ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「崑ちゃん ボクの昭和青春譜」

2016年11月27日 | 御笑い関連

著名人の人生を振り返る本が好き。過去、ブログで記事にしただけでも「スターの栄光と死 『黒い花びら』」、「『虚人魁人 康芳夫』 Part1Part2」、「わが人生記」、「もう一人の力道山」、「『謎のマンガ家・酒井七馬伝』 Part1Part2」、「植木等伝 『わかっちゃいるけど、やめられない!』」 Part1Part2」、「病室のシャボン玉ホリデー ハナ肇、最期の29日間」、「さいざんす!」、「『悪名の棺 笹川良一伝』 Part1Part2」、「あんぽん 孫正義伝」、「ダメなときほど運はたまる ~だれでも『運のいい人』になれる50のヒント~」、そして「ウルトラマンが泣いている ~円谷プロの失敗~」。今回読了した「崑ちゃん ボクの昭和青春譜」は、コメディアンにして俳優の“崑ちゃん”大村崑氏が自身の半生綴った本だ。

 

1931年生まれの崑ちゃんは、今年で85歳。昭和30~40年代に「番頭はんと丁稚どん」【動画】や「頓馬天狗」【動画】等の番組で一躍人気者となるが、リアル・タイムで見ていなかった自分としては、大好きだったドラマどてらい男」【動画】で演じていた岡田支配人役が、彼を認識した最初だったと思う。そして、何と言っても自分達の世代で言えば「崑ちゃん=『オロナミンCドリンク』のCM動画】をしていた人」という認識が強く、当時は地方に行くと彼が印刷された琺瑯看板を良く見掛けた物だ。

 

 

コメディアンとしてデビューしてから約60年。「赤い霊柩車シリーズ」【動画】の秋山隆男役として、山村紅葉さん演じる内田良恵絶妙掛け合いを見せる等、今でも活躍されている崑ちゃん。TV番組黎明期を知る彼が、芸能生活を共にして来た人々に付いて触れた「崑ちゃん ボクの昭和青春譜」には、故人の名前がずらっと並んでいる。

 

著名人達の意外な素顔に触れられ、とても興味深かったのだが、特に印象に残ったのは崑ちゃん夫婦が世界一周旅行中、カジノすってんてんとなり、土産物を購入する金すら無くなった。意気消沈して宿泊先のホテルに戻った際、フロントで封筒を渡された。『何やろ?』と思って中を見ると、20万の現金が。封筒の裏には『(3代目)桂米朝』の名前が在って、『崑ちゃん、路銀が切れているやろ。此れを使いなさい。』と書いて在った。という話。ラスベガスに行くなんて事は一言も言っていなかったのに、崑ちゃんが賭け事好きな事を知っていた米朝さんは、世界一周のスケジュールを調べた上で、宿泊先に御金を送って来たという訳だ。具体的な時代は書いていないが、恐らくは30年以上前の事だろう。当時の20万円は結構な金額で、其れ然りげ無く送って来た米朝さんの優しさが伝わって来る逸話だ。

 

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平成22年(2010年)3月、僕と妻の瑤子さんは結婚50周年を迎え、「大村崑と瑤子の金婚を祝う会」を盛大に祝ってもらいました。その席で、先輩が「おめでとう。金婚式あげるのはいいけど、これからえらいことが起きるぞ。気をつけろよ。」と言ったんです。「何が起こるんですか?」。「それは経験しないとわからん。」。

 

子供が病気するのかな、瑤子さんが逃げていくのかなとかいろいろと考えたけどわからなかった。だって幸せな金婚式の会場で言うんですから。それも笑いながらね。

 

それから数年してわかったんです。

 

それは、先輩や友達がいなくなる、ということでした。みんないなくなっちゃう。想定外でしたよ、それは。

 

ここ2年で、名古屋の友達が10人全員いなくなったんですよ。みんなツーと言えばカーと答えるような仲間ですよ。それが全員いなくなった。

 

名古屋で公演があると、僕の楽屋の壁のスケジュール表に名古屋の友人たちとの食事の約束が書き込まれていたんです、いつもぎっしりと。

 

ところが、それがまったくなくなってしまった。だから、名古屋に行っても面白くないんですよ、もう。僕の誕生日に死んだ奴もいる。棺桶担いで、「なんで俺の誕生日に死ぬんや。」なんてぶつぶつ言いながら霊柩車まで運びましたよ。

 

長生きしてお元気で羨ましいと言われて嬉しい反面、寂しくて寂しくて仕方がない。

 

考えてもいなかったことですよ。これは、84歳になった男じゃないとわからないと思う。先輩が言おうとしてたのはそれだった。「こういうことだったんですね。」と確認したくても、その先輩ももうこの世にはいないんです。

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昭和の香りを感じさせる、数少なくなったコメディアンの1人。今後も御元気で、長く頑張って欲しい。


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2 コメント

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うわぁ懐かし… (アブダビ)
2016-12-08 01:02:16
この方の広告、懐かしすぎます!!
これと艶のある微笑の和服の婦人の「ボンカレー」に、シュミーズ?姿の水沢アキじゃない、えーと水戸黄門の女忍者…誰だっけ?…の
「金鳥の蚊取線香」。この三つです!
何れも金属製のピータイル大の看板で、壁に釘で打ち付けるもの。
日本の田舎や山間部に行くと、
無人駅の待合やら、ヨロズ屋の壁やら、一時間に2本くらいのローカル線バスの停留場の壁やらに見掛けました。
角川映画の「獄門島」で金田一耕介がヒッピー青年と道連れになるシーンや、「砂の器」で
森田健作の新人刑事が田舎の聞き込みシーンで、崩れかけたような店の壁にあるのを見掛けた気がします。
どういうコーティング処理をしていたか解りませんが、野晒し環境も良くあるのに、1964年生の私が1980年代までは頻繁に見掛けた記憶があります。この三点の「オロナミン、ボンカレー、金鳥」と、夜道の「お巡り人形」が、私には「日本のド田舎の記憶」であります。
懐かしいなぁ!
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>アブダビ様 (giants-55)
2016-12-08 02:05:03
書き込み有難う御座いました。

琺瑯看板と言えば「崑ちゃんのオロナミンC」、「美空ひばりさんの金鳥」、「由美かおるさんのアース渦巻」、「松山容子さんのボンカレー」、「水原弘氏のハイアース」、そして「浪花千栄子さんのオロナイン軟膏」というのを、子供の頃に街中で良く見掛けました。長じてからは田舎でチラホラ見掛ける位で、今や希少な存在。

“日本のド田舎の記憶”と言えば、アブダビ様が挙げた物以外に、「オートスナック」(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/a517ca70ace1f4e58fd598e4cad55ede)を挙げたいと思います。昔は良く、田舎で見掛けた物。
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