるいは
以前のNEW WORLDにおいても私はFoZZtoneにもこのyesの遺伝子を
感じることができました。
彼らが直にyesを聴いてるかはわかりませんが、yesに影響を受けた
ミュージシャンたちの音楽は必ず聴いていると思うし、その遺伝子が
こうして年代を超えて脈々と受け継がれていっているのが
ほんとすごいし、感動します。
実はThe HIATUSにもこの影響が見えるのですよ。
まるで「ジョジョの奇妙な冒険」のジョースターの血が
受け継がれていくようなほんと時代と国境を超える感を
感じてしまいます。
とにかく、まずはFoZZtoneのファンには
このyesの「Close To The Edge」のアルバムを聴いて欲しいです。
この名盤を聴かずして、フォズの奥行きの深さを知ることができないのじゃないかと
思うわけです。
さて、トータル的なイメージはyesでしたが、
Disc mental の個々のチャプターについて感じたことを書いてみようと思います。
第一部 prologue
一幕 prologue
まるでオーケストラの管弦楽のようなギターの調べで始まる序章
どこかイギリスの中世の音楽のようにシェークスピアも連れて来そうな感じ。
庶民がたき火を囲んで輪になってダンスをしている絵が浮かぶ。
二幕 Discommunication Breakdown
prologueからここに繋がっていく部分がまさにプログレ的。
ここで演奏されるギターの音がほんと素敵すぎる。
ストーリー的にはコミュニケーションがうまくできない主人公の登場というのかな。
どこかやはりイギリスのロックバンド、the Whoの描く世界を思い出した。
三幕 Keller Water
オーダーメイドアルバムにもセレクト曲として入っていたこの曲に
私は以前、イメージ的には村上春樹の「海辺のカフカ」のカフカ少年を
重ねたと書いたけれど、このストーリーにおいてのケラー少年について
の紹介になるのかな。このケラー少年というのは「海辺のカフカ」でいうなら
あのカラス的存在で、主人公が自分を照らし合わせる存在というのか。
愛のように注ぐ雨よ
I know your need
というフレーズ
渡會氏はほんとうに日本語の音を英語の音と置き換えるのが上手な人だと思う。
日本と英語の境目をとってしまうんだよね。
また、今回のアルバムの中にはあちこちに「ニーチェ」が潜んでいるようにも
感じる。ニーチェの言葉に「愛は雨のように降る」というのがあるんだけれど
まさにこのフレーズにそれが反映されている。このアルバムのDISC physicalの
方に入っている「GENERATeR」の歌詞には「ニーチェ笑ってる」って
入っているし、「LOVE」にも「愛は雨のように注いでいる」っていう
フレーズが入っている。もしかしたら、これらの曲を書く以前に渡會氏は
ニーチェの本を読んでいたのかもしれないね。ニーチェっていう人の言葉は
心がすごく痛い時や辛い時にはジワジワと入って来て、痛みをやわらげて
通り過ぎていくんだ。あるいは何か壁にぶつかっている時にもね。
第二部
一幕 Crocodile bird reaction
Crocodile birdはワニチドリというアフリカとかでワニについている寄生虫を食べて生きている鳥のこと。
この歌がどうして生まれたのか?もちろん私はそういう解説とかを読んでいないのでわからないけれど
歌詞から感じたのは「どこまで信頼し続けられるか?」ということなのかなと。
ワニの口の中やその近くに止まって寄生虫を食べるワニチドリはもしかしてワニに食べられるかもしれない。
でも、ワニチドリたちは信じてるんだ。ワニは自分たちを食べないと。それって永遠にそうなのか?
もし、ワニが飢えて飢えて耐えられなくなったらワニチドリを食べてしまうんじゃないか?
「信じる」ということはどういうことなのか?そういう問いかけを感じる歌だ。
今の自分の周辺においてどれだけ本当に信じていいのか?って
音楽に対してもバンドに対してもファンに対してもこれは問いかける価値があると思ってる。
メロディに関しては最初はアイリッシュっぽいけれど、すぐにアフリカっぽくなる。
ドラミングがすごくその空気感を出していて、砂埃やらうっそうとした木々やらが
見えて来る。太古の調べというようなドラムではなく太鼓的な振動が心に響く。
二幕 -Planaria fever-
プラナリアっていうのは虫なんだろうけれど、寄生虫なのかな?
ということはそのワニチドリに食べられる虫の立場からの歌なのかな?
その寄生虫はワニについて生きている。でもワニは決して自分を守ってくれない。
そこにワニチドリが来て自分たちを食べていく。まるで一夜限りの恋人達を
そこに重ねているのだろうか?ほんの少しだけのスキンシップ。
でも、それはすぐに終わっちゃうんだね。
って、あくまで私の主観的な解釈なので本筋は違うと思う。
夜の空気をすごく感じられるし、ベースがすごく響いて来る。
三幕 El Condor Pasa
このタイトルを聴いた時点でサイモン&ガーファンクルの「コンドルは飛んで行く」を思い浮かべた人はいっぱいいるのかな?
