ミノタンは、おばあさんが読んでくれる昔話がとっても好きです。
きょうもおばあさんにお願いして、丸いお月さまを見ながら昔話を読んでもらっています。
昔、京の近くのあるところに、おじいさんとおばあさんが仲良く住んでいました。
おじいさんとおばあさんは、竹を使ってカゴやザルなどをつくり、それを京へ売りにいって生活をしていました。
ある日、おじいさんは、竹やぶへ竹をとりにいきました。
おじいさんは、どの竹を切ろうかなと竹を選びながら竹やぶのなかを歩いていました。
すると、おじいさんは、下の方が光っている 一本の竹を見つました。
おじいさんは不思議に思って、竹のねもとの方をていねいに切ってみました。すると、竹の中に、とてもかわいい小さな女の子がいました。
おじいさんは、その女の子をそおっと竹の中から取り出して、急いで家へ帰りました。
「おじいさん、きょうはずいぶん早く戻ってきましたね。良い竹が見つかりましたか。」とおばあさんは、おじいさんにききました。
おじいさんは、小さな女の子をおばあさんに見せながらいいました。
「きょうはとっても不思議なことがありましよ。このかわいい女の子が竹の中にいるのを見つけたので、急いで戻ってきたんだよ」
おばあさんは、その小さな子をひとめ見ると、とっても好きになり、神様が私たちに授けてくださったのだと感謝しました。
そして、おじいさんと二人でこの女の子を大切に育てることにきめました。
おじいさんとおばあさんは,その小さなかわいい女の子をかぐや姫とよぶことにしました。
おじいさんとおばあさんは、かぐや姫を毎日まいにち大切に育てました。
かぐや姫は、おじいさんとおばあさんに大切に育てられて、どんどん成長していきました。
かぐや姫は、成長するにつれてますます美しくなり,その美しさはたいへん評判になり遠くの人たちも見にくるようになりました。
おじいさんもおばあさんも、とても幸せな毎日を過ごすことができました。
かぐや姫は、とても幸せでしたが、ある年の秋が近づくと少しずつ悲しそうな顔を見せるようになりました。
おじいさんとおばあさんは、とても心配になり、かぐや姫にどうしてそんな悲しそうな顔をするのかをききました。
すると、かぐや姫は目に涙をいっぱいためながらいいました。
「おじいさんおばあさん、わたしはもうじき月の世界へ帰らなければなりません。月からお迎えの乗物がきます。おじいさんとおばあさんにはとても大切にしていただいたこと、そしてこんなに大きくなるまで大事に育てていただいたことをたいへん感謝しています。でも、こんどの十五夜の夜にはどうしても月へ帰らなければなりません。」
おじいさんとおばあさんは、とても驚きそして悲しくなりました。
なんとか、かぐや姫を自分たちのところにいつまでもとどまるようにお願いしましたが、かぐや姫は月へ戻らなければならないわけを話してくれませんでした。
そしてとうとう、かぐや姫が月へ戻らなければならない十五夜がきてしまいました。
かぐや姫は、それはそれはりっぱな乗物にのって月へ帰っていきました。
おじいさんとおばあさんは、とても悲しくなりましたが、かぐや姫が幸せになってくれることをお祈りしました。
ミノタンは、いつのまにかかぐや姫といっしょに月の世界へきてしまいました。
「月の世界へ、ようこそお出でくださいました。ゆっくり楽しんでください。」とかぐや姫がいいました。ミノタンは、いつの間にか宇宙服を着ていました。
「あー、待って、僕はどうしたらいいのか教えてよー。」とミノタンは言いました。
ひとりぼっちになったと思ったミノタンは、ふと気がつくとそこには宇宙服を着ているミノタンのママがいました。そして宇宙船の船長さんもいました。安心したミノタンは、お空に青くとてもきれいな星が浮かんでいるのを見つけました。
「きれいだねー」とミノタンがいいました。
「ほんとにきれいねー」とミノタンのママもその星の美しさに感動しました。
「あの青い星は、ミノタンやママや船長さんが住んでいる地球だよ。
