「都知事になって欲しくない政治家ランキング」で上位に名前が挙がる等、菅直人元首相の嫌われ様は相当な物だ。独断専行的なスタンス(遣り方次第では、「リーダーシップが在る。」と褒め称えられたりするのだけれど。)も然る事乍ら、東日本大震災、そして其れに付随して発生した福島第一原子力発電所事故への対応が悪過ぎたというのも、彼が此処迄嫌われる要因なのだろう。
福島第一原子力発電所事故を例に挙げてみると、菅元首相の言動に自分も疑問を感じる点が在るし、其の事で彼が批判されるのは仕方無いと思っている。しかし、野党のみらなず与党の中からも彼を猛批判する中で、「其れはどうかな。」と思ってしまう物も少なくない。「彼の対応は間違っていた!」と指摘するのは判るが、「私なら、~を出来た。」として批判するのは後出しじゃんけんだろう。彼の未曾有の緊急事態の中、何れだけの人間がより適切な判断を下せただろうか?少なくとも、自分は無理だ。
「一国のトップなのだから、最善の策を取れないというのは許されない。」という声も在ろう。其れは、其の通りだと思う。だからこそ福島第一原子力発電所事故での菅元首相の言動が批判されるのは、「其れはどうかな。」と思う面“も”在るけれど、仕方無いだろう。けれど、「狡いなあ。」と感じてしまうのは、「福島第一原子力発電所事故での菅元首相の言動」では無く、「原発に対する国民の嫌悪感をも、菅元首相に擦り付け様としている(としか思えない)批判の仕方。」で在る。
「福島第一原子力発電所事故での自身の言動」に付いて菅元首相が責任を負うのは当然だが、既存の原発は政権交代以前に出来上がっていた訳で、「原発は絶対に安全。」として推進していた嘗ての政権与党、即ち公明党、そして何よりもウン十年に亘って中枢に在った自民党が「原発」其の物に対する大きな責任が在る筈。
過去の原発政策に対する反省と検証を口にしていた石破茂幹事長や小泉進次郎氏等は評価出来るが(そんな彼等でも、「じゃあ実際に検証はしたのか?」となると、具体的に検証した“痕跡”が見当たらないのには失望。)、反省も無い儘に批判、其れも「原発に対する国民の嫌悪感をも、菅元首相に擦り付け様としている(としか思えない)批判の仕方。」の安倍晋三総裁には呆れ返ってしまう許り。*1「福島第一原子力発電所事故に対する批判」と「原発其の物に対する批判」とは、きちんと分けてすべきだ。
話はガラッと変わるが・・・。
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「クリア率は5%以下! 大人が嵌まる脱出ゲームの魅力」(AERA【11月19日号】)
クリア率が5%を切る超難関のゲームを御存知だろうか。其の名も「リアル脱出ゲーム」。密室で「謎解き」に挑み、解けたら脱出する、参加型イヴェントの事だ。
参加者はチーム編成が基本になり、宇宙基地や牢獄、開かずのマンションに閉じ込められた等といった設定で、制限時間内の脱出、即ちクリアを目指す。
謎解きに使われるのは主にクロスワードパズルだ。空欄を埋めるには、先ず部屋の中に隠されているヒントを捜さなければならない。理系的な思考が要る物も在り、数人での分業も必要だ。
リアル脱出ゲームの運営会社スクラップは、東京で2軒の常設型の施設を運営している。
しかし、クリア率が5%を切る様なムズいゲームが、何故受けるのか。筆者も実際に体験してみた。
東京の「原宿ヒミツキチオブスクラップ」。裏原宿の地下テナントには、16の丸テーブルが置かれ、壁には洋館を模したカーテンが掛かる。此の日のゲームは、コミック「金田一少年の事件簿」とのコラボ・イヴェントだ。6人1組で謎解きに掛かる。平日の夜7時過ぎ。仕事帰りの男女も多く、場内は満員だ。
参加費は前売りチケットで2,800円。原作宛らの推理と謎解きをし乍ら、60分以内に殺人事件の真犯人を捜すのがミッションだ。