まったく、サウンド的には違うけれど、どうしてこのタイトルを持ってきたのか?
この歌はもともとアンデスの民謡でそれをサイモン&ガーファンクルがカバーして有名にしたんだけれど、
それからさらにインスピレーションをもらってフォズはこの曲を作ったのかな?
コンドルっていう鳥は生きている動物ではなくて、すでに死んでいる動物しか食べない。
だから、死体がなければ飢えていくんだね。この歌ではそのようなことを歌ってはいないのだろうけれど
どんなに飢えようが、自分の生き方を変えないんだという意思のようなものを感じる歌だ。
そして、一方で「父よ、あなたになりたい。」というフレーズに
渡會さんのお父様に対するリスペクトを感じた。きっとお父様はひとつのポリシーを曲げずに
生きて来られた方なのだろう。
メロディはとても明るい感じで前向きなイメージだ。
四幕 your song for new morning
また、アイリッシュ的なサウンドがそこに散りばめられていて
灰色の風景に光が少しずつ射して来る感じがした。
第四部
一幕 africandiablolo
思うにフォズに武並さんがいなければこのアルバムはできなかったんじゃないかと
感じるほど武並さんのドラムの表現力の豊かさに感動するし、この演奏が終わったあとには
スタンディングオベーションをしたくなるだろうなと思う。
まさにそこにアフリカがあって、人間のルーツがあって、感情があって。
彼はそしてところどころに「LOVE」のドラミングも入れる。あえてだろうけれど
そこがまた好きだ。
二幕 Africa
広大なアフリカが広がっていくような始まり。
そして、その感情が溢れていく様が見える感じがした。
たとえば、そこに渡會さんが立っていたら、その目の前にパノラマ状に
一点から扇状に大陸が広がっていくようだ。遠い向こうに太陽があって
その向こうに祖先のずっと祖先の母なるアフリカの母が立っているそんなイメージだ。
ミトコンドリア・イブというのがDISC physicalの「MOTHER ROCK」に出て来るけれど
Wikipediaによれば
「現生人類の最も近い共通女系祖先(the matrilineal most recent common ancestor)に対し名付けられた愛称。
約16±4万年前にアフリカに生存していたと推定され、アフリカ単一起源説を支持する有力な証拠の一つである。」
ということで、母なる遺伝子が今に至るまで世界中で脈々と受け継がれているということになるらしい。
この歌に感じられるのはやはり母という存在。すべての人類に共通なのは皆母から生まれて来たということ。
DISC physicalも含めてこのアルバム「INNER KINGDOM」というアルバムにおいてこの「内なる王国」
というのは実は「母の胎内」なのかなとも思ったりする。皆この世に生を得て、まだ人間らしい形に
なっていなくてもその心臓を動かし始めた時、初めて存在した場所が母の胎内である。そしてそこでは
それぞれがすべてを支配していたのだ。小さな王国がそこにあったのだ。
その王国を母は大事に守ってくれていた。やがて王国から出て、様々な困難にぶつかろうとも
最初は皆しっかりと自分の王国をもっていたことを忘れてはいけないんだよね。
人がひとりこの世に生まれていくというのはそれだけ大きなことであって、
価値のない人は誰もいないんだ。
母はいつも願っている。「平和な人生を送ってほしい。」と
母から子へ子からまたその子へ受け継がれていくこと。
それはもしかしたら
Beautiful sunsetを見ることなのかもしれない。
美しい同じ太陽を何代も何代も見続けていくこと。
それだけは永遠に変わらない。地球が滅びない限り。
加えて、メロディラインのところでふとR.E.M.の遺伝子も感じた。フォズの音楽にはいろんな音楽の遺伝子が流れているのが
音楽バカな私のような人間にはほんとうにうれしいというか、いいサウンドや音楽が消えてしまわないでこうして
受け継がれて生きていくということがうれしいんだ。
三幕 epilogue
とても清々しいサウンドで夕暮れのアフリカの風を浴びているような気がしてしまう。
もちろん行ったことがないので想像の域を出ないけれど。
そして、そこに愛の雨が降るんだね。
アフリカの雨は慈愛の雨なんだ。
というような感じでDisc mentalだけでこれだけ書いてしまったので
Disc physicalはまたあらためて書こうかなと思う。
ここまで長々と書いたのを読んで下さった方
どうもありがとうございます。
まだまだいろいろ切り口はあると思うけれど
ほんとうに素晴らしいアルバムだと私は思っています。