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下町の居酒屋に掛かって来た1本の電話。其れは、23年振りに復活した極秘ミッション「コヴェナント」の発動だった。
スパイ小説好きのフリーター青年・村井(むらい)が馴染みの居酒屋からアパートに戻ると、突然、常連客の白川(しらかわ)老人が訪ねて来た。何でも現役エージェントに復帰する秘密指令がバレてしまい、怪しい男達に命を狙われていると言う。此処は下町なのに!?
オメガの復活を阻止すべく、敵対するアルファ・エージェントの殺し屋達が、次々と村井達に襲い掛かる。絶体絶命、逃げ道は、何処にも無い。だが、何かがおかしい。
裏切り者は誰か?誰が味方で、誰が敵なのか?誰にも判らない。そして、裏切られた裏切り者とは!?
フリーター青年と元凄腕エージェントの老人。年齢差40歳以上の“迷コンビ”が、逃げて、逃げて、巨悪組織の陰謀を追い詰める。
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大沢在昌氏の小説「俺はエージェント」は、、範疇で言えばスパイ小説になる。でも、「007シリーズ」等の様なハードボイルドな感じでは無く、コミカルさを感じさせる内容。何しろエージェントに“スカウト”された男性はフリーターで、其のエージェントは23年間もの間“休眠状態”の上、5人の構成員は爺さんと婆さんだけなのだから。
とは言え、人が殺される場面は、結構シリアス。「此の人物もエージェントなの!?」という意外さに笑ってしまうし、其れ迄の展開がコミカルなだけに、シリアスな殺人場面はギャップという“スパイス”にはなっている。
とは言え、全体的に言えば、余り面白く無かった。非現実的過ぎて、ストーリーにのめり込めないからだ。取って付けた様な終わり方もピンと来ない。
総合評価は、星3つといった感じか。