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女優の藤吉弓香(ふじよし ゆみか)は、故郷で開催される同窓会の誘いを断った。母親に会いたくないのだ。中学生の頃から、自分を思う様にコントロールし様とする母親が原因の頭痛に悩まされて来た。同じ苦しみを抱えた親友・野上理穂(のがみ りほ)からの説得も在って悩んだのだが・・・。
そんな折、「毒親」をテーマにしたトーク番組への出演依頼が届く。
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今回初めて知ったのだが、“嫌ミス”という言葉が在るのだとか。「読み終えた時、嫌な気持ちになるミステリー。」で、其の代表格の作家が湊かなえさん。「成る程。」という思い。
彼女の短編小説6作品を収録したのが、単行本「ポイズンドーター・ホーリーマザー」。何れも、読後の後味は非常に悪い。
人の心の裏の裏、嫌な部分を此れでもかという位に描いた作品が並ぶ中、一番印象に残ったのは「罪深き女」。「強い思い込みが、事実を捻じ曲げて判断してしまう。」や「表面的に見えていた事柄が、必ずしも事実とは限らない。」というのを、認識させられる作品だったから。
“嫌ミスの女王”に相応しく、デビュー作「告白」を思い起こさせる6作品だが、「もう一度読み直そう。」とは全く思わない。心に残る物も無かった。
総合評価は、星3つとする。