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「金本に1票!?阿呆記者から投票権剥奪しろ」(11月9日、日刊ゲンダイ)
疑問・・・否、不快感を覚えたファンも少なく無いだろう。8日に発表されたゴールデングラブ賞。セの外野手部門で、何と今季限りで引退した阪神の金本に「1票」が投じられたのだ。
確かに金本は「チーム試合数の2分の1以上、外野手として出場。」という選考基準をクリアしている。とは言え、右肩の故障が原因で内野への返球すら儘ならず、チームの足を引っ張り続けた。目測を誤って平凡なフライを落球する事も在った選手だ。「12球団で最も守備が下手な選手」として選ぶなら未だしも、そんな選手に1票が投じられたというのだから、どうかしている。
ゴールデングラブ賞は、NPB表彰のタイトルでは無いものの、今年で41回目の表彰を迎えた伝統在る賞だ。一塁手部門で初受賞となった40歳の稲葉(外野手で4度)が「今年は一塁手としてのスタートとなり、キャンプから此の賞を目標に遣って来たので、大変嬉しく思っています。」とコメントした様に、選手にとっては、大きなステータスとなっている。投票は新聞、テレヴィ等でプロ野球担当として5年以上のキャリアが在る記者が行っている。所謂「プロ」が選ぶ事になる。
其れだけに、金本への投票行為は「プロ」以前の問題。賞の価値を貶める愚行だ。そんな舐めた奴からは、直ぐにでも投票権を剥奪すべきだ。
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金本知憲氏に関する記事を取り上げたが、誤解して欲しくないのは、彼を批判する意味合いで取り上げた訳では無いという事。今回の件に関しては、彼が批判される筋合いでは全く無く、批判される“としたら”、彼に1票を投じた記者で在る。
記者投票で決まる「賞」に関して、大分前に疑問を呈する記事を書いた。「其の賞の趣旨を全く考慮せず、特定のチームや選手との近しさ“だけ”で投票しているとしか思えない記者はおかしい。」という批判だったが、今回のケースでも同じ疑問を感じる。
「守備力に卓越した選手が表彰される。」というのが、ゴールデングラブ賞の創設趣旨。昔の金本選手なら話は別だが、少なくとも今季の金本選手に関して言えば、「守備力に卓越していた。」とは言えないだろう。寧ろ、元記事でも指摘している様に、「守備で足を引っ張り続けた。」と自分は感じている。
今年のゴールデングラブ賞の投票結果が此方に載っているが、票を投じられた選手の中には、「何で?」と疑問を感じてしまう選手が、金本選手以外にも居る。ジャイアンツ・ファンの自分だけれど、2塁手部門で4票が投じられている寺内崇幸選手も、そんな1人だ。
「チームの精神的な支柱になっているから。」とか「チャンスで良い打撃をするから。」等が投票理由としたら、其れはおかしい。ゴールデングラブ賞は飽く迄も、「守備力」を判断基準にした賞なのだから。
又、「此のチームの中では、守備力が高いから。」というのだとしたら、其れも駄目だ。「特定のチームの中だけで判断するのでは無く、セ・リーグならセ・リーグの中で、そしてパ・リーグならパ・リーグの中でと、其れ其れ6チームの中で最も守備力が優れた選手を選ぶ。」というのが、ゴールデングラブ賞の趣旨の筈だから。
「誰に投票しようが、其れは記者の自由。」という声が在る。其れは、其の通りだろう。他者からは「何で?」と疑問を持たれる投票で在っても、特段の柵が在る訳では無く、票を投じた記者形の「確固たる判断基準」が在ってのケースだって在るだろうし。
唯、「特定のチームや選手と近しいから、義理で投じた。」というので在れば、「記者としての見識」を疑われて当然。そういう記者が増えれば増える程、賞の権威は失墜して行くに違いない。
「記者の投票という形では無く、『守備率』が最も高い選手を自動的に選ぶシステムにすれば良い。」という声も在るが、自分は反対だ。もしそうなれば、守備率を下げたくないが為に、難しい打球を取りに行かなくなるケース、即ち“消極的な守備”が増える可能性を懸念するから。
「難しい打球を、然り気無く処理する。」というのもプロの見せ場だし、消極的な守備の増加は、プロ野球の人気を低めこそすれ、高めはしないだろう。