七美はいよいよ坂元と付き合い始めた。
坂元は、とても優しく、マメに連絡をくれる。
仕事が遅くなると、何となく待っていてくれる。
自分にもったいないと思った。
「今度、遊園地に行かない?」
「遊園地?」
「たける君も連れて。そろそろたける君に会わせて欲しいな!」
「あ、うん。」
まだ、もう少し様子を見よう…と思っていたが、そろそろ頃合いなんだろうか…。
子供の存在が負担だと、坂元に思って欲しくないのと、2年生になるたけるに余計な気を使わせたくなくて、先延ばしにしてきていた。
そして、ある日曜日、初めて坂元とたけるを会わせた。
二人は違和感なくすぐに溶け込み、遊園地の中を手を繋いで歩くほどになっていた。
あまり大声で笑わない子が、声を上げて笑っている。
ホッとしたのと同時に、まだ小学生の息子に、余計な気を使わせていることに、申し訳なさを感じた。