先日読了した小説「七つの会議」は、「螺子」を扱った作品。著者の池井戸潤氏は作家になる前、銀行に勤務していたが、其の時代に大阪で中小の鉄鋼問屋が密集する地域を担当していて、螺子の会社とも数多く取引していたそうだ。「螺子は薄利多売の商品故、家族で地道に経営している所が多く、だからこそ商売の面白さを傍目からは感じていた。」そうで、「七つの会議」で「螺子」を取り上げたのも、其の辺が影響している様だ。
今朝、日本テレビ系列で放送された「ぶらり途中下車の旅」(動画)では、元ジャイアンツの宮本和知氏が東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)沿線を“ぶらり旅”したのだが、草加駅では「浅井製作所」という螺子工場を訪ねていた。
最近の電化製品は螺子を隠す傾向に在るそうで、工場を営む浅井氏は「日の当たらなくなった螺子に、多くの人が興味を持って貰いたい。」と、螺子を使ったアクセサリーも手掛けている。
浅井氏の話しで面白かったのは、「最近はマイナス螺子の使用頻度が大幅に減り、メインはプラス螺子。」という点。そう言われてみれば、確かに最近はマイナス螺子を見る機会が少ない。同氏曰く「使い勝手の悪さ(螺子を締める際、マイナス螺子だとマイナス・ドライバーが溝から外れ易い。又、溝が潰れた場合、プラス螺子の方が対応が効き易い。)」や「製造のし辛さ」等の理由から、昭和40年代を境に、其れ迄メインだったマイナス螺子から、プラス螺子へと徐々に移行して行ったそうだ。
ふと気付けば消滅していたり、激減していたりする物が在る。マイナス螺子も、そんな1つなのだろう。