2.県立大川高等学校入学(5)
初めて教室に入って周りを眺めることができるよう
になるといろんな人がいるのを発見した。頭の良さそ
うな顔をしている人がいた。眼鏡をかけている人が15
人くらいいた。髪の毛を伸ばしている人もいた。その
人たちは、入学式までには坊主頭にしてこなければい
けないそうだ。友達になれそうな人を探してみると、
あまりいなかった。僕にとっては中学の友達例えば英一
君のような人と会えるかどうかの問題だった。でもこ
れは時間がたてば解決するだろうし、僕は授業のある
間だけの付き合いになることはわかっているので、あ
まり気な懸けないことにした。
それにしても18kmという距離は初めての成果遠かっ
た気がした。道は覚えるまでもなく大新田町へ行って、
直交する道を東に向かえばいいだけだからもう覚えてし
まった。雨の日はどうするんだろうとか、雪が積もった
らどうするのだろうかなどと今から考えてもどうしよう
もないことだった。しかしこの地方は春と秋には猛烈に
強い西風が吹くことが分かっていたので、その風を避け
て通学できる道を探さなければならないぞと先輩の人が
教えてくれた。こんなことはその時になったら考えるこ
とにしよう。
今日は校舎内のいろいろな場所を先輩が一緒に回って
くれたので迷子にならないで済むかもしれない。僕たち
1年生の教室は北校舎の1回だった。後者の北側にテニス
コートがたくさん並んでいた。体育館は校舎の北西部に
あった。正面玄関は南側にあったので通常はそこから校
舎に入ることはないだろうと思った。後者への出入り口
は南東部にある昇降口が使えるとの話だったけれども、
自転車置き場は体育館の北側と正門の東、図書館の裏手
を使うようにと指示された。
ところで同じクラスの人の話では、学年のクラス分け
は成績順になっているということだけどどうだろうか。
僕は2組だから成績はそんなに悪くなかったことになる
のかなあ。噂話には耳を貸さないほうが良いと母さんが
言っていたので無視することにした。
今日は教科書を買って家に帰ることにした。敏夫君の
ところへ行ってみたけど敏夫君のクラスの人はもう帰っ
てしまってだれもいなかった。僕は自転車置き場に急い
でいったけれど敏夫君の自転車はなくなっていたので、
先に帰ったことを知った。仕方がないので僕は一人で朝
来た道を自転車に乗って走り出した。3日町のすぐ西の
ところで思いがけずに雅子さんに会った。本当に驚いて
しまった。こんな偶然があるんだと思った。しかし、今
日は声をかけずに知らないふりをして通り過ぎた。少し
行ったところで僕はこのまま帰ってしまってよかったの
だろうかと迷ってしまった。こういうのを罪悪感という
のだろうか。でも仕方なかった。何しろ家まではずいぶ
ん遠いのだから急いで帰らなければいけないのだからと
変な理屈をつけていた。
4月4日。今日は高校へ着くと、いろんなクラブ活動
の人たちがたくさん待ち受けていて、自分の入っている
クラブはこんなにいいところだと言って新入生を勧誘し
ていた。僕は運動系のクラブの前は素早く通り過ぎて学
習系のクラブに入ろうと決めていたし、将来のことを考
えて生物クラブに入ることに決めていた。それで生物ク
ラブの人に捉まってしまい説明を聞く羽目になった。す
ぐに名簿に氏名を書くように言われたけれども、その場
で事由がなくなるような気がしたので他のところも少し
興味があるのでとか何とか言って通り過ぎた。そこで相
川君に会った。相川君は野球部に入るものだとばかり思
っていたけれどもどこにも入らないことにしているとい
うことだった。というのは中学の大会でコテンパンに打
たれた相手の人たちがたくさん野球部に入っていたから
だそうだ。僕は、だから逆に野球部に入って今度はやり
返すぐらいの根性がないのだろうか、と思ってしまった。
そうこうしていたら、鈴木君と敏夫君がやってきた。2
人には久しぶりに会ったような気がした。特に鈴木君に
は中学校を卒業してから初めてかもしれなかった。相川
君もそうだった。2人とも大川市内に住むようになった
ので会うことがなかったのだ。
懐かしい同期生に会って、少しセンチになっていた僕
は、元気を取り戻した。そして明日はいよいよ入学式だ。
明日から本当の大川高等学校の生徒になるのだ。僕はいつ
の間にかそういう自覚が出てきたようだ。今日は敏夫君と
2人で帰ることになった。
結局僕は、生物クラブに入ることに決めた。ただし、
いつでも参加できないという条件を許してもらってだ。