近隣で発生した事件に付いて、警察が其の概要を定期的にネットで知らせており、確認する様になってから3年程経つ。見始めた頃、多く見掛けたのは空き巣被害に付いてだったが、防犯意識の高まりが在るのか、最近は空き巣被害の報告が減っている。其の一方で増えているのは、詐欺被害に付いて。
今年3月の記事「許せない!」で知り合いの高齢男性が“振り込め詐欺”の被害に遭った事を書いたけれど、近隣でも振り込め詐欺の被害者が結構居る事に驚かされる。概要を見ると“振り込め詐欺の典型的な手口”許りで、「警戒を呼び掛ける報道がしょっちゅうされているのに、何で騙されてしまうのだろうか?」と不思議でならないのだが、疑う事を知らない人を騙すというのは、本当に許せない。
で、最近、知り合いから“詐欺未遂”に遭った人の話を聞いた。詐欺未遂に遭ったのは知り合いの知り合いで、高齢の男性だ。其の手口に付いて、自分は何年か前に読んで知っていたが、意外と知られていない様なので、今回紹介させて貰う。
法務省の公式サイトでは、「督促手続・少額訴訟手続を悪用した架空請求に御注意下さい」という呼び掛けをしている。詳細は当該サイトで確認して戴きたいが、件の男性が引っ掛かりそうになったのは「支払い督促手続き詐欺」。
支払い督促とは、「債権者の申立てに基づき、債務者に金銭の支払等をする様に督促する旨の裁判所書記官の処分、又は其の様な処分を記載した裁判所書記官作成の文書。」を意味する。簡単に言ってしまえば「『〇〇さんから、貴方に対してXX円の支払いを求める申し立てがされましたよ。』という裁判所からの通達。」だ。
最も多い「支払い督促手続き詐欺」のパターンは、「詐欺師が裁判所を語って、“嘘の呼び出し状”を送って来る。」という物。件の男性の家に送り付けられたのも、此のパターンだった。「支払い督促や少額訴訟の呼び出し状は、『特別送達』という特別な郵便で送らなければいけない決まりになっている。」のだが、詐欺師が送って来るのは“普通の郵便”やメールの形。最初は動揺していた彼だが、特別送達の事を知っていた事から「詐欺だな。」と気付き、難を逃れた。
此の手の呼び出し状(擬き)に記された連絡先(裁判所等)に電話すると、成り済ました人間(代行業者等も含む。)が「〇〇裁判所です。XX円支払いを求める申し立てが出されていますので、至急支払って下さい。」と特定口座への支払いを求めたり、「裁判所の人間(勿論、成り済ました人間。)が自宅に伺いますので、御金を渡して下さい。」と指示する訳だ。
注意しなければいけないのは、「申し立て内容が全く事実で無くても、特別送達で“本当の裁判所”から送られて来た支払い督促や少額訴訟の呼び出し状で在る場合も在り、其の場合には放置し続けていると、『申し立て内容が事実で在る事を認めた。』と裁判所に判断され、送られて来た人間が不利益を被るケースが在る。」という点。所定の形で申し立てが行われれば、裁判所は“原則的に”申し立てされた側に呼び出し状を送る。其の呼び出し状を放置していたら、申し立て自体を認めた事になってしまう。意外と此れは、知られていないのではないか。
呼び出し状(呼び出し状擬きも含め。)が届いたら、「其処に記されている連絡先では無く、自分で調べた正しい連絡先(「〇〇裁判所」と記されていたら、自分で其の「〇〇裁判所」の正しい連絡先を調べた上で、其処に連絡する。)に確認する。」事が大事。本当の裁判所からの呼び出し状で無い事が確認されば、後は一切無視して構わないが、本当の裁判所からの呼び出し状で在れば、異議申し立てを行うなり、指定された期日に出頭して対応するなりしないと、不利益を被る場合も。
「身元を偽って裁判所に申し立てを行い、呼び出し状を送らせる。→詐欺師が別途、和解金等を請求する連絡を入れる。→詐欺に引っ掛かる。」という巧妙な手口も考えられ、用心が必要だ。