ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「小暮写眞館」

2010年07月30日 | 書籍関連
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両親の結婚20周年をに、念願の一軒家に引っ越したばかりの花菱英一は、立三雲高校の1年生。長年に亘って写真館だったこの古家(築33年)を変わり者の父・秀夫が非常に気に入っただが、秀夫は最低限のリフォーム留め、見た目は写真館のままに住む事にしたのだった。サラリーマンの彼が写真屋に転職する訳でも無いのに、「小暮写眞館」という古びた看板も残したままで。

花菱家は何処と無く浮世離れしている両親の秀夫&京子、名門小学校に通う優秀で大人びた弟・光(8歳)、そして弟に軽い劣等感を持つ英一の4人家族だが、実は英一と光の間には妹が居た。6年前にインフルエンザ脳症にて4歳で亡くなった妹・風子だ。誰も意識的に触れない様にはしているけれど、6年経った今でも花菱家の4人は風子の事を引き摺っている。

そんな花菱家に或る日、1人の女子高生が訪ねて来る。写真館が再開されたと勘違いした彼女は、1枚の不気味な“心霊写真”を持って来たのだ・・・。
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宮部みゆきさんの小説「小暮写眞館」。彼女の本には分厚い物が多いのだけれど、この作品も7百頁を超える大長編。そもそも彼女の作風とは肌合いが良くなく、これに読んだ彼女の作品は数冊に過ぎない。彼女の作風が苦手な理由の一つに「文章の冗長さ」が在り、この作品も例外では無かった。妙なノリツッコミが多用されているのも、読み難さ助長し、何度途中で読むのを止め様と思った事か。しかし話の半ば辺りから、ストーリー展開が気になり出した。個性的なキャラクター達に魅せられたというのが大きい。特に小生意気だけれど、愛らしさも感じる光の存在が良かった。

何気無く日々を暮らしている様に見える人達でも、実際には心に重い物を抱えていたりする。英一の両親が共に実家と疎遠な理由が終盤明らかになるが、「“悪意の無い正義”で在っても、他者を大いに傷付ける事が在る。」というのは遣り切れない話だ。

全体的には文章の冗長さも在って、高い評価を下す事は出来ないけれど、この家族が今後どう“成長”して行くか見守りたくなる小説。総合評価は星3つ

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