週刊新潮(11月15日号)に、「『100万円札』が使えちゃった現代『偽札』事情」という記事が載っていた。
先月、名古屋市のファミリーマートで、フライドチキン1個(140円)を購入した男が、代金としてレジに渡したのが偽札だった。唯、偽札とは言っても、其れは非常に御粗末な代物。“贅沢諭吉”なる人物が微笑む肖像画で、“贅沢銀行”発行の100万円札。表面だけが印刷されたメモ用紙で、市販されている物だとか。此れを2枚貼り合わせた両表面の100万円札で、釣り銭を渡して直ぐに店員は気付いたものの、既に男は逃走した後だった。(今月頭、男は詐欺容疑で逮捕。)
こういった御粗末な代物も在るが、我が国では忘れた頃に「偽札事件」の報道が在ったりする。警察庁によると現在、日本で摘発される偽札は年間当たり約2千枚なのだとか。「そんなに多くの偽札が、1年間で摘発されているのか。」と驚いたのだが、海外に比べると偽札の枚数は格段に少ない。EUでは約60万6千枚、アメリカに到っては約313万枚の偽札が、1年間に摘発されているそうだから。
旧大蔵省印刷局OBで紙幣研究家の植村峻氏は、其の理由に付いて語っている。
「先進諸国に比べ、今や日本は異常と言って良い程偽札の少ない国なんです。此れには遵法意識の高い国民性に加え、判別する機器の精度、御札の緻密さも挙げられます。偽札が使用出来るのは、機会を相手にするのと人間を相手にする時で、機械は既に完璧と言って良い程偽物を見分ける事が出来る。ATMや両替機も騙せる偽札を作る事は困難です。人間に対しては以前は暗い夜店等で使用されましたが、今は手触りでも判別出来るんです。」
遵法意識の高い国民性というのは、日本人として誇れる話だ。そして、偽札を阻む技術の高さというのも同様。其れなりの対策は行っている様だが、肖像画を含めて旧態依然としたドル札を流通させているアメリカというのが不思議でならない。大国としてのプライドが、変化を阻んでいるのかもしれないが・・・。