古本売買の全国チェーン「ブックオフ」の社長が、6月24日付で交代とのニュースが載っていた。何でもパート店員から常務に迄登り詰めた女性が社長に就任するという事で、同じ様な経歴を辿った吉野家現社長を想像させる人事だ。そしてこのニュースで初めて知ったのだが、この女性はタレントの清水國明氏の実姉に当たられるのだとか。以前より、「何でブックオフのCMを彼がやっているんだろう?」と気になっていたのだが、そういう関係だったとは納得で在る。
さて、今日は石田衣良氏の「40(フォーティ) 翼ふたたび」を取り上げてみたい。この作品の惹句が「40歳から始めよう。人生後半、胸を張れ。」となっている様に、40代の人物達を描いた内容になっている。人生80年と言うならば、丁度折り返し地点に在る40代。決して若くは無いが、かと言って老いさらばえている訳でも無い。後先考えず突っ走る程の若さも無く、或る程度先の見えて来た微妙な年代。現在46歳の石田氏が、同世代を描いた作品だ。
大手広告代理店を辞め、事務所の片隅を借りてフリーのプロデュース業をしている40歳の男・吉松喜一が主人公。会社勤めの時代に、一生涯で享受出来る幸せの殆どを味わってしまったと感じている彼にとっては、プロデュース業も投げ遣りの内に始めたものでしかなかった。「40歳から始めよう!」というブログを立ち上げて仕事を待つものの依頼は殆ど無く、時たま入る依頼もプロデュース業とは無関係なもので、それも、彼と同年代で同じ様に社会から弾き出された者達に関わる依頼が主。
「”時代の寵児”と持て囃され巨万の富を得るも、児童買春で名声や地位を失ってしまい、今は金を費やすだけの無為な日々を送っている元IT社長。そして、そんな彼を一途に慕う、売れないAV女優。」、「銀行勤めをしている2人の同級生の出世争いと離婚話。」、「20年間のフリーター生活を経て、起業する事にしたオタク男。」、「高校時代から20数年間引きこもり生活を続けている男。」、「共に仕事をしているコピーライターの癌告知。」等。
「ガビガビーン!」やら「ボギャー!」といった擬音を、会話の中に絶えず挟まずにはいられないオタク男という設定はかなり笑えたのだが、廻りを見渡すと満更居ないとは言えない現実味が在ったりもする。
一癖も二癖も在る彼等と、最初は真正面から向き合えない主人公も、徐々に御互い心を開いて行き、彼等自身も、そして彼自身も徐々に変わって行く。生きる事の困難さを再認識する一方で、それ迄は見えなかった未来への希望を見出して行く彼等。同世代の自分には、身につまされるものが在った。
最後はハッピーエンドに終わり、ハッキリ言えば”大人の為の御伽噺”とも言える絵空事の様な話。でも、その絵空事がとても心に沁みたりするのは、作者の持つ弱者への柔らかな視線が在るからではないか。聞く所によると、石田氏自身も引きこもりの様な生活を嘗て送っていたという事で、そんな彼だからこそこの様な押し付けがましさの無い、優しい物語を紡げるのだと思う。
評価は、星3.5個。
さて、今日は石田衣良氏の「40(フォーティ) 翼ふたたび」を取り上げてみたい。この作品の惹句が「40歳から始めよう。人生後半、胸を張れ。」となっている様に、40代の人物達を描いた内容になっている。人生80年と言うならば、丁度折り返し地点に在る40代。決して若くは無いが、かと言って老いさらばえている訳でも無い。後先考えず突っ走る程の若さも無く、或る程度先の見えて来た微妙な年代。現在46歳の石田氏が、同世代を描いた作品だ。
大手広告代理店を辞め、事務所の片隅を借りてフリーのプロデュース業をしている40歳の男・吉松喜一が主人公。会社勤めの時代に、一生涯で享受出来る幸せの殆どを味わってしまったと感じている彼にとっては、プロデュース業も投げ遣りの内に始めたものでしかなかった。「40歳から始めよう!」というブログを立ち上げて仕事を待つものの依頼は殆ど無く、時たま入る依頼もプロデュース業とは無関係なもので、それも、彼と同年代で同じ様に社会から弾き出された者達に関わる依頼が主。
「”時代の寵児”と持て囃され巨万の富を得るも、児童買春で名声や地位を失ってしまい、今は金を費やすだけの無為な日々を送っている元IT社長。そして、そんな彼を一途に慕う、売れないAV女優。」、「銀行勤めをしている2人の同級生の出世争いと離婚話。」、「20年間のフリーター生活を経て、起業する事にしたオタク男。」、「高校時代から20数年間引きこもり生活を続けている男。」、「共に仕事をしているコピーライターの癌告知。」等。
「ガビガビーン!」やら「ボギャー!」といった擬音を、会話の中に絶えず挟まずにはいられないオタク男という設定はかなり笑えたのだが、廻りを見渡すと満更居ないとは言えない現実味が在ったりもする。
一癖も二癖も在る彼等と、最初は真正面から向き合えない主人公も、徐々に御互い心を開いて行き、彼等自身も、そして彼自身も徐々に変わって行く。生きる事の困難さを再認識する一方で、それ迄は見えなかった未来への希望を見出して行く彼等。同世代の自分には、身につまされるものが在った。
最後はハッピーエンドに終わり、ハッキリ言えば”大人の為の御伽噺”とも言える絵空事の様な話。でも、その絵空事がとても心に沁みたりするのは、作者の持つ弱者への柔らかな視線が在るからではないか。聞く所によると、石田氏自身も引きこもりの様な生活を嘗て送っていたという事で、そんな彼だからこそこの様な押し付けがましさの無い、優しい物語を紡げるのだと思う。
評価は、星3.5個。
確かに「”大人の為の御伽噺”とも言える絵空事の様な話」ではありますね。
でも心の中で「こうあったらいいなぁ」と思っていることが、そのまま活字になっているようで、すがすがしさを感じました。TBさせていただきます。
TBありがとうございました。
人生まだまだ捨てたものじゃないかも、と思えるような元気の出る物語だったと思います。
絵空事かもしれませんが、私の胸にもしみました。
石田大好きなのでTBさせてもらいました。
「石田さん」にしてくださいね。
40歳って、良い歳だと思うのですが。
対したもんだ。
幾つでも、胸をはるのはいい事だよな。
学生の頃、運動会とかで習った歌の中に
「若い力」っていう曲の一節だが、この中に、「燃えよ若人胸を張れ♪」いまだに、口ずさむことがあるなぁ。40才だろうが、50才だろうが、いい日本語だよなぁ。
うっかり、、英語で、女性に言ったらはったおされるがね。
因みに、俺、今までオタクしてましたわ。