筆者のチームは、上智大学の学生3人に、30代女性が2人。初対面で緊張するが、人見知りしている場合では無い。兎も角、協力して知恵を絞る。残念乍ら最後の問題で躓き、クリアはならなかったが、終わる頃には、すっかり打ち解けていた。
関西大学の安田雪教授は自著「ルフィの仲間力」で、コミック「ONE PIECE」が売れる理由を、「仲間」と共に「試練」を乗り越える「物語性」に在ると指摘する。其れは、此のゲームにも当て嵌まる。
リアル脱出ゲームの運営会社スクラップ代表の加藤隆生さん(38歳)はこう言っている。「大人は、部活を求めている。」。
部活と違い、職場では組織の論理も在って、純粋に目的目掛けて突っ走る事は出来ない。ゲームは働く世代にとって、青春の遣り直しなのだ。
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リアル脱出ゲームに付いては此方に詳細が、又、其の様子に関しては此方に動画が載っている。自分は今回の記事を読んで初めて「リアル脱出ゲーム」なる物の存在を知ったが、オリエンテーリングに「謎解き」というスパイスを加えた感じか。ミステリーが大好きだし、嘗ては“謎解き絵本”にも嵌った事が在るので、「面白そうなイヴェントだなあ。」と思ってしまう。
リアル脱出ゲームに大人が嵌る要因に付いて、元記事では幾つか指摘しているが、「人との触れ合いが希薄になっている昨今、同じ価値観を有した人との触れ合いを求める人。」や「(自分にとっては)非現実的な社会に身を置いてみたいと考える人。」が増えているというのも在るのではないだろうか。又、「小さな集団内での共同作業で成果を上げる事により、自分の存在意義を確かめたい。」というのも在るかもしれない。
*1 「衆議院選挙前に、再度党首討論を行いたい。」という野田佳彦首相の申し入れに対し、自民党の安倍総裁は同意。「選挙直前に、首相が特定の政党とだけ党首討論を行う。」というのは、他の政党を蔑ろにしている感じが在ってどうかとは思うけれど、政策を御互いに論じ合うというのは悪い事では無い。
唯、疑問を感じるのは、安倍総裁が「ニコニコ動画」での生中継を申し入れた事。「テレヴィ局ですと各局の番組調整や公平性に問題が在り、公示迄の調整は難しい。相互に視聴者の方々の意見も反映される、最もフェアな場所で決着を着けたい。」と安倍総裁は理由を説明していた様だが、テレヴィ局の生中継では公平性が保てないというのは理解し得たとしても、何故ニコニコ動画を限定指名するのか?
ニコニコ動画は「アカウント」を登録しなくても見れるそうだが、「ハイテク・ツールは苦手。」という人を中心に、視聴出来ない人も少なくないだろう。所謂“ネット右翼”に人気が高いとされる安倍総裁は、其れを十二分に意識してか、そういった人々に阿る様な言動が目立つ。中には、記事「呆れ果てる許り」でも指摘した通り、“犯罪行為”を煽っている様に思えるケースも。インターネットが便利なツールなのは確かだけれど、ネット住人だけが国民という訳では無い。
そして一番問題なのは「コメント機能」が在る事で、中継画面上に視聴者のコメントが絶えず表示される点。画面上のコメント表示は消せるのかもしれないが、“一般的には”表示された状態でずっと中継はされるだろうし、そうなると“特定の意図を持った支持者達”(此れは、民主党の支持者というのも在り得るだろうが。)のコメントで画面が埋め尽くされ、肝心な討論が注視されなくなる懸念が在る。真面目なコメントも在るが、度を越した誹謗&中傷が結構多いので。
「公平性を保ちたい。」と言うので在れば、他のネット中継という選択肢も在るのではないか?何故、ニコニコ動画に限定するのだろうか?「安倍総裁は愛国者だ!」といった賛美の声を集める事で、世論を誘導しようとしているというのなら、余りにも器が小さい。