毎週、放送を楽しみにしているドラマ「真田丸」【動画】。11日放送された第36回「勝負」を、何時もの様に家人と見ていたのだが、残り時間が少なくなった時点で、関ヶ原の戦いがいよいよ始まるという流れになった。「来週は、遂に関ヶ原の戦いが描かれるね。」と語っていたら・・・。
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「『真田丸』関ヶ原の戦いは“超高速”ネット驚きも真田家目線に納得」(9月11日、スポニチ)
NHK大河ドラマ「真田丸」(日曜午後8:00)は11日、第36話「勝負」で天下分け目の関ヶ原の戦い(慶長5年、1600年)を描いた。
番組終盤、「9月15日、石田三成率いる8万の軍勢は関ヶ原に陣を張った。」と有働由美子アナウンサー(47歳)のナレーション。石田三成(山本耕史)が「愈々だな。」と言うと、大谷刑部(片岡愛之助)は「愈々だ。」と応じる。
次のシーン。再び有働アナのナレーションは「対する徳川家康軍は9万。天下分け目の大戦が今、始まろうとしている。」。徳川家康(内野聖陽)の陣が映し出された。
愈々合戦が始まるのかと思いきや、次のシーンは第二次上田合戦で徳川軍を退けた真田軍の祝宴(上田城)。其処へ佐助(藤井隆)が現れ、真田昌幸(草刈正雄)や信繁(堺雅人)等に関ヶ原の戦いの結果を報告し、第36話は終了した。
第36話は第二次上田合戦に時間を割き、関ヶ原の戦いは実質たった2シーン、約50秒。合戦シーンは無かった。本能寺の変(天正10年、1582年)も第5話「窮地」(2月7日放送)で描かれたが、燃え盛る本能寺とナレーションで、放送時間は約20秒だった。有名な史実と雖も、脚本・三谷幸喜氏(55歳)の筆は真田家目線を貫き、ブレ無い。
インターネット上には「天下分け目の大戦が、『え?』という感じで終わった。」等の驚きの声と共に、「『こんな描き方が在ったのか。』と感動。確かに関ヶ原に参戦していない人々にとって、戦の展開は青天の霹靂だったのかな。」、「関ヶ原のドンパチを描かず、昌幸や信繁等の驚きが見ている方に迄ダイレクトに伝わるのが凄い。」、「まさか、此処迄大胆に遣るとは。最高。」等と納得、絶賛の声も相次いだ。
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関ヶ原の戦いという余りにも有名な出来事が、約50秒しか描かれなかった事に、「え!?」という驚きが自分にも在った。此の時代を描いた連続ドラマの場合、「関ヶ原の戦いに到る迄を散々引っ張り、そして1話乃至数話で合戦を描く。」というのが常だったから。
なので、今回の脚本には非常に驚かされたが、上の記事でも紹介されている様に、真田軍は関ヶ原の戦いに参戦しておらず、「“外部の人間”からすると、こういう感じだったのだろうな。」という思いになった。
「北条氏政の汁掛け話」等、歴史好きな人間ならニヤッと笑ってしまう様な設定が鏤められ、又、嘗ての人気ドラマ「黄金の日日」の主人公・呂宋助左衛門を登場させる(其れも、当時と同じ9代目・松本幸四郎氏が演じる形で。)等、「真田丸」には心憎い設定が多い。ストーリーの展開も小気味好く、思わず笑ってしまうシーンも程良く盛り込まれている。
そして、何よりも感じるのが、見ている側の予想を“良い意味で”裏切る脚本で在るという事。今年1月の記事「『真田丸』の第1回を見て」で触れたが、従来の大河ドラマだったら「主人公の幼少期から、延々と描き始める。」のが常なのに、「真田丸」の場合は武田勝頼に仕えている時代(12歳から15歳の間と思われるが、当時の平均寿命を考えると、もう成人と言って良いだろう。)から描いていた。今回もそうだが、「既成概念に捉われ無い、実に斬新な脚本。」と言えるだろう。