あの青いところは海で、白い綿のように浮かんでいるのは、お空に浮かんでいる雲だよ。」
ミノタンもママも、きれいな地球にみとれているうちに、かぐや姫はいつのまにかいなくなっていました。
ミノタンは、宇宙服をきていました。もちろんママも船長さんも宇宙服を着ています。
「ミノタン、すこし飛び上がってごらん。」と船長さんは、ミノタンに いいました。
ミノタンは、ママと船長さんに両手をつかんでもらって、すこしだけ飛び上がってみました。
するとミノタンは、船長さんの肩のところまで高く飛び上がることができました。
こんどは手をはなしてもらって飛び上がってみました。するとどうでしょう、ミノタンは、ママや船長さんの頭の上まで飛び上がることができました。
そしてゆっくり降りてきました。船長さんは、ミノタンをやさしく抱き留めてくれました。
「ママ、ぼくってすごいでしょう。こんなに高く飛べるんだから、オリンピックの選手なれるね。」
「そうね、ミノタン期待してるわよー。」
とママはいいました。
「船長さん、どうしてこんなに高くまで飛べるの。」、とミノタンは、船長さんにききました。
「ミノタンは、いいことに気がついたね。それではどうして高く飛べるのか教えてあげよう。
月では同じ物が、ミノタンたちの地球の重さの約7分の1になるんだよ。だから、ミノタンは地球で体重が14 Kgだとすると、月では2 Kgになってしまうんだよ。だから高くまで飛べたんだね。」と船長さんは教えてくれました。
「ママも飛んでごらんよ。」とミノタンはいいました。
ママが飛ぼうとすると、船長さんはママに
「軽く飛んでみてください。おもいっきり飛ぶと危険ですから。」といいました。
ミノタンのママも軽く飛んでみました。そうすると、ママはスローモーションの映画を見ているようにゆっくりと上にあがり、ふんわりと降りてきました。
ミノタンは、宇宙服を脱げばもっと高く飛べると思いました。
そして宇宙服を脱ごうとしました。すると、船長さんが、あわてて「ミノタン、宇宙服を脱いではいけません。」といいました。
「どうして?」とミノタンはききました。
船長さんは、やさしくミノタンに説明してくれました。
「月の世界には、みのたんの地球とちがって、空気が無いんだよ。だから、宇宙服を脱ぐと空気が吸えなくなって苦しくなってしまうんだよ。宇宙服には、空気の入れ物がついているでしょう。だから、息苦しくならないんだよ。」
ミノタンは、青い地球やお空いっぱいにちりばめられたたくさんの星を見ることができる月の世界が、とっても好きになってしまいました。そしていつまでもお空の星や青い地球を眺めていました。
しばらくたつと ミノタンはのどがかわいてきました。そしてママにいいました。
「ママ、のどがかわいたよ。」
ママは、どうしたらよいかわかりませんでした。
すると、船長さんが、ミノタンの宇宙服スイッチを押しました。
すると、宇宙服の中で、口のところにチュウーブのはしがでてきました。
「ミノタン、そのチューブのはしを口で吸ってごらん。」と船長さんがいいました。
ミノタンは、船長さんにいわれたとおりにしました。すると、チューブからミノタンの大好きなオレンジジュースを飲むことができました。
「わー、おいしー、ママも飲んでごらん」とミノタンは、ママにもすすめました。
ママもチュウーブからオレンジジュースを飲みました。
しばらく、ミノタンは月の世界を歩きまわりました。
ミノタンは、少しはしゃいでいたので、疲れてしまったようです。そしてママの背中に背負われて眠ってしまいました。
おばあさんが昔話の絵本を読み終わってみると、ミノタンはいつのまにか、おばあさんのお膝に頭を乗せて寝てしまいました。
「ミノタンこれでかぐや姫のお話は終わりですよ。おやおや、ミノタンはねむってしまいましたね。」と、おばあさんはミノタンにやさしい目をむけました。
ミノタンは、かぐや姫と一緒に月の世界へ行き、とっても楽しい月の世界を探検した夢を見ていたのでした。